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アクティブ・レンジャー日記 [九州地区]

九州地区のアクティブ・レンジャーが、日々の活動や地域の魅力を発信します。

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沖縄南部

17件の記事があります。

2015年06月25日漫湖チュラカーギ作戦 稚樹抜き隊

沖縄南部 アクティブレンジャー 知念

 6月13日(土)、『漫湖チュラカーギ作戦31』が漫湖チュラカーギ作戦実行委員会

(漫湖自然環境保全連絡協議会、那覇市、豊見城市)主催で行われました。

開会式の様子(漫湖水鳥・湿地センター前)  

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多くの市民に身近に残された貴重な自然に親しみ、水辺の環境保全の大切さを認識してもらうために開催されており、今回31回を迎えました。今年は早くに梅雨が明け気温が30度を超える中、たくさんのこどもたちや企業の方々の参加がありました。

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このイベントでは漫湖の河川敷のゴミ拾いがメインに行われ、

それと並行して環境省ではマングローブの稚樹を抜く作業を行っています。

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いざ、出発!(とよみ大橋下)


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 漫湖は、希少な鳥が数多く飛来することからラムサール条約湿地として登録され国際的にも重要な湿地です。ところが近年は渡り鳥の飛来数が大幅に減少し、マングローブ林の拡大がその一因として挙げられています。平成19年度から23年度に行われた「漫湖保全事業」で漫湖の陸地化が進行しないよう一部のマングローブを伐採しましたが、その後はマングローブの稚樹を抜く作業を年に2回実施しています。市民に稚樹抜きを体験してもらうことで市民参加による干潟の環境の改善を図り、その重要性を理解してもらうことを目的としています。

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マングローブ稚樹抜き隊


  今回は一般の方4人を含め総勢12人で作業しました。胴長を着用し、ボディーボードを使って干潟に出ます。 潟スキーっぽく見えるこの作業、一見、楽しそうに見えますがかなりの重労働です。作業自体は1時間ほどですが、強い日差しが照りつける中、胴長を着て足場の悪い泥干潟で稚樹を抜く作業は、相当な体力と根性が要ります。 

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作業後の撤収の様子(漫湖水鳥・湿地センター向け)

 

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とよみ大橋の下に生えているマングローブを抜き、大きなゴミを回収して重くなったボードと脚を気力で動かし、ゴールの木道を目指し突き進みます。途中、陰で休憩をしながら泥の中にいる生きもの(この時はテッポウエビ、キララハゼ、他)を捕まえては大喜びし、少し元気をもらっては再び動き出しどうにかゴールしました。

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  ご協力いただいたみなさん、おかげで広範囲での作業をすることができました。

暑い中での厳しい作業にご協力いただき誠にありがとうございました。


次回の稚樹抜き作業は、12月の「国場川水あしび」を予定しています。

みなさんのご参加をお待ちしています。

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2010年12月20日第16回 国場川水あしび

沖縄南部 アクティブレンジャー 知念

12月18日(土)青く澄んだ空の下、漫湖周辺の大清掃『第16回国場川水あしび』が行われました。
漫湖は国指定鳥獣保護区であり、1999年にはラムサール条約湿地に登録されています。その漫湖に注ぎ込む国場川水系の7市町(那覇市・豊見城市・糸満市・南城市・南風原町・八重瀬町・与那原町)に今年度から環境省を加え8団体主催で行われました。
こどもエコクラブで活動する子どもたちや地域の方、協賛企業の社員の方など、たくさんの参加者が漫湖水鳥湿地センターに集結。


二日前の荒れたお天気からは全く想像がつかないほどの晴天に、
スタッフは皆、笑顔。やはりお天気は大事ですね。

午前中は4つのコースに分かれて清掃活動をしました。
環境省コースでは、湿地のゴミ拾いとマングローブの稚樹抜きを実施。
近年、漫湖では人為的に外から持ち込まれたマングローブ(主にメヒルギ)
が繁茂し、水鳥の休憩場や餌場である干潟が減少しつつあります。
稚樹抜きを実施した場所は、環境省が実施する漫湖鳥獣保護区保全事業で
一昨年、マングローブを伐採・除去して干潟と水鳥の飛来数の回復を試み
ている場所です。

