対馬野生生物保護センター

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とらやまの森
環境省 対馬野生生物保護センター ニュースレター

とらやまの森第11号

 

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対馬で季節の訪れを告げるもの


初春 梅

サクラ属〔落葉小高木~高木〕 学名:Prunus mume

 風雪に耐え一番先に花を咲かせる「ウメ」。通勤の途中で見かける「梅の木」も小さなつぼみをつけ始め、花を咲かせる時期になりました。対馬では、ウメは裏山や民家の庭などで栽培され、満開の頃には塀の上から枝をのぞかせ、ほのかな香りで道行く人々を楽しませてくれます。今回は、そんなウメを紹介したいと思います。

 一般には、庭や畑で栽培されますが、時に暖地で野生化しているものもあります。花は1月下旬~3月、葉に先だって咲き、通常白色ですが、紅白、淡紅白の物もあります。雄しべは多数で花弁より短く雌しべは一個、子房には密毛があります。果実は直径2~3cmのほぼ球形で表面に密毛が生え、片側に浅い溝があります。
 6月頃、黄色に熟し、果肉は酸味の強い味がします。核はやや扁平な楕円形で、核面にはたくさん穴があります。果実は梅干や梅酒にする他、仁は薬用に使われます。中でも梅干は、古くから 1.食べ物の毒 2.血の毒 3.水の毒の「三毒」を断つと言い伝えられ、現在では、五大効能として、1.血液浄化 2.活力増進 3.殺菌効果 4.老化防止 5.疲労回復があると言われています。梅干を作る季節は初夏であり、その作り方にもその地方独特のやり方があると思いますが、今回は対馬で私達がやっている作り方を書いてみようと思います。

 用意する物。ウメの実(黄色から少し赤くなったもので、甘酸っぱい桃の様な香りのするものを選ぶのがポイント。)ウメを入れる容器(瀬戸物でも良いのですが蓋を開けて中を確認する際力ビの胞子が入るのが心配なので、開けなくても中を確認できるガラスびんが良いと思います)、ボウル、塩(量は梅に対して8%~12%)、焼酎(甲種)。

  1. まずウメを、12時間程真水に浸けておきます。
  2. 次に容器と塩を用意。容器と蓋を洗い熱湯をまんべんなくかけて殺菌します。乾燥させた後、焼酎で拭いてしっかり消毒します。これが梅干をカビさせないこつの様です。
  3. ボウルに焼酎をたらし(カビ防止です)、一握りの塩をいれます。そこにへたを取ったウメを数個ずついれ、よく混ぜ合わせて表面にまんべんなく塩がつくようにします。
  4. ウメを容器の底に手早く一段並べ、その上に塩をまき二段目をのせます。塩とウメを交互に積んでゆき全部積み終わったら残った塩をまき、蓋をして仕込み完了。風通しの良い涼しい場所に4週間~6週間程置いておきましよう。2~3日で梅酢があがってきますので上の方の梅にも梅酢がかかるように時々ビンをゆすって下さい。
  5. いよいよウメを干します。夏の2日~3日間天気の安定しそうな日を選びましょう。きれいに洗ったザルに漬けておいたウメを1個ずつ干していきます。ウメがザルにくっつき形がくずれる事がありますので2時問~3時間程たったらウメの裏表をひっくり返しましょう。
  6. 2~3日ウメを干したら色つけです。まずきれいに洗った赤ジソの葉を用意し、塩でもんで絞り灰汁(あく)を捨てます。次にウメを漬けていた「梅酢」をシソにかけながら何度か絞ります。出た汁を梅がかくれるぐらいまで入れ、上からシソをのせましょう。漬けたウメが赤く染まれば梅干のできあがりです。

 さてうまくできたでしょうか、楽しみです。 <AB>



福岡市動物園のツシマヤマネコ情報コーナー

 福岡市動物園では、ツシマヤマネコ保護増殖事業の一環として飼育下において個体数の増加を目指す人工繁殖事業を実施中です。とらやまの森9号で「飼育下におけるツシマヤマネコの繁殖について」というタイトルで同園ツシマヤマネコ飼育員の高田さんから詳しく報告していただきましたように、昨年4月に待望の2世が1頭(No.9メス)誕生したことは、ツシマヤマネコの「種の保存」にとって大きなニュースでした。9~10号で昨年9月まで順調に成長しているNo.9の様子が報告されていますので、今回は高田さんと同園動物病院の今田先生から伺った9月以降の飼育状況をお知らせします。

  • 9月になって、同居していた母ネコ(No.8)の残り餌をNo.9が食べるようになったため、与える餌の量を増やした。しかし、母ネコが大部分を食べてしまうようになった。運動場でも母仔が離れて行動するようになったため、親離れの時期であると考え、分けて飼育することにした。
  • 9月18日生後154日(5ケ月)目。体重2,350g。No.8とNo.9を別々の獣舎に分けて、別居させる。
  • 10月入ると、身体は大き〈なって一見成獣(おとな)のように見える。しかし、巣箱の中に入れてあった乾草を引き出して遊んだりといった、親では見られない行動が認められる。
  • 10月1日 巣箱から乾草を引き出す。
  • 10月2日 巣箱から乾草を引き出す。運動場の切り株の樹皮を剥がす。枯れ枝で遊んだのか寝室内へも枝を運びこむ。
  • 10月3日 巣箱から乾草を引き出す。コナラの技が散らかっている。
  • 10月13日 巣箱から乾草を引き出す。
  • 10月16日 生後約6ヶ月目。体重2,500g。
  • 11月以降も、身体は順調に成長し、行動も発達してきている。
  • 11月8日 巣箱から乾草を引き出す。運動場の草と戯れる。
  • 11月17日 生後約7ヶ月目。体重2,840g。

その他

  • 10月17日 九州地区獣医三学会で日本産ヤマネコのシンポジウムが開催される(福岡)。
  • 12月5~7日 第48回動物園技術者研究会で高田さんが「ツシマヤマネコの飼育と繁殖について」発表。

 育児期間中の給餌量についてや発情時期の見極めをどうやったのかなどの活発な質問も出て、他の動物園関係者にとっても関心が高いことが分かった。
 現在は、次の繁殖を目指して今年のペアリングについて検討しているところ。早くNo.9も繁殖できるようになって、3世の誕生に結びつければと願っている。

 今後も、福岡市動物園で飼育しているツシマヤマネコの様子について新たな情報があれば、本誌でお知らせしていきます。  <T2>


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