対馬野生生物保護センター

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環境省 対馬野生生物保護センター ニュースレター

とらやまの森第7号

 

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対馬の野生生物シリーズその7


マナヅル、ナベヅル

ツル目 ツル科 マナヅル 学名:Grus vipio ナベヅル 学名:Grus monacha

※ マナヅル・ナベヅルともに、ワシントン条約付属書1に掲載、絶滅危惧種2(環境庁1997)
(1,2はローマ数字)

 対馬の冬は寒く感じる。その寒さ故に何となく淋しい気持ちになったりする。朝、いつものように対馬野生生物保護センターに出勤する為に、車を走らせる。佐護平野の直線道路にさしかかったところで、でっかい鳥の集団が目に飛び込んでくる。マナヅル・ナベヅルの群である。車を止め、仕事に行くことも忘れてしばらくの間ツルの群を観察することにした。50羽くらいの集団内に、よく見ると2~3羽ずつの家族グループがあるようだ。「クルルル」などと鳴きながら休息しているのを見ると、何とも言えないようないい気分になる。「鶴の一声」とはよく言ったもので、かなり威圧感があり、一度聞いたら忘れられない声だ。
 マナヅル・ナベヅルは、ロシアの極東地域のアムール川流域などで繁殖し、冬になると越冬地として有名な鹿児島県の出水市などに飛来して冬を越す。対馬には南下するときや、北へ帰るときに小休止のため立ち寄ることがある。

 ナベヅルは小型のツル(全長:100cm、翼開長:150~160cm、体重:3,500~4,000g)であり、くちばしの付け根から額にかけてが黒と赤で首は白い。体は黒っぽい灰色で足は黒い。越冬地ではおもに水田に生息し、集団でねぐらをとる。穀類・草の根・昆虫類や魚類などを食べる。雑食である。マナヅルは中型のツル(全長:130cm、翼開長:160~208cm、体重:4,750~6,500g)で、目のまわりが赤く、目の後ろの方に灰色斑がある。
 頭頂からのど・首の後ろにかけては白。体は灰色で足は薄いピンク色。越冬中の生活はナベヅルとほとんど同じで、渡来する時期はナベヅルよりも少し遅くて、渡去するのは早い。ツル類は、一度つがいになると片方が死ぬまで連れ添うらしい。最近、離婚の多い我々人間も見習いたいものである。

 出水市で越冬するツルたちの数は、ナベヅルが数千羽以上でマナヅルはその1/4程度とナベヅルの方が圧倒的に多いが、対馬で休息するのはマナヅルの方が多くナベヅルは少数しか見られない。今年は、越冬するナベヅル・マナヅルがいつもより早いペースでぞくぞくと出水市に集まっている。この調子でいくと1997年度に記録した10,469羽を越えるかもしれない(1999.11.5付毎日新聞による)。これだけの数のツル達が越冬地に来ると言うことは、中継地であるこの対馬に寄り道するグループも多いかも知れない。とても楽しみである。  <Mk>


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