西表石垣国立公園 石垣
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2021年06月30日子どもパークレンジャー・川平小中学校「マイクロプラスチック調査」【石垣地域】
西表石垣国立公園 江川博子
はじめまして。今年4月から石垣自然保護官事務所に着任しましたアクティブレンジャーの江川です。どうぞよろしくお願いします。
環境省では国立公園をフィールドとして、自然にふれあいながら環境について学ぶ機会を作るために子どもパークレンジャー事業(以下JPR)を行っています。
今回はJPRの一環として地元の小中学校向けに行っているサンゴ学習についてご紹介します。
川平小中学校の校舎からは美しいエメラールドグリーンの海が眺められ、サンゴ礁の海を身近に感じられます。神奈川県から来た私にとってはうらやましい限りですが、地元の子どもたちにとっては見慣れた景色なのかもしれません。それでも、意外と深くは知らないサンゴの世界。今年は総合学習の時間を5回使って、わくわくサンゴ石垣島の皆さんと一緒に楽しくサンゴについて学んでいく予定です。
第1回目は教室にて事前学習としてサンゴの基本的な生態についてゲームも交えながら授業を行いましたが、今回第2回目は実際にフィールドに出て行う授業です。今サンゴのすむ海はどうなっているのかを知るために、近くの海岸にて「マイクロプラスチック調査」を行いました。
まずは、マイクロプラスチックはどこからやってきて、どのようにできるのかについて考えていきます。
マイクロプラスチックとは 直径5mm以下の小さなプラスチックのことをいいます。ゴミとして人の手を離れたプラスチック製品は、風や川によって海岸へ流れていきます。すると、石垣島の近くを流れる大きな海流「黒潮」によって、さらに流されていきます。黒潮の秒速は1mから2m。ちょうど私たちが歩くスピードです。黒潮になったつもりで、ゴミを持って歩いてみます。
黒潮の幅は最大で100kmとも言われているので、あっという間に多くのゴミを運んでしまいます。その間に、紫外線にさらされたり、生き物にかじられたり、波によって砕かれたりして、プラスチックの劣化が進み段々と細かくなっていきます。
その後、海中を漂うマイクロプラスチックの一部は波によって砂浜へと打ち上げられます。
そして、いよいよ海岸へ向かいます。まだ梅雨明けしていない時期なので、時折通り雨が降ります。海岸に到着した頃、雨雲がすぐそこまで来ていました。
25cm四方の枠の中で、どれくらいのマイクロプラスチックがあるのか採集して調べます。
枠を基準にちりとりを使って砂をすくい、その中からなるべくマイクロプラスチックを取り出すために、5mmの目合いのふるいでこし、水に浮く性質を利用して海水をくんだバケツに入れ、浮いたものだけをすくって取り出します。
わかりやすいように、黒い布を敷いたトレイの上に取り出します。この一連の作業を、場所を変えて2回行います。
海岸の様子。潮が引いた後にできる波の跡に注目。マイクロプラスチックが溜まりやすいポイントです。
また、砂浜を近くで見るとこのような様子。貝殻やサンゴの骨格にまぎれて一見シーグラスのようなプラスチックもありました。
そして、教室に持ち帰りルーペやピンセット、指の触感を使って細かく分類していきます。
班ごとに採集する場所が違っていたので、マイクロプラスチックの量や種類に差がありました。プラスチックの原料となるレジンペレット、触ってみるとふかふかする発泡スチロール、カラフルなもの......。ルーペで見分けるには限界があるかもしれませんが、繊維のものもマイクロプラスチックである可能性があります。
さて、これらマイクロプラスチックは甲殻類の体内からも確認され、自然生態系への影響が懸念されています。今回の調査で行った採取では、区間が狭いとはいえ取り出すのに細やかな工程を要しました。これらが広大な海に漂っていると思うと、全てを回収するのは想像を絶する作業になるでしょう。
私たちが普段の生活で利用しているプラスチック製品は、私たちの手を離れた後どうなっていくのか、プラスチック製品にふれる機会があまりに多いので、いちいち考えることはないかもしれません。今回のサンゴ学習で、砂浜に混じっていたマイクロプラスチックの粒を改めて細かく見ることで、買い物の際になるべく過剰包装でないものを選ぶなど普段の生活を見つめ直すきっかけとなりました。
2021年06月15日交通事故に遭ったカンムリワシ放鳥【石垣地域】
西表石垣国立公園 石垣 アクティブレンジャー 仲本
今年3月下旬に交通事故に遭ったカンムリワシ(若鳥)を救護しました。野生復帰はかなり難しいと覚悟していましたが、順調に回復し、骨折した翼も完治。リハビリゲージ内でも翼を広げて旋回できるまで元気になったことから、5月26日(水)に救護場所近くのきび畑にて放鳥することができましたので、お伝えしたいと思います。
