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九州地方環境事務所

報道発表資料

2022年10月03日
  • 報道発表

福岡県福岡市及び糟屋郡久山町におけるツマアカスズメバチ緊急防除の実施について

<福岡県、福岡市、久山町同時発表>

外来生物法に基づき特定外来生物に指定されているツマアカスズメバチが、令和4年5月以降、福岡県福岡市東区及び久山町等で確認されてきたことを受け、在来の生態系や養蜂業への影響を抑えるため、環境省九州地方環境事務所では生息状況等調査や、巣を発見し駆除することを目的に巣の探索調査を実施しています。また、その結果も踏まえつつ平行して行なわれた九州大学による調査では1個の巣が発見されました。他方、全ての巣を発見できない可能性も考慮し、巣の位置が不明であっても防除が可能な化学的防除も実施することとしました。化学的防除は、周辺にスズメバチ類が集まる可能性もあり、防除現場においてはできるだけ近づかないようにお願い致します。

1.福岡市及び久山町におけるツマアカスズメバチの初確認以降の経緯

令和4年4月28日に福岡市東区、5月6日に久山町において、私有地内でスズメバチの個体(それぞれ1個体)が発見されました。専門家による種の同定の結果、5月9日にいずれの個体もツマアカスズメバチの女王バチであることが確認されました。その後、5月19日から6月6日にかけて実施した調査で、久山町において1個体(オスバチ)が新たに確認されました。
さらに、6月29日から7月15日にかけて個体(オスバチ)の確認地点周辺で調査を実施したところ、新たなツマアカスズメバチの個体は確認されませんでした。
しかし、九州大学の上野高敏准教授による調査で8月以降、久山町及び篠栗町においてツマアカスズメバチが再度確認されました。
 
 ※詳細については、報道発表資料を御参照ください。
  令和4年5月9日(月)発表
   「福岡県福岡市におけるツマアカスズメバチの確認について」
    http://kyushu.env.go.jp/pre_2022/post_158.html
  令和4年5月10日(火)発表
   「福岡県糟屋郡久山町におけるツマアカスズメバチの確認について」
    http://kyushu.env.go.jp/pre_2022/5.html
  令和4年6月8日(水)発表
   「福岡県福岡市及び糟屋郡久山町におけるツマアカスズメバチ生息状況等緊急調査の結果について」
    https://kyushu.env.go.jp/pre_2022/68.html
  令和4年7月20日(水)発表
   「福岡県糟屋郡久山町におけるツマアカスズメバチ生息状況等緊急調査の結果について」
    https://kyushu.env.go.jp/press_00010.html

2.今般の調査及び防除の概要

令和4年9月10日から25日にかけて、これまでツマアカスズメバチが確認された地点から3km圏内を中心に、公園や緑地、樹林地等、ツマアカスズメバチの営巣の可能性がある場所に約700個のトラップを設置しました。また、同期間中、同様の範囲において個体及び巣の目視調査を併せて行いました。当該調査では、福岡市東区、久山町及び篠栗町内でツマアカスズメバチ約30個体が発見されました。さらに、こうした調査の結果及びこれまでの確認情報から、関係機関と連携し、ツマアカスズメバチの巣が存在する可能性が高いと考えられる久山町山田、久原及び福岡市東区下原周辺にて、蜜によりツマアカスズメバチを誘引し、帰巣する方向を追跡することで巣を発見し駆除することを目指す巣の探索調査を実施しています。また、その結果も踏まえつつ平行して行なわれた九州大学による調査では福岡市東区にて1個の巣が発見され、九州地方環境事務所により駆除を行います。
加えて、巣の探索調査と並行し、全ての巣を発見できない場合でもツマアカスズメバチの駆除を行える方法として、同じ範囲で市販のスズメバチ駆除用薬剤を用いた化学的駆除を実施します。これは、薬剤を含んだスズメバチ類が好む餌が入ったトラップにツマアカスズメバチを誘引し、巣に薬剤を持ち帰らせ、巣に生息している他のハチに分け与えることで巣ごとツマアカスズメバチを駆除するものです。薬剤には、ミツバチが嫌う成分を配合するなど養蜂に配慮した成分となっており、ミツバチが誘引されることはなく、養蜂に与える影響はほとんどありません。
なお、調査に関しては九州大学の、化学的防除に関しては国立環境研究所の指導の下で、順次、準備・実施をしています。

スズメバチ駆除用薬剤の外観(写真提供:アース製薬株式会社)
スズメバチ駆除用薬剤の外観(写真提供:アース製薬株式会社)

3.今後の対応

ツマアカスズメバチは、高い繁殖力と分布拡大能力を有していることから、一旦定着してしまうと根絶が難しく、在来の生態系に対して被害を与えるほか、ミツバチを好んで捕食することから、養蜂業にも影響が出ると考えられ、早期発見、早期駆除により定着前に根絶を図ることが重要です。そのため、巣の探索及び化学的防除を実施することとしました。
防除の効果については来春以降に再度調査を行うとともに、関係機関と協力し、引き続き侵入の監視等に努めます。

4.住民の皆様へ

ツマアカスズメバチは生態系や養蜂業等に悪影響を及ぼすおそれがあり、警戒が必要です。在来のオオスズメバチ等と比較して、特に人体に関わる被害が大きいことはありません。
福岡市及び久山町で初めてツマアカスズメバチが確認された事例では、養蜂関係者からの迅速な通報により、早期に対策を実施することができました。早期発見、早期駆除のため、福岡県内においてツマアカスズメバチと疑われる個体や巣を確認された場合は、お住まいの自治体または九州地方環境事務所までご連絡いただき、情報提供にご協力のほどよろしくお願いします。
また、化学的防除に使用する薬剤につきましては、人目につきにくい場所へ設置しますが、周辺にスズメバチ類(在来スズメバチ類を含む)が集まっている場合がありますので、防除現場を目撃した場合でも、できるだけ近づかないようにお願いいたします。

5.情報提供のお願い

九州地方に限らず、ツマアカスズメバチの定着が確認されている地域(韓国・釜山港など)と往来のある港湾等においては、侵入のリスクがあります。
地方自治体や駆除業者、養蜂業者の方々につきましては、ツマアカスズメバチと思われる個体が発見された場合には、管轄区域の環境省地方環境事務所にご連絡ください。
連絡先URL:http://www.env.go.jp/region/index.html

お問い合わせ先

環境省
九州地方環境事務所 野生生物課

課長: 大澤 隆文
課長補佐: 安藤 忍
TEL: 096-322-2413
 
(化学的防除の科学的内容についての問合せ先)
国立環境研究所 生物多様性領域
生態リスク評価・対策研究室
 
室長: 五箇 公一
TEL:  0298-50-2480