対馬のへビ類
有鱗目 ナミヘビ科 アオダイショウ 【Elaphe climacophora】 ナミヘビ科 アカマダラ 【Dinodon rufozonatus rufozonatus】 クサリヘビ科 ツシママムシ 【Agkistrodon tsushimaensis】
「ヘビ」という動物は、昔話などでもたびたび悪者として登場するように、人間に嫌われがちな動物だと思う。私もヘビのことを、「大好きです♪」とは言えないが、へビが活発に野山を這いまわっているこの季節には、やはり紹介しないわけにはいかない。 日本にはウミヘビ類を含めて39種のヘビがいるが、その中で対馬でみることが出来るのは、たったの3種類だけだ。 アオダイショウは、日本型のヘビで知らない人はいないくらいにメジャーである。対馬では、「ナガムシ」と呼ぶ人も多く、その名の通りこの島では一番長いヘビである。近くでみると大きくて臭いので「ギョェ」と思うが、毒はないので安全なヘビだ。小型の鳥獣などを主食としていて、民家に潜むネズミなども捕れば、鶏舎の卵も盗むといった具合だ。
アカマダラは、大陸型のへビで日本では対馬と尖閣列島のみに生息しており、名前通りに赤と黒のマダラ模様で見た目はちょっと毒々しいヘビだが、これも無毒なヘビである。対馬では「アキリョウ(あるいはアクリョウ)」と呼ばれていて、森林や水田で生活しており、カエルをよく食べ、ヘビなどの爬虫類や他の脊椎動物も食べる。テレメトリー調査で田んぼのあぜ道などを歩いているとよく遭遇することがあり、あまりの毒々しさに「ウォッ」とビックリすることがある。
ツシママムシは、対馬固有型のヘビで、対馬にのみ生息している。対馬では「ヒラクチ」と呼ばれており、体長は20~60cmと小さいが、毒をもっていることから恐れられている。森林や水田などで生活していて、カエル・ネズミを中心にいろんな小型の脊椎動物を食べる。
性格は、ニホンマムシよりも神経質なうえに攻撃的で、毎年、何件かの咬症(こうしょう)事故を耳にする。わざわざマムシの方から近寄って来てまで咬むことはないと思うが、ツシママムシの斑紋は枯葉などの色に似ていて見分けにくく、気づかずに近寄ってしまい咬まれることが多いようだ。また、毒は出血毒といい、血液や血管系に作用し、咬まれたときの注入される毒量が少なければ出血したり、腫れあがったりするだけで済むが、多ければ急性腎不全を起こすことがあり、手当が遅れると死亡することもあるので、十分な注意が必要である。私も林内などでヒラクチに何回も出会ったことがある(飼っていたこともある)が、その度に「ドキッ」として冷や汗をかくことが多々あった。
毒を持ったちょっと危ない奴もいるが、対馬には3種類のヘビしかいないので区別するのは簡単である。大きさ、色、模様などを見てみるのもいいかも知れない。咬まれたら、慌てず焦らず、早めに処置すること。センターの本棚に処置に関する良い本がある。 <Mk>
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