▲事故現場(緩やかな下り坂)
発見された際は、道路上でうずくまっていたそうですが、職員が救護現場に駆けつけると道路上にはおらず、道路脇の林の中で、うつ伏せの状態で発見されました。
▲救護時の様子
救護後、すぐに動物病院で診察と治療が行われ、右の翼の橈骨と尺骨(人で言うと手首と肘の間の骨)の開放骨折(骨折した際に皮膚が破れて、骨が外に露出する状態)が見つかり、皮膚の表面の損傷もかなり酷く、翼がねじれてしまい、雑菌による感染症を引き起こす可能性も高く、重傷な状態でした。
▲救護したばかりの放鳥個体
今回のようなケースで野生復帰できるのは、かなり稀なケースです。これも速やかな通報により迅速な救護対応ができこと、動物病院の獣医師さんの懸命な治療、リハビリを行って頂いている方等の連携がうまくできたおかげです。今回、放鳥を行うことができ、本当にうれしい限りです。
▲放鳥場所(写真中央、野底岳)
▲元気に羽ばたき、林内に向かう「のそこ」
放鳥した個体には、左脚に緑のNと刻印された足環を装着し、野底(のそこ)地域で救護されたことから、愛称は「のそこ」と名付けられました。かなり臆病な性格で、なかなか飛び立とうとしなかったのですが、しばらくして元気に飛び立っていきました。
令和3年(2021年)のカンムリワシの救護件数は、石垣島で2件、西表島で3件、合計5件です。その内5件すべてが交通事故で救護されています。もし、交通事故にあったり、衰弱して弱っているカンムリワシを発見しましたら、下記の連絡先までご連絡をお願いいたします。
<カンムリワシの救護連絡先>
○石垣島
環境省石垣自然保護官事務所 0980-82-4768
石垣市教育委員会文化財課 0980-83-7269
○西表島
西表野生生物保護センター 0980-85-5581
<足環の付いた放鳥個体の目撃情報の連絡先>
○カンムリワシリサーチ
ウェブサイト : "http://kanmuriwasi.web.fc2.com/"
E-mailアドレス: yonnayonna470(a)gmail.com
※(a)を@に置き換えてお送りください。
2021年04月12日サンゴSHOWでおうちカフェ ~サンゴと歩んだ20年~【石垣地域】
西表石垣国立公園 田村彰帆
アクティブレンジャー日記をご覧の皆様、こんにちは。
石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。
地域の皆様から「サンゴセンター」と親しんで頂いている国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターが開所20年の節目を迎えたことを記念し、3月6日(土)、「サンゴSHOWでおうちカフェ ~サンゴと歩んだ20年~」と題し、サンゴ礁の価値や重要性、保全の必要性を考えるきっかけとなるようイベントをWEB配信にて開催しました。
サンゴSHOWでおうちカフェの様子をご紹介します。
◯看板お披露目
イベントの前日である3月5日(サンゴの日!)に、地元小学校の児童がサンゴの破片や、貝殻、シーグラスを使ってサンゴセンターの表札看板をリニューアルしてくれました。
サンゴを慎重に運び作った看板は、どんな看板に仕上がったのでしょうか。
「1、2、サンゴ!!!」の掛け声とともに看板のお披露目をしました。
この看板がサンゴセンターの新しい顔になります。
↓以前の看板とはまた違った、個性あふれる看板ができました。
国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター20周年記念WEB配信イベントのお知らせ【石垣地域】
◯トークセッション第1部「サンゴってなに?」
サンゴに詳しい琉球大学名誉教授の土屋先生が、サンゴ・サポーターである石垣島の大人気アーティスト「きいやま商店」からの質問に答える形式で、写真で説明しながらサンゴの基本的なことについておさらいしました。
◯トークセッション第2部「サンゴと歩んだ20年」
土屋先生と石垣自然保護官事務所職員が、サンゴセンターを拠点に行われてきた石西礁湖再生事業を中心としたサンゴ礁に関する情報の収集・整理・提供や海外支援活動、普及啓発活動などの20年の取組みを、八重山でのできごとをまとめた年表と一緒に振り返り、達成できたことやこれからの課題についてのトークを繰り広げました。
◯講演「サンゴは魚とお友だち!?~サンゴと生き物のつながり~」
サンゴにちなんだ講演として、水産総合技術研究所の名波さんを講師にお迎えし、サンゴ礁を住処とし、サンゴをエサとする魚の生態についてお話くださいました。