しかし、ここ・・・湿地の清掃なので少し勝手が違います。
足下がしっかりしている場所は長靴を履いて歩くことができますが、
気を抜いて歩いていくと泥に足がとられ大変なことに・・・。
子供たちも楽しみながら泥と悪戦苦闘していました。


私は胴長を着て泥の深いところへ。
潟スキーを使いながら移動していくのですが、これがなかなか
体力を消耗します。経験豊富な先輩は道具も持たず、どんどん
先へ先へ進み、慣れた手つきで稚樹抜きをしていました(尊敬!)。
私は1時間半の間にゴミ袋3つ分を抜き取りました。
みんなが頑張ったあとの干潟はゴミもなくすっきりしていて、
とても気持ちがいいものでした。


作業のあとには、南風原(はえばる)豚のおいしい豚汁とおにぎりが振る舞われました。午後には、体験型ネイチャーゲームが3つのブースに分かれて行われ、子どもたちは水あしび(水遊び)を楽しんでいました。

20年ほど前、漫湖はひどい汚濁で悪臭を放ち、近隣の学校ではその日の風向きにより窓を閉めないと授業ができないほどであったと聞きました。
ところが今では公園を多くの市民が利用し、干潟は県内外の学校から体験学習に訪れるほどの貴重な場所になりました。
たくさんの方々に支えられて、今日の漫湖があります。
問題はまだまだありますが、このような地域ぐるみの清掃が行われ、子どもたちが関わっていけば、確実に漫湖はきれいになっていくと思います。
これからの漫湖が楽しみです。

漫湖の自然を守りながら、上手につきあっていこうということで、
漫湖の利活用や保全のあり方のルール整備をしようと
『漫湖の利活用のルール作り』が検討されています。
漫湖に関心のある方、ご意見をお持ちの方、
ワークショップに参加してみませんか。

●日 時 :平成23年1月15日(土)14:00~
●場 所 :奥武山公園武道館 1階 会議室
●参加費:無料(当日受付)
●主 催 :漫湖自然環境保全連絡協議会
●共 催 :那覇市環境保全課(事務局)098-951-3229

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2010年10月14日日本のいのち、つないでいこう!COP10まで1日前

沖縄南部 アクティブレンジャー 知念

九州・沖縄いきものリレー
『沖縄南部の海のいきものたち 2』

干潟の宝石 ルリマダラシオマネキを紹介します。


【和名】ルリマダラシオマネキ
【分類】エビ目 スナガニ科
    沖縄県RDB 準絶滅危惧(NT)
【撮影日】2010年10月7日

きれいですね。
初めて見たときは、その美しさに感動しました。
名前の通り、鮮やかな『るり色』の甲羅を持ち、
ハサミはオレンジ色をしています。

オスのハサミは片方が大きいので、このカニはどうやらオスであるようです。
ルリマダラシオマネキは個体数が少ないため、詳しい生態についてはわかっていないことが多いそうです。


この巻き貝は、カンギクです。
潮干狩りで採取される、なじみ深い貝です。


【和名】カンギク 
【分類】古腹足目 サザエ科
【撮影日】2010年10月7日

サイズは通常、大きいもので3cmくらい。
ところがこの写真左側の貝はなんと4.5cmほどもありました!
私が今までにみたカンギクの中で最大級です。

中にはヤドカリが入っていました。
石垣の比屋根ARがレンジャー日記でもふれていたように(10/7掲載)、
このヤドカリもサイズの合わない宿に入っていました。

最近はヤドカリたちも住宅難なのでしょうか?、
体に合うサイズの貝を探すのは厳しいようです。
幼い頃から潮干狩りが大好きな私も、
貝を持ち帰るのは問題なんだと考えさせられました。

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2010年10月08日【日本のいのち、つないでいこう! COP10まで10日前】

沖縄南部 アクティブレンジャー 知念

九州・沖縄いきものリレー
『沖縄南部の海のいきものたち』

都市化が進む那覇近郊の海にもたくさんのいきものがみられます。
潮が引くと広いイノー(礁池)が広がります。

先日、大潮の日に海のいきもの観察へ出かけました。
豊富な生きものの中からいくつかをご紹介します。

足下に気をつけて歩いていると、不思議な物体を発見!


