奄美群島の動物

鳥類

オオトラツグミ

トラツグミという鳥の一亜種で、奄美大島のみに生息しています。森林で生活し、警戒心が強いためなかなか人目につくことはありません。森林伐採などの影響で生息環境が悪化し、かつては200羽もいないだろうと考えられていました。このため日本で最も絶滅の危険性の高い鳥類の一つとされていましたが、近年は森林の回復とともに生息数の増加が確認されています。春先の早朝に、「キョローン」という特徴的な美しい声でさえずります。

オオトラツグミ Zoothera dauma major

オーストンオオアカゲラ

オオアカゲラという鳥の一亜種で、奄美大島のみに生息しています。オオアカゲラに比べて体色が黒っぽいのが特徴です。太くてまっすぐなくちばしで木の幹をつついて、巣穴を掘ったり中にいるカミキリムシの幼虫を食べたりします。春先には木の幹を連続的につつき、「タララララ……」という大きな音を森の中に響かせます。この音はドラミングと呼ばれ、なわばりを主張したり異性を呼んだりする役割があると考えられています。

オーストンオオアカゲラ(吉田明美氏 撮影)

ルリカケス

世界中で奄美大島と加計呂麻島、請島だけに生息する、とても珍しい鳥です。るり色と赤茶色のコントラストが美しく、かつては帽子の羽根飾りを作る目的で乱獲されていましたが、近年は生息数が安定しています。森林に住み、山すそにある民家などで営巣することもあります。美しい体色に似合わず「ギャーギャー」という情緒のない声で鳴きますが、これ以外にもさまざまな声を出し、仲間同士のコミュニケーションに使っています。

ルリカケス

アマミヤマシギ

琉球列島だけに生息する、世界的に見ても珍しい鳥です。奄美大島から徳之島にかけての島々で繁殖していますが、冬には沖縄に渡る個体もいるようです。地面で採食や営巣をするため、マングースによる捕食の影響を強く受けていると考えられます。また夜間に林道上に現れる習性があり、交通事故も発生しています。従来は夜行性であると考えられていましたが、最近の観察によると、昼間にも採食などの活動をすることがわかっています。

アマミヤマシギ

アカヒゲ

世界中で琉球列島の島々だけに生息しています。頭から背中、翼、尾羽が赤茶色のきれいな鳥で、雄は顔と胸元が黒く、名前はアカヒゲなのにクロヒゲを生やしているように見えます。雌の顔や胸元はすすけたような白色です。森林の中に生息し、小さな体のわりに大きな美しい声で「ヒーヒヨヒヨヒヨ……」とさえずります。アカヒゲが多い森に早朝に行くと、このさえずりが谷間からわき上がってくるように聞こえ感動的です。

アカヒゲ(伊藤結氏 撮影)

リュウキュウコノハズク

琉球列島の島々に分布する小型のフクロウです。森林に住み、昆虫やトカゲなどを食べています。小さな声で「ツッ」と鳴いた後、大きめの声で「コホッ」と鳴きます。雌は「ミャー」とネコのような声を出すこともあります。方言ではこの鳥のことを、マヤ(ネコ)のような声や「ツッ、コホッ」という声で鳴く鳥という意味で「マヤツコフ」と呼びます。樹洞で子育てをするため、生息には樹洞ができるほどの大木のある森林が必要です。

リュウキュウコノハズク(水田拓氏 撮影)

カラスバト

西南日本の島々に生息する大型のハトです。森林に住み、果実や木の実を食べています。他の鳥と違い、冬期に繁殖することが確認されています。黒っぽく見えるため名前に「カラス」がついていますが、よく見ると緑色や紫色など、金属光沢のある複雑な体色をしています。秋から冬にかけて、「ウッ、ウー、ウッ、ウー」と牛のような声で鳴くため、方言名は「ウシバト」と言います。警戒すると「グルルルル……」という声も出します。

カラスバト(水田拓氏 撮影)