魚の種類によって食べるサンゴの部位や食べ方が違うことなど、動画を交えた説明は子どもにも分かりやすく、サンゴの重要性を、サンゴそのものだけでなくサンゴと関係のある生き物の視点からも考えるきっかけになりました。
◯ミニライブ「サンゴSHOW TIME」
最後に、サンゴ・サポーター「きいやま商店」によるミニライブが行われました。
「画面の向こう!盛り上がってますか~!?」
サンゴ礁保全再生応援ソング「1、2、サンゴー!」や、他の曲も「サンゴ保全」と歌詞を替えて歌ってくださり、サンゴを守ろうという強いメッセージを届けてくださいました。
初の試みであるWEB配信イベントを通して、サンゴ礁やサンゴセンターに親しみを持ってもらい、少しでもサンゴ礁のためにできることを考えるきっかけになっていただけたら嬉しいです。
八重山の、日本の、世界のサンゴ礁を守るため、これからも多くの方とともに一歩一歩進んで行けたらと思いますので、よろしくお願いします。
みなさまのご視聴ありがとうございました!!
サンゴセンターでは、常設展示も行っております。
是非遊びにお越しください!
2021年03月17日カンムリワシ交通事故防止の活動【石垣地域】
西表石垣国立公園 アクティブレンジャー 仲本
最近の石垣地域は、夏目前の過ごしやすい気候が続き、天気の良い日は、少しの間で日焼けしてしまう3月となりました。
また、カンムリワシにとっては、求愛や巣作りなどで行動が活発的になるシーズンを迎えています。特に雨が降った後は、カンムリワシのエサとなるカエルやミミズなどが道路上に轢かれて死んでいることも多く、轢かれて死んでいるエサを求めて道路沿いに現れたカンムリワシが交通事故に遭うケースが、例年多発するシーズンでもあります。
令和2年(2020年)のカンムリワシの交通事故件数は石垣島で5件、西表島で5件、合計10件でした。そのうち7件(石垣島3件、西表島4件)が死亡しています。新型コロナウイルスの影響で観光客が減少し、交通量も減少した時期もありましたが、近年のカンムリワシの交通事故件数は、ほぼ同数で推移しています。
▲令和2年(2020年事故件数)石垣島におけるカンムリワシ運転注意マップ
今回は、地元でカンムリワシの保護活動や普及啓発活動を行っている民間団体のカンムリワシ・リサーチさんや関係機関と協力しながら、カンムリワシの交通事故が多発する道路で、カンムリワシの交通事故を1件でも減らしていけるように、通行するドライバーさんに注意喚起する活動を2回に分けて実施しましたので、報告したいと思います。
▲1回目の注意喚起活動(名蔵湾沿いの県道)
1回目の活動は、警察署や石垣市役所の方など関係機関と協力しながら、青空の下、ドライバーさんに呼びかけを行いました。
▲2回目の注意喚起活動(於茂登岳に近い県道)
2回目の活動は、長年野鳥観察を続けている小学校の児童や先生と協力して実施しました。「いきもの注意」「いそがず」「ゆっくり走ろう」と書かれたメッセージボードを掲げ、車を運転されるドライバーさんの中には、スピードを控えてくれるドライバーさんもいました。
現在、カンムリワシ交通事故多発地帯「あぶない!」と書かれた移動式の看板をカンムリワシの多発する道路にも設置して注意喚起を行っています。
▲カンムリワシの交通事故防止移動式看板
カンムリワシは、低空飛行で道路を横断することもあるので、野生動物の急な飛び出しがあっても安全に事故を避けることができるよう、余裕をもったゆとりのある運転にご協力お願いします。
2021年03月01日国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター20周年記念WEB配信イベントのお知らせ【石垣地域】
西表石垣国立公園 石垣 田村彰帆
アクティブレンジャー日記をご覧の皆様、こんにちは。
石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。
今回は、どなたでも参加できるWEB配信イベントのお知らせです。
以前にもご紹介したとおり、環境省「国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター」は2000年5月12日の開所より20周年を迎えました。
これを記念して3月6日(土)、イベント「サンゴSHOWおうちでカフェ~サンゴ礁と歩んできた20年~」を無料WEB配信します。
国際サンゴ礁研究・モニタリングセンターで行われてきた20年の取組み紹介や、サンゴに詳しい琉球大学名誉教授の土屋先生&サンゴ・サポーターのきいやま商店によるトークセッション、水産技術研究所の名波さんによる講演「サンゴは魚とお友だち!?~サンゴと生き物のつながり~」、きいやま商店によるミニライブ「サンゴSHOW TIME」など内容は盛りだくさん!
