|
[ ホーム ] → [ とらやまの森バックナンバー ] → [ とらやまの森第10号8ページ ] |
とらやまの森第10号 |
|
対馬で季節の訪れを告げるもの |
---|
秋のソバ 初秋にいくつかの台風が対馬を通りすぎていった後、空気は澄みきった感じになり、空の青さも幾分濃くなったように感じられます。遠くの山の木々も落ち着いた色彩を増していきます。視線を下に降ろすと、かつては田んぼだった畑を白い花が埋め尽くし、そのふちやあぜを鮮やかに真紅のヒガンバナが彩っています。 ソバは、縄文時代から弥生時代にかけて日本のほぼ全域で栽培され、その実から得られる粉は、日本人の食生活にとって不可欠なものだったようです。古くは焼畑で栽培されていましたが、生育期間の短いことや手間のかからないという利点から、不作に備えるための救荒作物として注目され、現在では東北や信州などの中山間地を中心に食通をうならせる名産品としての地位が確立されています。ソバの名の起こりは、平安時代に日本では既在の麦と新しく渡来したソバとの区別をつける必要が生じたため、実の形が角になっているところから「蕎麦(ソバムギ)」と名付けられ、室町時代からムギを省略して「蕎(ソバ)」と呼ばれるようになったそうです。現在では「蕎麦」と書いて「そば」と読みます。 ソバはタデ科ソバ属の一年草木で、普通種とダッタン種(別名苦ソバ)に分けられます。日本をはじめ世界各国で栽培されている普通種の品種については、一般には在来種と改良種とに分けられ、それぞれに早生の夏ソバと晩秋の秋ソバ、それに播種(たねまき)の時期に影響されず結実しやすい中生種があります。現在対馬で栽培されている秋ソバは、原産地ネパールの在来種に大変に近いものといわれています。 ソバは播種から収穫までの期間が約70~80日と短く、気候に対する適応性も幅広く、やせた土地でも育ち、また土の乾燥や吸肥性も強い作物なので手軽に育てることが出来ます。対馬は良田になるような平地の少ない島なので、昔から山を切り拓いて焼いた木庭(こば)でソバを作り、主食である麦の補助としていました。現在では対馬でも木庭作はほとんどなく、畑や休耕田だったところに8月中旬ぐらいに種を蒔きます。4~5日ぐらいで芽が出始め2週間ぐらいで15cmぐらい伸びます。そのぐらいになると一般には間引きしますが、対馬ではそのままにしておき、ほとんど手を加えません。この時期には野生のシカにソバの芽を食い荒らされる被害が多いので、ソバを作る農家では畑の周りに網を張ってシカが中に入らないように工夫し、ソバを守ります。そんな状態でもしっかりと育ち、発芽から30~35日ぐらいで白いかわいい花を畑一面に咲かせます。開花後ソバは緑白色の実を結び、やがて完全に熟した黒褐色の種子になります。これを刈り入れ、種子が完全に乾くまで乾し、脱穀(穀物の粒を茎から取り除く)して製粉したものがソバ粉です。 ソバは健康食品としても愛好されていますが、その効能はどんなものか調べてみました。
次に、ソバの食べ方をいくつかご紹介しましよう。ソバを使った対馬ならではの料理としては、「いりやき+そば切り」・「そばがき」・「そばぼうちょう」・「そば餅」などがあります。 |
とらやまの森第10号 |
|
[ ホーム ] → [ とらやまの森バックナンバー ] → [ とらやまの森第10号8ページ ] |