遺産地域
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奄美大島
奄美大島の中央部・南部では、湯湾岳(694m)や油井岳(484m)などの山塊から海域まで、豊かな亜熱帯照葉樹林(あねったいしょうようじゅりん)が連続しています。これらの森林では、アマミノクロウサギ、ケナガネズミ、ルリカケスなどの遺存固有種のほか、アマミトゲネズミ、オットンガエルなど遺存かつ新固有種の生息地となっています。また、湯湾岳は奄美大島の中で最も標高が高く、日射量が限られた空中湿度が高い雲霧帯になっており、コゴメキノエランなどの希少な着生植物が樹上に生育し、林床にはシダ植物が繁茂しています。
徳之島
徳之島では、北部の天城岳(533m)や中央部の井之川岳(645m)から犬田布岳(417m)にかけて、スダジイ林を中心とする豊かな亜熱帯照葉樹林が広がっており、特徴的な板根(ばんこん)の、オキナワウラジロガシの郡落が発達する箇所があります。アマミノクロウサギやケナガネズミなどの遺存固有種のほか、オビトカゲモドキやトクノシマトゲネズミなど、徳之島にしかいない新固有種も数多く生息しています。また、トクノシマテンナンショウやハツシマカンアオイなど固有かつ希少な植物の生息地にもなっています。
沖縄島北部
沖縄島北部(やんばる)の与那覇岳(503m)や西銘岳(420m)が連なる山塊では、スダジイ林を中心に、豊かな亜熱帯照葉樹林が広がっています。これらの森林には、オキナワトゲネズミ、オキナワイシカワガエル、ヤンバルクイナ、ノグチゲラ、ヤンバルテナガコガネ、オキナワセッコクなど、沖縄島北部にしかいない希少かつ固有な動植物が数多く生息しています。また、渓流域には、周期的な冠水と減水を繰り返す特殊な水環境に適応し、その形態を変化させた植物が生育する渓流植生が良く発達しています。
西表島
西表島には、中央部に古見岳(469m)や御座岳(420m)などの山々が連なり、原生状態に近い亜熱帯照葉樹林が広がっています。また、浦内川や仲良川(なからがわ)など、山から海へ連続した流域を含んでいることが特徴で、河川、マングローブ林、低湿地帯、干潟などの多様な生態系を有します。中琉球(なかりゅうきゅう)の他の3地域と比較し新しい時代に大陸と分離したことから、大陸に近縁種が存在するイリオモテヤマネコ、ヤエヤマセマルハコガメ、コガタハナサキガエルなどの新固有種が多く生息しています。