対馬野生生物保護センター

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とらやまの森
環境省 対馬野生生物保護センター ニュースレター

とらやまの森第9号

 

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やったぜ、Baby!


 4月18日の朝、待ちに待った知らせが飛び込んできた。
 福岡市動物園で飼育されているツシマヤマネコが出産をしたという連絡である。母ネコは1999年2月に捕獲しNo.8と名付けられた若いメス。今年2月中旬に交尾をしたという話は聞いていたので、そろそろかなと思っていた頃であった。
 人工繁殖を実施されている福岡市のご苦労や、初の2世誕生に至るまでの経緯については、今季号にご寄稿いただいた高田伸一氏(福岡市動物園ツシマヤマネコ飼育担当)の記事(3ページ)に詳しいが、なにはさておき、おめでたいことである。


[イラスト:Ask]

 考えてみれば、近い将来に絶滅のおそれが高いとして、国内希少野生動植物種に指定され(1994)、国が人工繁殖計画を含む「ツシマヤマネコ保獲増殖事業計画」を策定し(1995)、第一世代となる個体の捕獲作業が完了して(1999)から1年あまりでの朗報である。種の保存のための計画を1990年代になってスタートしたというのはかなり遅い方だと思うが、人工繁殖についてはスタートしてからの展開が予想以上に早い。それも本種の生息状況に危機感を募らせている多くの関係者・関係機関の努力の賜物であろう。
 以前、この「とらやまの森」でも触れたように、ツシマヤマネコの人工繁殖計画の最終目標は、増殖した個体を対馬の生息地へ再導入することによって、本種が自然状態で安定的に存続できる状態にすること(さらに言うならば、ツシマヤマネコを含む対馬の自然環境における生物多様性の保全に貢献すること:第6号参照)である。そのためにはまず、動物園の餌育下個体群が自カで維持できるように個体数を増やし、それと同時に、再導入 ゴールまでには、クリアしなければならないハードルが未だ多く残されているが、ベイビー誕生のおめでたいニュースこそが、対馬の野生生物保護と自然環境保全を具体的に進めていくための本当のスタートなのだろう。先である対馬の自然環境をツシマヤマネコの生息にとって好ましいものに改善していくことが不可欠である。


とらやまの森第9号

 

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