ズアカアオバト

屋久島から琉球列島、台湾、フィリピン北部に生息するハトの仲間です。緑色なのに「アオバト」とは奇妙ですが、これは古い日本語で緑色のことを「アオ」と表現したことに由来します。また、頭が赤くないのに「ズアカ」とつくのは、台湾に住むこの鳥の頭が赤いためです。果実や木の実を食べ、人里近くにも住んでいるので、窓ガラスにぶつかることの多い鳥です。尺八かリコーダーを吹いているような面白い音色の声で鳴きます。

ズアカアオバト(水田拓氏 撮影)

アカショウビン

4月ごろに南方から渡ってきて、夏の間奄美で子育てをします。本土でアカショウビンと言えば珍鳥ですが、琉球列島ではごく普通に見られます。大きなくちばしと短い足という愛嬌のある姿をしている上に、朝夕に「キョロロロロ……」とよく響く声で鳴くため、多くの人に馴染みのある鳥です。人里近くに住み、速く直線的に飛ぶので窓ガラスによくぶつかります。9月、アカショウビンが去って声が聞こえなくなると夏も終わりです。

アカショウビン(石川拓哉氏 撮影)

サンコウチョウ

4月ごろに南方から渡ってきて9月ごろに帰っていく夏鳥で、その間に子どもを産み育てます。雄は黒紫色で尾羽が極端に長いのが特徴です。雌は赤茶色で尾羽は長くありません。鳥類の雄が飾り羽根を持つのは、一般に雌を多く引きつけるためと考えられています。しかしサンコウチョウは雌雄一羽ずつで子育てをするため、雄に多くの雌を引きつけるような機会はありません。したがって、雄の尾羽が長い理由はよくわかっていません。

サンコウチョウ(常田守氏 撮影)

サシバ

朝夕が涼しくなり、秋の気配が感じられる10月ごろ、比較的暖かい奄美で冬を過ごすために北の方から渡ってきます。人里や農耕地など開けた環境で、「ピックイー」と鳴きながら飛ぶその姿は、奄美の冬の風物詩とも言えます。暖かいとはいえ最低気温が10℃を下回ることもある奄美、冬を越すのは楽なことではなく、若鳥の中には餓死してしまうものもいます。無事冬を乗り切った個体は、春になると栄養をつけてまた北へ帰っていきます。

サシバ(水田拓氏 撮影)

シロハラ

11月ごろに北方から渡ってくる、奄美で最も多く見かける冬鳥の一つです。人里近くに住み数も多いので、窓ガラスによくぶつかります。地面で食べ物を探すことが多いためマングースに襲われやすく、冬期のマングースの格好の食物になっています。地鳴きと呼ばれる単調な「チャッ、チャッ、ビュルルル……」という声を出しますが、春先の暖かい朝には「ギョロン、ギョロン」とさえずることもあります。4月には北へ帰っていきます。

シロハラ(水田拓氏 撮影)

哺乳類

アマミノクロウサギ

世界中で奄美大島と徳之島にのみ生息しています。耳や手足が短く、ウサギの仲間でもっとも原始的な姿を残しています。頑丈な爪で繁殖や休息のための巣穴を掘って生活しています。夜行性で、開けた場所で食事やフンをします。また仲間と声を使ってコミュニケーションをとることが特徴です。子育て専用の巣穴に赤ちゃんを埋めて育てるというユニークな子育てをします。近年、森林伐採やマングースやノネコなどの外来生物による捕食によって生息が脅かされています。

アマミノクロウサギ Pentalagus furnessi(成獣)

アマミトゲネズミ

トゲネズミの仲間は世界中で奄美大島、徳之島、沖縄島だけに生息しています。これまでは1つの種とされていましたが、研究が進み、島ごとに別種としてアマミトゲネズミ、トクノシマトゲネズミ、オキナワトゲネズミとされました。体に扁平で先の尖ったとげ状の毛が生えています。マングース防除事業の成果で、生息数は安定してきていると考えられています。

アマミトゲネズミ(山下亮氏 撮影)