おうちでお好きなドリンクでも飲みながら、カフェ気分でご参加ください。
地元小学校の児童が、サンゴ礫を使って作成した当センターのリニューアル看板も披露します。
▲現在の当センターの看板
開所3周年から、強い日差しや台風に耐えてきたので少々年季が入っておりますが、修復を重ねて使用してきました。
さて、どんなステキな看板に生まれ変わるのでしょうか。楽しみです。
みなさまのご視聴お待ちしております!!
<会場URL・QRコード>
※外部サイトに移行します
2021年01月28日ツルヒヨドリ駆除活動【石垣地域】
西表石垣国立公園 田村彰帆
アクティブレンジャー日記をご覧の皆様、石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いします。
さて、12月19日(土)に、西表石垣国立公園パークボランティア活動として特定外来生物「ツルヒヨドリ」の駆除作業を行いました。
ツルヒヨドリは、南北アメリカの熱帯地域を原産地とするツル性の植物です。
驚異的な繁殖力を持ち、生態系や農作物にも大きな被害を及ぼす可能性があり、世界の侵略的外来種ワースト100にあげられているほどです。
▲ツルヒヨドリ
葉は4から13㎝ほどの細長いギザギザのハート形で、平行な葉脈が特徴です。
ツルヒヨドリの駆除の際には、茎や葉を取り除いても根が残っていると再生してしまう可能性があるため、注意が必要です。丁寧に手作業で株全体を確実に抜き取ります。
今回の活動では、宮良川沿いに花の咲いたツルヒヨドリが確認されたため、駆除を行いました。
花を咲かせた後はタンポポのような綿毛のついた種子をつくり、風で遠くへと飛ばされ、広範囲に定着します。このように拡散しないためにも、確認した花はしっかりと除去する必要があります。
▲ツルヒヨドリの白い小さい花(11から12月に開花)
宮良川のツルヒヨドリは根茎が他のツル性の植物と絡まり、広範囲に繁茂している状態でした。
▲ツルヒヨドリ駆除活動の様子
今回、雨が降る中、1時間ほどの作業でしたが、約21袋分のツルヒヨドリを駆除することができました。
ツルヒヨドリは特定外来生物です。
この特定外来生物は、飼育、栽培、保管や生きたままの運搬等が原則として禁止され、これらを行う場合は許可が必要になります。また、ツルヒヨドリは土砂の運搬などに伴って拡散している可能性があります。このような拡散を防ぐため、土砂運搬の際にも注意が必要且つ、適切な方法で防除しなければいけません。
現在、石垣島では、今回の宮良川沿いとバンナ公園スカイライン沿いで確認しています。
他の場所で見つけた方は、可能な限り詳しい場所と写真を下記までご連絡お願いいたします。
【環境省石垣自然保護官事務所】
住所:沖縄県石垣市八島町2-27
TEL: 0980-82-4768 FAX:0980-82-0279
今後も継続してモニタリングし、ツルヒヨドリの防除に努めたいと思います。
拡散防止のため、皆さまのご協力よろしくお願い致します。
2020年12月18日スノーケルレスキュー講習会【石垣地域】
西表石垣国立公園 石垣 田村彰帆
アクティブレンジャー日記をご覧の皆様、こんにちは。
石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。
11月7日(土)に真栄里海岸にて、西表石垣国立公園パークボランティア活動としてスノーケルレスキュー講習会を行いました。石垣自然保護官事務所では例年、「海の自然教室」と題したスノーケル観察会を開催しており、パークボランティアさんにも安全補助としてご参加をお願いしています。
今回は、新型コロナウイルス感染防止のため、室内マスク着用、少人数開催などの対策を徹底して実施しました。一般社団法人沖縄ライフセービング協会八重山担当理事の小山豊さんを講師に迎え、室内講義と海洋実習に分け、安全に観察会を行うため、特に重要な安全管理の知識・技術の向上を目的とした講習会を行いました。
