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環境省 対馬野生生物保護センター ニュースレター

とらやまの森第33号

 

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野生動物の視点から交通事故を考える


野生動物の視点から交通事故を考える
ー交通事故現場検証の一例からみえてくるものー

 交通事故現場周辺の環境や野生動物の生活の様子を把握することは、効果的な事故対策を行う上でとても重要です。動物の視点から事故現場を見ることによって、その場所で事故が発生した背景が明らかになり、今後の野生動物にやさしい道路整備を考える上での参考とすることができるからです。ここでは最近の事故発生現場の検証例から、交通事故発生の背景について紹介します。


餌場

餌場

 水場にはカエルなどの小動物が数多く棲んでおり、ヤマネコなどの絶好の餌場になっていることがわかりました。


通り道

通り道

 道路の下の谷には排水管が通っており、フンや足跡から動物たちが利用していることがわかりました。


棲みか

棲みか

 周囲の山々は標高が低く、広葉樹林の広がる、ヤマネコの生息に最適な環境でした。


橋の付近は要注意!…

 移動経路となる谷から道路に上がりやすい橋の付近は、動物たちが道路を横断する可能性が高いと考えられます。



交通事故現場付近

道路が生息地を分断している

 道路が棲みかとなる山と、餌場となる水場とを分断しているため、多くの動物たちが道路を横断しなければならない状況でした。

動物が道路に侵入しやすい

 吹付け法面やフェンスなどの遮断物がないため、動物がいたるところから道路へ侵入可能でした。道路脇には数多くの動物の糞や足跡、けもの道が確認され、動物たちが頻繁に道路を横断していると考えられます。

動物たちが排水管を利用して道路を横断している

 分断された生息地を往復するために、動物たちが道路の下を通る排水管を通路として利用していました。しかし排水管の出入口がゴミで塞がった状態や、増水によって利用できない場合、動物たちは道路上を横断することを余儀なくされます。

道路を生活の場として利用している

 道路は横断するだけでなく、時期によっては路上に出てくるカエルなどを捕らえるための餌場として、また谷から谷への移動の際にも道路上を歩くことが考えられます。

対馬の道路

 交通事故の発生には野生動物の生態や道路の構造上の問題など、さまざまな要因が重なり合っていることがわかりました。これらの問題を一つずつ理解・解決してゆくことが、より効果的な事故防止につながります。センターでは今後も関係機関と協力しながら、人にも、動物にもやさしい「対馬の道路」づくりを目指していきたいと考えています。



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