トクノシマトゲネズミ

これまでアマミトゲネズミと同種とされていましたが、2006年に新種と断定されました。徳之島の北部と中央部の自然林にのみ生息しています。夜行性で、日中は地面に掘られた巣穴で休息しています。天敵であるハブの攻撃から垂直にジャンプして逃げます。近年、森林伐採による生息地の減少やノネコやノイヌといった捕食者の侵入により生息が脅かされています。

トクノシマトゲネズミ(中村正弘氏 撮影)

ケナガネズミ

奄美大島、徳之島、沖縄島にのみ生息している、日本最大のネズミです。普通の毛に混じって背中に6cmにも及ぶ長い剛毛が生えており、尾の先端が白いことが特徴です。木登りが得意で長い尾で上手にバランスをとりながら、枝から枝へとわたっていきます。夜行性で、昼間は樹洞に枯れ木や枝で作った、直径30cmほどの球形の巣の中でひっそりと休んでいます。

ケナガネズミ(阿部愼太郎氏 撮影)

オリイコキクガシラコウモリ

沖縄県を除く全国に分布するコキグガシラコウモリの亜種で、奄美大島、加計呂麻島、徳之島、沖永良部島に分布しています。昼間は暗い洞窟の天井にぶら下がって休んでおり、日が沈むと洞窟の外へ出かけ、一晩に体重の3分の1ほどの昆虫を食べます。一見怖い顔に見えますが、この特徴的な鼻から超音波を出して獲物を探します。とても神経質な生きもので気温や湿度の変化に敏感に反応し、最適な環境を求めて洞窟を移動していることがわかっています。

オリイコキクガシラコウモリ(伊藤結氏 撮影)

オリイジネズミ

世界中で奄美大島、加計呂麻島、徳之島のみに生息しています。現在までに収集された標本はわずかで、個体数は極めて少ないと考えられています。ニホンジネズミに近縁な種として考えられていましたが、現在では全く近縁性が認められないことがわかっています。 アマミノクロウサギなどと同時代に奄美諸島に渡来した遺存種と考えられますが、わかっていない事がとても多く、まさに幻の珍獣です。

ワタセジネズミ

奄美諸島と沖縄諸島の14島に広く分布していますが、宮古諸島と八重山諸島では確認されていません。繁殖のために、石の間などに枯れ葉を使って直径6~7cmの丸いボール状、または壺型の巣を作ります。離乳前の子どもは親の尾の基部を加え、その子の尾を次の子が加えて、一列になって移動する「キャラバン行動」がみられます。

ワタセジネズミ(高美喜男氏 撮影)

爬虫類

ハブ

奄美諸島(喜界島・沖永良部島・与論島などを除く)と沖縄諸島(伊是名島・粟国島などを除く)に生息しています。体色も様々で、「金ハブ・銀ハブ・黒ハブ」など個体差があります。大きいもので2m近くまで成長し、現在までで最長のものは2m43㎝あったそうです。毒の種類は出血毒で、タンパク質を溶かし血管組織を破壊します。夜行性で、気温が18度~27度、湿度が70%~80%で活発に活動します。

ハブ(水田拓氏 撮影)

ヒャン

オレンジ色に黒い横帯が入る鮮やかなヘビ。奄美大島と加計呂麻島・与路島・請島に生息し、徳之島以南には別亜種のハイが生息しています。コブラ科に属し、毒の種類は神経毒ですが、性質が温和な上に、口が小さ過ぎて人体に牙を刺すことができず、被害報告は無いようです。全長は30~60㎝、夜行性で常緑広葉樹林の森林などの湿潤な環境に棲んでいます。尾の先にとがった硬い部分があって、掴むと刺してきますが、毒はありません。

ヒャン(水田拓氏 撮影)

リュウキュウアオヘビ

トカラ列島の宝島・子宝島と奄美・沖縄諸島に広く生息しています。八重山諸島には同属のサキシマアオヘビが生息しています。奄美大島では「アオダイショウ」と呼ばれることもあり、山地から平地、人家付近まで広く見かけますが、基本は主食となるミミズの生息する湿度の高い林床に棲んでいます。体色は生息場所や個体による変異が大きく、背面は緑色や茶色で、腹面は白色や鮮やかな黄色です。無毒で全長は70~80㎝になります。