始めに行った室内講義では、スノーケルでの事故とは何か、安全管理をする上でのリスクマネジメントの考え方、人形を使った一次救命処置の手順についてお話いただきました。
復習をかねてより実践的に一次救命措置、起こりうるリスクを学べる良い機会だったと思います。
▲CPR(心肺蘇生法)実技の様子
海洋実習は、実際にいつも「海の自然教室」で観察している場所で行いました。まずは観察ルートの危険個所を確認しながら2人1組のバディになって泳ぎます。
真栄里海岸は市街地からすぐ近くの場所であるにもかかわらず、ユビエダハマサンゴ群落が広がり、石垣島の中でもサンゴ被度の高い場所です。
▲真栄里海岸での危険箇所の共有の様子
実際に泳いだ後は、バックボードを用いた救助方法を学びました。バックボードとは、要救助者の全身を固定して運搬する板のことです。布製の担架とは違い、水に浮くので水辺の救助の際に役立ちます。
要救助者の運び方や海岸から引き上げて回復体位を行う方法など、一連の流れを確認しました。
▲バックボードを用いた救助の様子
室内講習でのCPR実技から、海洋講習でのバックボードを使った運搬方法まで、内容の濃い講習会となりました。
ご参加ありがとうございました!
▲参加者集合写真
皆さんも、海や山へ出かける際には、万が一の時のために知識を身に付け、事故を未然に防ぐため、予防しながら、楽しいレジャーをお楽しみください!
2020年10月23日オニヒトデの見つけ方【石垣地域】
西表石垣国立公園 神保彩葉
ご無沙汰しています。石垣自然保護官事務所の神保です。
石垣島も朝晩、風が涼しくなり、秋らしくなってきました。
さて、今日はオニヒトデのお話しです。
オニヒトデは、熱帯・亜熱帯に生息する大型のヒトデで、成体はサンゴを食べることで有名です。
▲サンゴを食しているオニヒトデ
時折、大発生し、サンゴを食べ尽くしてしまい、問題になることがありますが、
オニヒトデの生態は未だ、ナゾに包まれており、解明されていないことが多くあります。
八重山では、2008年~2014年頃にかけて、オニヒトデが大発生しました。
近年は、収束傾向にありましたが、
ここ最近、再び石垣島沿岸で、オニヒトデが確認されつつあります。
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▲引き揚げられたオニヒトデ
今回は「オニヒトデの見つけ方」のコツをご紹介します。
オニヒトデを見つけるには、まず海中で食痕を探します。
下の写真のような食痕をいくつか見つけたら、近くに潜んでいる可能性大です。
▲比較的新しい食痕
食痕近くの岩陰を探すと...。いました。オニヒトデです。
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▲発見しました!
オニヒトデは基本的には夜行性なので、岩陰に隠れていることが多いです。
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▲管足を伸ばして元気いっぱい!
オニヒトデの大発生を防ぐには
より多くの目で、モニタリングしておくことが大切です。
八重山の海を利用している皆様、
オニヒトデが複数いた等の目撃情報がありましたら、下記までぜひお寄せください。
【国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター】
住所:沖縄県石垣市八島町2-27
TEL;0980-82-4902 FAX:0980-82-0279
HP:http://kyushu.env.go.jp/naha/coremoc/index.html
ご協力、どうぞよろしくお願いします!