シラヒゲウニ
ホンウニ目 ラッパウニ科 殻径7-8cm

海藻やサンゴを身にまとった『シラヒゲウニ』でした。まるで
かくれんぼをしているようです。外敵から身を守るための
カモフラージュでもあり、食べるためでもあるようです。

更に歩いていくと海中に青い星を見つけました。


アオヒトデ
アカヒトデ目 ホウキボシ科 直径18cm

5本足が普通にみられるようですが、この時は6本足のアオヒトデ
に遭遇!(よく見ると)ハート型の岩の上に並べて記念撮影をしました。

紹介したウニとヒトデ・・・全く別の生きもののように見えますが、
棘皮動物(きょくひどうぶつ)という仲間なのだそうです。
つながっているんですね。びっくりです!

歩きはじめて約3時間。
目の前に不思議な光景がありました。
高さのある岩礁の潮だまりから、水が川のように流れています。
流れる様子も、水の音もまるで川のようでした。
とてもきれいでしたよ。



沖縄の海は干潟、藻場、岩礁、サンゴ礁などさまざま。
そこに多様ないきものが暮らし、餌を求めて野鳥もたくさん集まってきます。
こんな身近なところにも生物多様性の世界が広がっています。

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2010年08月27日日本のいのち、つないでいこう!COP10まで50日前

沖縄南部 アクティブレンジャー 知念

沖縄の水辺に棲むオキナワシリケンイモリ

沖縄にはとてもきれいなイモリがいます。


【和名】オキナワシリケンイモリ
【分類】サンショウウオ目 イモリ科  
【撮影日】2010年8月26日【場所】沖縄県南城市

歩く姿や泳ぐ姿もかわいいのですが、正面から顔をのぞくと
意外にも眼が大きく、とても愛らしい顔をしています。
背面の金箔のような斑紋が太陽の光できらきら光り、腹面の
オレンジ色は指先まで彩られてとても鮮やかです。
アップでみるとカエルによく似ていて、両生類の仲間なんだと
改めて実感しました。












立派な尾を持つシリケンイモリ。
長い尾の先端が剣のようにとがっているのでシリケン。
漢字では『尻剣』と書くそうです。
雌雄の区別もこの尾を見るとわかりやすく、オスは比較的尾の
幅が広く 頭から胴までの長さと同じくらいの長さで、メスは
尾が細く、オスよりも長いそうです。(大きさ100mm-180mm)

黒っぽい背面に金箔のような斑紋がある個体が多いようですが、
この日は同じ場所で写真①~③のように、模様の出方が違う個体に
出会いました。
















①背面に斑紋がない ②斑紋がある ③斑紋が多い

同じ仲間でも個々が違って「これも生物多様性なんだなぁ」と
感じました。

近年、各地で個体数の減少が確認されています。沖縄島南部
にある水場では、この15年ほどの間に出現個体が1/4以下に
減少してしまっているそうです。いろいろな原因が考えられ
ると思いますが、土地開発にともなう生息域や繁殖場所の縮小、
また観賞用としてペットショップなどでも売られていることか
ら、乱獲等も懸念されます。

水のきれいなところに棲むオキナワシリケンイモリ。
みんなで美しい自然を守っていかなければなりません。









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2010年07月13日日本のいのち、つないでいこう!COP10まで100日前

沖縄南部 アクティブレンジャー 知念

漫湖の干潟に棲むオキナワハクセンシオマネキ

 潮が引いた漫湖の干潟。よく見ると何やら小さな生き物がたくさん動いているのに気が付きます。



 近づくとそれらは素早く穴の中に姿を隠しますが、しばらくその場に
しゃがみこんでじっとしていると、1匹 また1匹…あっという間にたくさんの“カニ”たちが姿を現します。