リュウキュウアオヘビ(石川拓哉氏 撮影)

アカマタ

奄美・沖縄諸島に生息しています。奄美大島では「マッタブ」と呼ばれ、人家付近から山奥まで幅広い環境に棲んでいます。性質は荒く捕まえようとすると鎌首を持ち上げて、威嚇体勢を取ります。体色は赤褐色の地に黒褐色の横縞模様が入り、一見すると毒々しいイメージですが無毒です。日本のマダラヘビ属中最大で全長80~170㎝になり、魚からカエル、ネズミまでと食性は幅広く、稀に孵化直後のウミガメも食べることがあるそうです。

リュウキュウアオヘビ(石川拓哉氏 撮影)

両生類

オットンガエル

奄美大島と加計呂麻島に生息しています。普通カエルの前足の指は4本ですが、オットンガエルは5本の指をもっていて、その指にはするどいツメが隠れています。「オットン」とは奄美の言葉で「大きい」という意味です。渓流やその周辺の森に棲み、「グッグッグフォン」と鳴きます。本種に近縁で沖縄島に生息する「ホルストガエル」よりも大きく、またオスよりもメスの方が大型となり国内のアカガエル科の中では最大種です。

オットンガエル(松田唯氏 撮影)

アマミハナサキガエル

奄美大島と徳之島に生息しています。後ろ足が長く大きくジャンプします。また、足は奄美大島のカエルの中では一番長く、とてもスマートな姿をしています。山地の渓流付近に棲み、「ピキュピキュ」と鳥のように澄んだ声で鳴きます。体色は褐色、暗い褐色、緑色などで、個体ごとの差が大きく緑色の模様が入る個体もいて様々です。鼻の穴は口先寄りに空いていて、和名や英名(tip-nosed=先端に鼻がある)の由来になっています。

アマミハナサキガエル(水田拓氏 撮影)

アマミイシカワガエル

緑色の地に金色の斑点模様があり、「日本で一番美しいカエル」と言われ、奄美大島のみに生息しています。2011年、沖縄県に生息するイシカワガエルと遺伝的に異なることが判明し、別種「アマミイシカワガエル」と名付けられました。奄美大島の個体は鮮やかな黄緑色で渓流付近に棲み、「ピュー」と高く澄んだ声で鳴きます。マングースの影響で金作原周辺では一時期見られなくなりましたが、近年回復傾向が確認されています。

アマミイシカワガエル(水田拓氏 撮影)

イボイモリ

奄美大島・徳之島、沖縄島・渡嘉敷島・瀬底島に生息しています。イモリ科の中では最も原始的な形態をとどめていて、「生きた化石」とも言われています。平地から山地にかけての常緑広葉樹林の林床に棲んでいます。成体は陸生で落ち葉や石の下で生活しています。全長は13~20㎝で日本のイモリの仲間では最大です。危険を感じると除骨を広げ、体を大きく見せる行動しますが、無毒でおとなしい生きものです。

イボイモリ(水田拓氏 撮影)

シリケンイモリ

尾の先が剣のように尖っていることが和名の由来だそうです。奄美諸島と沖縄諸島に生息しています。流れの緩やかな川や沼、湿度の高い森林や側溝などに棲んでいます。体長は10~15㎝、背中の色は黒や茶褐色で、お腹の色はオレンジ色や黄色です。体内にテトロトドキシンという毒を持っていて、お腹の色は警告色と考えられています。夜間や雨天時には、道路や林道で移動中の個体を見かけることがあります。

シリケンイモリ(石川拓哉氏 撮影)

環境省
奄美野生生物保護センター

郵便番号 894-3104
鹿児島県大島郡大和村思勝字腰ノ畑551

電話: 0997-55-8620
FAX: 0997-55-8621

【開館時間】
     9:30 ~ 16:30

【休館日】 
     毎週月曜日(祝日をのぞく)
     年末年始(12月29日~1月4日)

【入館料】
     無料