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対馬野生生物保護センター

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マレ

奇跡のヤマネコ、マレ・・・悲しい再会

1. 路上でうずくまるヤマネコ
2012年11月、寒くて凍えそうな夜に若いオスのヤマネコが道路の上でうずくまっていました、交通事故です。ほとんどのヤマネコは車とぶつかった衝撃で息絶えてしまうのですが、このヤマネコは違いました。偶然にも骨折などの大きなケガもなく、事故に遭ってすぐ地域の方からヤマネコセンターに連絡が来たため、とても早い段階でセンターが収容して治療することができました。

マレ

2. 治療
 大きなケガはなかったとはいえ、小さな身体と走っている車がぶつかればその衝撃は凄まじいものです。すぐに集中治療室に運ばれ、獣医師と飼育員で72時間監視を行いながら治療に専念しました。きっと大丈夫。この子は奇跡の子だから助かるはず、と信じながら…。

マレ

3. 野生に帰る訓練
このヤマネコは職員たちの予想をはるかに超え、あっという間に元気になりました。交通事故に遭ったヤマネコとは思えないくらいです。このような出来事は非常に稀だったため、いつしかこのヤマネコは“マレ”と呼ばれるようになりました。

元気になってからは野生に帰るためのエサを捕る訓練が始まりました。最初は簡単に捕まえられるハツカネズミやカエルから始まり、次第にアカネズミ、ドブネズミ、ハトと難易度をあげて自分で餌を狩ることができるようになるまで続けました。

マレ

4. ついに野生復帰!
2013年6月、治療と野生に帰る訓練を終え、立派に育ったマレは、保護された場所に近い上対馬町河内の山中に戻っていきました。

マレ

マレの放獣時には追跡用の首輪型発信機を着けられていましたが、すぐに遠くに移動していったようで、数日間のうちに追跡ができなくなってしまいました。そして放獣から3ヶ月が経ったころ、自然に外れたと思われる発信機が、なんと放獣した場所から約30kmも離れた豊玉町の曽で見つかりました!

マレ

「マレは、こんなに遠くまで行っていたんだね・・・・」

マレ

しかし、その後の行方は全くわからなくなってしまいました。


5. 悲しい再会

マレ

2017年2月19日、私たちとマレは、悲しい再会を果たすことになりました。


センターに、峰町三根の路上で一匹のヤマネコが死亡しているとの通報が寄せられました。職員が現場に駆けつけたとき、まだヤマネコの死体には体温が残っており、識別標識のマイクロチップを確認したところ、この死体が「マレ」だとわかりました。

マレ

マレは2度目の交通事故で命を落としてしまいました。
しかし、1度目の事故で九死に一生を得てから、4年近くも生きることができました。
マレの死体は立派な体つきで、これから多くの子ネコのお父さんになることが期待できそうなヤマネコになっており、非常に残念な結果となりました。


それでも、1度目の事故による瀕死の状態から奇跡的に生還できたのは、うずくまるマレを見つけて、迅速に通報してくださった方の行動のおかげです。


人と動物とが同じ場所で生きていく以上、交通事故のリスクはゼロにはできません。
でも安全運転に気をつけることで、そのリスクを小さくすることはできますし、もしタイミングが悪くヤマネコを引いてしまっても、故意でなければ罪にはなりません。


カズやマレ、ほかのヤマネコたちがこれ以上交通事故で命を落とすことがないよう、安全運転を心がけ、また命を救う通報を頂きたいと思います。