蜥蜴(とかげ)
有鱗目 ヤモリ科 ニホンヤモリ 学名:Gekko japonicus トカゲ(スキンク科) ツシマツベトカゲ 学名:Scincella vandenburghi カナヘビ科 アムールカナヘビ 学名:Takydromus amurensis
対馬は島である。島と聞くと何だかトカゲの仲間やヘビの仲間がウヨウヨいるようなイメージがあるが、対馬には、へビの仲間3種類〔第5号水無月の巻で紹介〕・トカゲの仲間3種類・カメの仲間2種類のみが知られている。このように爬虫類相は豊富であるとは言えない。動物には、人間に好感を持たれるものと嫌われがちなものとがあるようだが、ヘビを筆頭に爬虫類というのは嫌われがちな動物だと思う。そんな中で、トカゲの仲間は嫌いな人もいれば好きという人もいて爬虫類のなかで中間的な立場にあると言ってもいいだろう。
ニホンヤモリは、人家等の建築物を生息場所にしていて、日没後暗くなってくると窓明かり等に出現して、集まってくる昆虫類を食べているのをよくみかける。食べられる大きさで動くものならほとんどのものはおかずになる。ヤモリの頭の2倍もあろうかという蛾をほおばっているのを目にするが、ものすごい食欲である。中国では、ヤモリのことを「壁虎」という字で表すそうだが、このようなどう猛さから来ているのかも知れない。ちなみに日本では、「守宮」,「屋守」,「家守」の漢字で表す。ヤモリが長い舌で眼をなめているのを目撃したことがあるが、ヤモリ類は他の多くのトカゲ類と違って、開閉できるまぶたを持っておらず、へビと同様、眼球の表面を透明のうろこが覆っており、その眼のうろこにゴミなどがつくと、舌でなめて掃除するらしい。ニホンヤモリの体長は、100~140mm位で、体重は3.0g前後。触るとふわふわしている。
今回の動物シリーズを書くために最初にツシマスベトカゲの捕獲を試みた。6月4日、上県町内のとある林道の入口に車を止めて、そこからは徒歩でツシマスベトカゲ探すことにした。対馬野生生物保護センターの近くの棹崎公園内でもよく日光浴をしているのを見ることがあるのだが、林道に入ったほうがたくさん見ることが出来るような気がしたからだ。ツシマスベトカゲが隠れていそうな石や倒木をめくりながら歩くこと1時間半、やっとツシマスベトカゲに遭うことが出来た。早速、写真を撮るために捕まえようとしたが、素早い動きでひらりひらりとかわされ、地面の隙間に逃げられたりして捕まえるのに大変苦労した。平地から山地にかけて生息しており、足が短く、頭胴長(頭から総排出腔までの長さ)は、40~50mm、尻尾は頭胴長より少し長い程度と非常に小さなトカゲである。昆虫や土壌生物などを捕食する。スベトカゲと言うだけあって、触った感じはスベスベしている。ツシマスベトカゲは、大陸の種と同種とされたり、別亜種として区別されたり、独立種とされたりと分類学的にはいろいろな説があるみたいだが、私も対馬に住んでいることから気分的には独立種説の肩を持ちたい。
ツシマスベトカゲに続いてアムールカナヘビの探索に出かけたが、これがなかなか姿を見ることが出来ずかなり苦労した。2日目でようやく姿を見ることができたが、巨大な石の下に逃げられ写真を撮ることすらできなかった。今度は、探し方&場所を変更してみることにした。今までは石や倒木の下をいちいちはぐりながら探していた(かなりの重労働だった)のを今回は、歩きながら見つけることにした。6月19日、峰町のとある沢沿いの林道を起点から終点まで聴覚と視覚を頼りに約3時問程歩き、作戦がよかったのかそれとも単に場所が良かったのかは何とも言えないが、20匹くらいを目撃することができた。しかし、あまりの動きの速さに(ツシマスベトカゲよりもさらに速い)捕まえることも撮影することもできず、なすスベもなく軽くあしらわれてしまった。アムールカナヘビは、体長200mm位で尻尾が頭胴長の2倍程もあり、トカゲらしい顔をしていて格好がいい。
全体的に茶褐色で腹部は白っぽい責縁色をしている。沢沿いのがれ場や草むら等に生息し、天気のいい日は日光浴をしている。警戒心が強く、人が近づくと素早い動きで、岩の隙間や穴、落ち葉の下等に逃げ込む。体の表面はがさがさしていて鮫肌のようである。もし、今回紹介した二ホンヤモリ、ツシマスベトカゲ、アムールカナヘビを見る機会があったらよく観察してみてほしい。ヤモリを除いて、その素早さに驚くことだろう・・・。 <Mk>
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