希少種保護(保護増殖事業、調査結果等)

保護増殖事業

種の保存法(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)では、国内に生息・生育する絶滅のおそれのある種を国内希少野生動植物種に指定し、特に優先度の高い種について保護増殖事業を行っています。

奄美野生生物保護センターでは、アマミノクロウサギ、アマミヤマシギ、オオトラツグミの保護増殖事業を行っています。生息状況のモニタリングや繁殖生態の解明をはじめ、各種調査・研究、普及啓発などに取り組むことで、自然な状態でこれらの種が存続することを目指しています。

アマミノクロウサギ(希少種保護-アマミノクロウサギへ)アマミノクロウサギのシルエット

アマミヤマシギ(希少種保護-アマミヤマシギへ)アマミヤマシギのシルエット

オオトラツグミ(希少種保護-オオトラツグミへ)オオトラツグミのシルエット

アマミノクロウサギ保護増殖事業

アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島のみに生息する固有種です。森林の減少や外来種の侵入などの影響で分布域が狭まり、2003年には奄美大島においては2,000~4,800頭、徳之島においては200頭前後と推定されています(Sugimura and Yamada 2004)。2004年に保護増殖事業計画が策定され、この計画に基づき、奄美野生生物保護センターでは、生息状況を把握するためのモニタリング(沢沿いの糞の調査)や繁殖生態に関する調査、交通事故防止対策などに取り組んでいます。

環境省レッドリスト2019では、アマミノクロウサギは絶滅危惧IB類(EN)となっており、ⅠA類ほどではないが、近い将来における「野生での絶滅の危険性が高いもの」とされています。

環境省 いきものログ アマミノクロウサギ

アマミノクロウサギ Pentalagus furnessi (成獣)

アマミノクロウサギ Pentalagus furnessi (幼獣)

アマミノクロウサギ Pentalagus furnessi(写真上:成獣、下:幼獣)

アマミノクロウサギの分布図

各種調査や死体確認地点などの情報を基に作成したアマミノクロウサギの分布図(2013年現在)

生息状況モニタリング

アマミノクロウサギの生息状況とその経年変化を把握するために、奄美大島では2006年から、徳之島では2007年から糞塊調査によるモニタリングを行っています。 アマミノクロウサギは沢沿いなどの開けた場所に糞をする習性があるため、その習性を利用した調査です。毎年冬に、奄美大島と徳之島に設定した沢沿いの調査ルートを歩きながら、糞を一粒ずつ数え、その新鮮度とともに記録していきます。

糞塊調査 奄美大島

奄美大島におけるエリア別フン粒数頻度(フン粒数/100m)の経年変化

糞塊調査 徳之島

徳之島におけるエリア別フン粒数頻度(フン粒数/100m)の経年変化

フン粒数調査の様子

沢沿いに落ちているアマミノクロウサギの糞を数えます。

交通事故対策

奄美野生生物保護センターでは道路上や森の中など発見されたアマミノクロウサギの死体を調べ、死因の解明をしています。また、奄美大島では毎年9月から12月にかけて死体発見数が増加する傾向があることがわかりました。この時期に、繁殖のためにアマミノクロウサギの活動が活発になるためだと考えられます。

「アマミノクロウサギの交通事故を防止するために」

環境省 Youtubeチャンネル 

アマミノクロウサギ交通事故確認件数

アマミノクロウサギ交通事故確認件数(2000年~2018年)

奄美大島・徳之島における月別の交通事故件数

奄美大島・徳之島における月別の交通事故件数(2000~2018年)

交通事故にあったアマミノクロウサギ写真

交通事故にあったアマミノクロウサギ

アマミノクロウサギ交通事故防止キャンペーン写真

アマミノクロウサギ交通事故防止キャンペーン

普及啓発

パンフレットの作成や小中学校での授業、地域イベントへの参加などを通じて、アマミノクロウサギが暮らす奄美の自然やその大切さを知ってもらうための活動を行っています。

小学校で行った奄美の自然に関する授業の様子写真

小学校で行った奄美の自然に関する授業の様子

アマミヤマシギ保護増殖事業

アマミヤマシギは琉球列島のみに生息する鳥類で、スダジイなどが優占する森林やそこに隣接する農耕地が主な生息場所となっています。

森林の減少や外来種の侵入などの影響で生息環境が悪化し、個体数・生息地ともに限られています。

1999年に保護増殖事業計画が策定され、この計画に基づき、奄美野生生物保護センターでは、生息状況を把握するためのモニタリング(夜間の林道センサス)や行動圏を把握するためのラジオトラッキング、標識調査などに取り組んでいます。

