対馬野生生物保護センター

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とらやまの森
環境省 対馬野生生物保護センター ニュースレター

とらやまの森第6号

 

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対馬野生生物保護センターの活動から


ツシマヤマネコの死体発見

Mn-03、通称コメット
 6月13日に対馬野生生物保護センターの職員が、上対馬町北部の農耕地に面した林縁部でツシマヤマネコの死体を発見しました。この個体は人工繁殖のためのメスの確保を目的とした捕獲作業の中で昨年の11月17日に捕獲され、オスであったことから生態調査の対象として発信機を取り付け、捕獲ポイントで放したものでした。また前号でお知らせしたように、2月16日には同じ上対馬町内で保護されたことがあります。捕獲以降我々で追跡したこの個体の位置は展示室内で来館者の皆さんにご覧いただけるようにしていましたが、しばらく確認される位置がほとんど動いていなかったことから、発信機が脱落した可能性もあるとして職員が探しに行きました。残念ながら死体を発見することとなり、その死体も白骨化していたことから死因等の詳しいことはわかりませんでした。


Mn-06、通称ジョー
 7月1日、対馬野生生物保護センターの職員が上対馬町南部の茂みの中で、白骨化したツシマヤマネコの死体を発見しました。コメット同様人エ繁殖のための捕獲作業において1月15日に捕獲され、我々がジョーと呼んでいた個体でした。この死体は我々の確認よりかなり前の、死後間もないと考えられる頃に住民の方に目撃されています。その前後には猟犬と思われる見慣れないイヌが周辺を歩き回っていたのも目撃されており、犬による咬傷が元で死んだ可能性も考えられます。


 これまでの死体の発見は主にロードキル(交通事故)などによるもので、発見場所もほとんどの場合が路上やその脇です。今回2頭の死体が白骨化して発見されましたが、発信機がなければ、これらの死体の発見はなかっただろうと考えられます。今回Mn‐06の死体を目撃された方はこの個体をイエネコだと思われたそうで、我々に連絡が来ることもありませんでした。ツシマヤマネコとイエネコとの違いがよくわからないという方が島内にもまだ多くいらっしゃるということがわかりました。皆さんにもっとよく知っていただくために、今年度はヤマネコの特徴等を記したパンフレットの作成・配布を予定しています。

佐護中学校総合学習

 5月29日と6月19日の2回に分けて、佐護中学校「佐護の地域学習斑」の生徒の皆さんと先生方、あわせて16人が来館されました。これは総合学習授業の一環で、「佐護の自然を知ろう」という目的で行われたものでした。
 第1回目はレクチャールームでヤマネコをはじめとする対馬の生物相について知ってもらい、そのあとでヤマネコの保護のために何ができるかを考えてもらいました。第2回目には野外に出て実際に生息する動物たちを観察したり、工事の現場などを観察。佐護の環境が生物達にとってどういうものかを一緒に考えてみました。
 これらの経験が生徒の皆さんにヤマネコの保護について考えるきっかけになってくれたらよいのではないかと思います。また対馬に住み、これからの対馬の将来を背負っていく中学生達と意見を交わせたことは、ヤマネコの保護事業を進めていく上でのとてもよい参考になりました。
 この授業を担当された佐護中学校の松崎先生には次のページに登場していただきましたので、こちらもあわせてご覧下さい。

「ツ連協」の開催

 ツ連協とは「ツシマヤマネコ保護増殖連絡協議会」を略したものです。この協議会はツシマヤマネコの保護事業を効果的に進めるために各行政機関の連携をはかることを目的として、昨年発足したものです(とらやまの森第2号参照)。今回は8月27日に厳原で開催され、環境庁・林野庁・長崎県各関係部署・対馬保健所・対馬町村会、島内各町等から26人が集まりました。各機関がツシマヤマネコの保護のために行っている取り組みについて説明し、それらについて議論しました。
 環境庁・長崎県や林野庁の取り組みについてはこれまでにも「とらやまの森」を通じて何回かお知らせしていますが、新たな話題として、野生生物に配慮して実施されている公共事業が紹介されました。上県町内の国道382号線で行われている道路改良工事はエコロード事業として進められているとのことでした。また同町内の広域基幹林道飼所舟志(かいどころしゅうし)線では野生生物保護対策として、集水枡に傾斜をつけるといった配慮を行った工事を行っているそうです。

 ※エコロードとは野生の動物にも配慮をして造られる道路のことで、西表(いりおもて)島ではイリオモテヤマネコがよく目撃される道路の下にアンダーパスと呼ばれるトンネルを作り、交通事故の減少を目指しているそうです。実際にこのトンネルを利用していることも確認されており、有効な方法だと考えられています。
 その他にもカメなどの小動物が側溝に落ちないようにしたり、落ちても出られるように傾斜をつけるといった配慮が行われているところもあります。
 今後こういった配慮が増えることを期待しています。 <E>


とらやまの森第6号

 

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