2020年08月14日黒島清掃活動【石垣地域】
西表石垣国立公園 石垣 田村彰帆
アクティブレンジャー日記をご覧の皆様、こんにちは。
石垣自然保護官事務所の田村彰帆です。
先日、黒島にて海岸清掃があり、私も参加してきたのでその様子をお伝えします。
黒島は、島全域が西表石垣国立公園に指定されており、北部を除く周囲の海が海域公園地区に指定されています。そして、人よりも牛が多い「牛の島」でもあります。
今回、清掃した場所は宮里海岸です。
黒島ビジターセンターの脇から海岸へと続く道があります。
黒島ビジターセンターは、国立公園である黒島の自然や島の生活様式、民俗資料を展示した環境省の施設です。
砂浜には遠くからでもみえるほどの漂着ゴミがあります。
あまりにもゴミの量が多いので、まずは1か所に集めてから分別をしていきます。
どんどんゴミが集まっていきます。そして、強力な助っ人が!
重機の力も借りて、一気に運びます。
猛暑の中での作業でしたが、地域の方をはじめ多くの方々の協力で、本来の姿を取り戻せました。
皆様、お疲れ様でした!!
宮里海岸はそのままの自然が残されており、古くから島民に愛されている海岸です。
その自然の中に、外国からのペットボトルや漁業で使われた網やブイ、人間が捨てていったビニール袋などのゴミはいりません。
今回、一掃し、ゴミのない美しい砂浜をみることができて良かったです。
皆さんのお近くの海岸にも漂着ゴミがあると思います。多くの地域で海岸清掃・美化清掃は実施されているので、地域の清掃活動に参加していただければと思います。
こんにちは、石垣自然保護官事務所の江川です。
子どもパークレンジャー事業として川平小中学校で行われているサンゴ学習について、前回の「マイクロプラスチック調査」に引き続き、現地学習となる「スノーケリング観察会」をご紹介します。
今回は、スノーケリングスポットとして人気の米原海岸で観察会を行いました。
川平湾を左に見ながら北上した場所にあるのが、米原海岸です。広い範囲で遠浅のリーフが広がり、白い砂浜と青い空と海というビーチからの景色もとても美しいのですが、海に入るとすぐにカラフルで多種多様な生きものを目にすることができます。
天然のビーチのため、サンゴ礁による複雑な地形で引き起こされる潮の流れや、毒を持つ危険生物など、安全面で気をつけるポイントがあります。
また、海の底に足がつくような浅い場所にも一面にサンゴが広がっているので、足で踏んでサンゴを傷つけないようにしたいところです。サンゴは動物で、成長するまでにいろいろな試練があるということを事前学習で学びましたからね。
そこで、普段スノーケリングガイドやライフガードをされている方々も所属している「わくわくサンゴ石垣島」の皆さんと一緒に、気をつけるポイントを教わりながら実際に海の中に入ってサンゴ礁の様子を観察しました。
まずは器材の使い方の練習です。
慣れないうちは苦戦するウエットスーツの着方から。波打ち際でスーツと体をよく濡らすのがポイントです。海水をかけあう場面もあり楽しそうでした。
マスクの曇り止めにクサトベラの葉っぱを使うことも教えていただきました。
▲クサトベラは海岸付近に自生しています ▲葉っぱをちぎって汁をマスクに塗る様子
マスクをつけて、スノーケルでの呼吸にも慣れたら、いよいよサンゴ礁の生きものたちの観察です!
▲海中の様子。エダサンゴに隠れながらたくさんのスズメダイが群れていました。
マイクロアトールの上でひとやすみ。フィンを履いているときの着地はかかとから。
▲マイクロアトールとは、干満の差が激しい遠浅のサンゴ礁で、ハマサンゴのようなかたまり状のサンゴに見られる現象です。干潮時、海から出てしまう部分のサンゴは死んでしまいますが、横に大きく成長し、てっぺんが平らなテーブルのような形になります。
オニヒトデも発見!サンゴを捕食しているところでした。サンゴの天敵としてよく耳にするものの、実際に海の中でオニヒトデを目にすることができるのは、自然観察の良いところです。
▲オニヒトデのトゲには強い毒があるので、さわらずそっと見守りましょう。
地元のこどもたちなので海に慣れている子もいましたが、スノーケリングがはじめての子たちもサンゴ礁の魚たちと遊んでいるうちに海の中で自在に動けるようになっている様子でした。
最後に集合写真を撮りました!
身近な場所であっても、海に入ることには危険がともなうため、地元の子どもたちでも海の中に入る機会は少ないようです。今回のスノーケリング観察会では海の中をじっくり眺めることができ貴重な体験ができたようでした!