 『オキナワハクセンシオマネキ』
 小さな体に 片方だけ大きな白いハサミを持ち、そのアンバランスな姿はとてもかわいいです。また、長い柄の先についた眼が愛らしく、地表にいる時は柄を立てて周囲を広く見渡し、巣穴に入る時には柄を横にパタリと倒して収める様子は感動ものです。

【和名】オキナワハクセンシオマネキ(甲幅18mm)
【分類】スナガニ科 シオマネキ属 ハクセンシオマネキ亜種
【撮影日】2010年7月7日【場所】ラムサール条約湿地 漫湖

 ふと 横をみると、戦う雄のカニたちがいました。



 大きなハサミを振る動作が「おいで」と白い扇を振りながら潮を招いているように見えることから、ハクセンシオマネキ(白扇潮招)と名付けられたとか。ステキな名前ですね。 この行動は、求愛と他の雄に対する威嚇の二つの意味があるのではと考えられているそうです。

 南西諸島では多くのシオマネキ類を見ることができます。これから先も今ある状態を守っていきたい。それには生息環境の保全が重要な課題です。 ここ漫湖も不法投棄等、いろいろな問題を抱えていす。 たくさんの生き物が生息し、それを求めて他の生き物がやってきます。その生き物たちの大事な子育ての場ともなっている干潟は「いのちのゆりかご」とも言われています。いのちはつながっているのですね。

 その漫湖の自然を守ろうと、ここ数年 クリーン作戦が行われています。 今年も7月17日(土)に『河川をもっと身近に!!漫湖チュラカーギ作戦25』が漫湖南岸にて行われます。
参考URL: http://www.city.tomigusuku.okinawa.jp/index.php?oid=3575&dtype=1000&pid=154

 みなさんも一緒に参加しませんか。

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2010年07月05日九州いきものリレー ~漫湖の生物多様性(1)ドロアワモチ~

沖縄南部 アクティブレンジャー 知念

みなさん、はじめまして。
沖縄南部自然保護官事務所の知念です。
この6月に採用になり ちょうどひと月が経ちました。
私自身 沖縄の自然を楽しみながら、
いろいろな情報をお届けしたいと思います。
よろしくお願いいたします。

では、早速・・・ 
この写真の中に ある生き物がいます。


泥と同じような色をしているため、慣れないと見つけにくいです。
でも、泥を紐状につなげた独特の糞を辿っていくと・・・
見つけることが出来るかも。





【和名】ドロアワモチ(体長30-60mmほどの長楕円形)
【分類】腹足綱 原始有肺目 イソアワモチ科
【場所】ラムサール条約湿地 漫湖【撮影日】6月30日
 
殻を持たない貝類の一種。泥まみれで顆粒に覆われた饅頭形の姿が
粟餅に似ていることから、その名が付いたそうです。

名前も姿もとてもユニークなこのドロアワモチ、
未だ図鑑にもほとんど載っていない未知の生き物なのだとか!? 
原始的な有肺類として、進化系統学的にとても重要な種群だそうです。

2000年頃には日本本土では絶滅説が出たようですが、その後の調査で
南日本の各地に生息地が点在することが明らかになりました。
沖縄県では、沖縄島および先島に広く分布しますが、生息場所は局所的で、
特に中南部では1990年代に普通に見られた所でも、現在は埋め立て等で
消失した生息地が多いそうです。

環境省:絶滅危惧Ⅱ類(VU)
沖縄県:準絶滅危惧(NT)

初めて出会ったこの生き物。
わくわく♪調べていくうちに私を更に驚かせたのは、
伊是名島で9年間(小1~中3)ドロアワモチを研究した女の子がいたことです。
昨年、その研究が認められ“文部科学大臣賞”を受賞!
『自然科学観察コンクール(シゼコン)』のページで、彼女の功績をぜひ
ご覧下さい。
http://www.shizecon.net/search/prizewinners/nengo/50/2



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