環境省レッドリスト2019では、アマミヤマシギは絶滅危惧II類(VU)となっており、「絶滅の危険が増大している種」とされています。

環境省 いきものログ アマミヤマシギ

アマミヤマシギ Scolopax mira

アマミヤマシギ Scolopax mira

各種調査の情報を基に作成したアマミヤマシギの分布図

各種調査の情報を基に作成したアマミヤマシギの分布図(2013年現在)

全島調査

アマミヤマシギの生息状況とその経年変化を把握するために、2003年から、本種の繁殖が確認されている3島(奄美大島、加計呂麻島、徳之島)で、夜間のルートセンサスを行っています。

繁殖期(3月頃)と育雛期(6月頃)の年2回、夜間の林道などを自動車でゆっくり走行しながら、アマミヤマシギの出現数や行動などを記録する調査です。調査1回あたりの走行距離は800kmほどにもなります。

奄美大島と加計呂麻島では個体数は比較的安定しています。一方、徳之島では減少傾向が見られ、今後の動向を注視する必要があります。

各種調査の情報を基に作成したアマミヤマシギの分布図(奄美大島)

各種調査の情報を基に作成したアマミヤマシギの分布図(加計呂麻島)

各種調査の情報を基に作成したアマミヤマシギの分布図(徳之島)

奄美大島、加計呂麻島、徳之島の3島におけるアマミヤマシギの生息状況の経年変化

アマミヤマシギを探す写真

アマミヤマシギを探して夜の林道を走ります。

道路上に現れたアマミヤマシギの写真

道路上に現れたアマミヤマシギ

行動圏の把握(ラジオテレメトリー調査)

アマミヤマシギの行動圏を把握するため、奄美大島の異なる生息環境でラジオテレメトリー調査を行っています。

ラジオテレメトリーとは、アマミヤマシギに電波発信機を装着し、定期的にその電波を受信することによって、その行動を追う調査です。このような調査によって、アマミヤマシギの行動圏が徐々に明らかになってきています。

電波を受信しながらアマミヤマシギのいる場所を特定する写真

電波を受信しながらアマミヤマシギのいる場所を特定します。

電波発信機を装着したアマミヤマシギの写真

電波発信機を装着したアマミヤマシギ

オオトラツグミ保護増殖事業

オオトラツグミは奄美大島のみに生息する鳥類です。過去に行われた大規模な森林伐採の影響を受け、個体数は極めて少ないと考えられていました。

1999年に保護増殖事業計画が策定され、この計画に基づき、奄美野生生物保護センターでは、生息状況を把握するためのモニタリング(さえずり調査)、営巣や繁殖行動に関する調査、個体数の推定などに取り組んでいます。

オオトラツグミ Zoothera dauma major

オオトラツグミ Zoothera dauma major

オオトラツグミの分布図

各種調査の情報を基に作成したオオトラツグミの分布図(2013年)

個体数集計

オオトラツグミ確認個体数集計 (2018年)

増えつつあるオオトラツグミ

2002年発行の環境省レッドデータブックで「個体数:200羽未満」と推定されていたオオトラツグミ。

近年は森林伐採が減少し植生が回復してきたこともあり、個体数の増加傾向が確認されています。今後も生息状況などに関する知見の蓄積を続け、その動向を注意深く見守っていく必要があります。

さえずり調査

早朝の森でオオトラツグミのさえずりに耳をすまします。

NPO法人奄美野鳥の会では、1994年から毎年3月に奄美中央林道(約42km)でさえずっているオオトラツグミの数を数える調査をしています。年による増減はあるものの、確認数は徐々に増加しています。

オオトラツグミの子育て

オオトラツグミはオスとメスが協力して子育てをします。3月ごろから巣作りを始め、メスは一度に3個の卵を巣の中に産みます。卵は16日ほどで孵化し、ヒナは両親に餌をもらってすくすくと成長します。孵化後15日ほどたつとヒナは巣を離れます。しばらくの間は両親から餌をもらい続けますが、その後独り立ちをします。

オオトラツグミの親がヒナに与える餌の内容

オオトラツグミの親がヒナに与える餌の内容(11ヶ所の巣、合計581回の給餌の観察に基づく)

オオトラツグミの子育て写真

オオトラツグミの子育て

奄美希少野生生物保護増殖検討会

環境省
奄美野生生物保護センター

郵便番号 894-3104
鹿児島県大島郡大和村思勝字腰ノ畑551

電話: 0997-55-8620
FAX: 0997-55-8621

【開館時間】
     9:30 ~ 16:30

【休館日】 
     毎週月曜日(祝日をのぞく)
     年末年始(12月29日~1月4日)

【入館料】
     無料