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環境省 対馬野生生物保護センター ニュースレター

とらやまの森第4号

 

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対馬で季節の訪れを告げるもの


ゲンカイツツジ

ゲンカイツツジ 【玄海躑躅】 ツツジ科ツツジ属(落葉低木)
学名 Rhododendron mucronulatum var.ciliatum

 対馬には、コバノミツバツツジ・ゲンカイツツジ・チョウセンヤマツツジの3種がある。これらのうち、もっとも多く生育しているのはゲンカイツツジである。本種はやや乾性の環境をこのみ、浅い土壌地や急傾斜地に生える。3月下旬、冷たい北西風の季節が終わり、対馬に春が来たことを最初に実感させてくれるツツジである。

 山地に生え、高さ2~3mになる。若枝には軟毛が多い。葉は楕円状針形で長さ4~8cm。両面やふちに腺状鱗片と毛がある。早春(3月中旬~4月)、葉より早く枝先に淡紅色の花が1~3個咲く。花色には紅紫色から淡桃色(稀に白色)まで変異がある。花冠は直径3~4cm、先が広く開いた漏斗形で、外側に軟毛がある。雄しべは10個で花系は基部は有毛。花柱は無毛。中国、四国および九州地方に分布する。

 対馬では現在でもコナラの二次林などで普通に見られるが、本土側では山草業者に濫獲されて各地で減少が著しい。とくに九州の一部地域では、本種の栽培がブームとなった1980年頃に、ちょっとした色変わりを求めて小苗に至るまで徹底的に盗掘されたことがあり、ほぼ絶滅に近い状態になっている。舟志湾(上対馬町の浜久須から舟志に至る道路沿い)にはたくさんのゲンカイツツジが咲き、海を淡紅色に染めている。


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