外来生物対策-ソウシチョウ・ガビチョウの捕獲、飼養等の禁止について
ソウシチョウ・ガビチョウの捕獲、飼養等の禁止について
1.背景
ソウシチョウ、ガビチョウはスズメ目チメドリ科に属する小型の鳥類です。美しい姿や鳴き声を楽しむため、江戸時代頃からペットとして輸入され、飼育されてきました。またソウシチョウは、フンを化粧品(ウグイスの粉)の代用品として利用するため、大量飼育されていた例があります。人気のあるペットでしたが、声が非常に大きいため、昨今の住宅地では騒音として問題となったことで人気が落ちたことや、外来生物法により特定外来生物に指定されたことなどから、飼っていた人が逃がしたり、売れ残った在庫の扱いに困った業者が投棄したり、あるいは逃げ出したりといった幾つかの要因から、野外に定着したと考えられています。
九州では違法飼育の例が多く見られることから、九州地方環境事務所では、チラシを作成し、ソウシチョウ、ガビチョウに関する普及啓発に取り組んでいます。
- 啓発用チラシを作成したのでご活用下さい。
(チラシ)ソウシチョウ、ガビチョウの捕獲、飼育は法律で禁止されています [PDF 487KB]
2.ソウシチョウ、ガビチョウの紹介
ソウシチョウ Leiothrix lutea
- 原産地 :
- 中国中部・南東部、ヒマラヤ西部、インド・アッサム地方、ベトナム北部からミャンマー北部
- 特徴 :
- 全長15cm程度(スズメより少し大きい)の小鳥です。頭部から背中にかけて暗緑色から灰緑色、目の周りから頬にかけて黄白色、喉が黄色で胸がオレンジ色、嘴は赤く、翼には黄色と濃赤色の斑紋があります
- 生態 :
- 昆虫や果実などを食べる雑食性の鳥です。標高の高い地域(だいたい標高1000m程度)のササの発達した落葉広葉樹林で繁殖し、越冬期には低標高地に移動する漂鳥で、竹林や笹藪(ささやぶ)を好んで生息します。越冬期には大きな群れで行動することもあります。
ガビチョウ Garrulax canorus
- 原産地 :
- 中国中南部、海南島、台湾、香港、ベトナム北部、ラオス北東部
- 特徴 :
- 全長25cm程度(ヒヨドリより少し小さい)で、全身は茶褐色、尾は黒色で、頭頂や首、胸に黒褐色の縞模様があります。また、目の周りから後方にかけて白い筋があります。
- 生態 :
- 丘陵地、平野部の低木林や竹林に生息し、特に藪の中を好みます。主に地上で昆虫や果実などを食べ、あまり高く飛びません。ソウシチョウと違い、定着性が強く渡りをしない留鳥です。非繁殖期には群れを作ることもあります。また、時折他の鳥のさえずりを真似することがあります。
※参考:外来生物同定マニュアル
3.侵入状況
両種とも東北、北陸以南の本州、四国、九州に広く分布しており、特にソウシチョウは分布を拡大しているとされます。九州では、ソウシチョウは離島を除いた全県で生息が確認され、ガビチョウは鹿児島県以外の6県で確認されています。ガビチョウは渡りをせず、地上採食性が強く積雪の影響を受けやすいためか、ソウシチョウよりも分布は広がっていません。
4.生態系への影響
ソウシチョウでは、営巣場所にカケスなどの捕食者が誘引されるなどの事例が知られ、同じように藪の中で営巣するウグイス等の繁殖に悪影響があることが知られています。また、近年の爆発的な個体数の増加が在来種に影響を与えている可能性が指摘されており、各地で鳥類相が変化しているとの報告もあります。ガビチョウでははっきりとした事例は知られていませんが、ソウシチョウとともに、1910~1920年代に導入されたハワイでは、生息場所やエサを巡る競合によって、在来鳥類が減少した一因であると考えられています。
5.捕獲、飼養等の禁止について
ソウシチョウは飼育しやすいためか、違法に捕獲 ・ 飼育されている例が時折見られます。野生の鳥類の捕獲は鳥獣保護法により規制されています。また、ソウシチョウ、ガビチョウは外来生物法に基づく特定外来生物に指定されているため、飼育、運搬等が規制されています。 詳しく知りたい方は、下記ページをご参照ください。