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5月4日の日曜日、上県町のヤマネコ痕跡調査ルートの林道で、ツシマヤマネコ痕跡探しハイキングを行いました。
ツシマヤマネコの落し物、フンが残してくれる情報をどうやって調べるのか、自然観察をしながらその調査法を学びます。
ゴールデンウィーク期間中ということもあり、島外からの参加者も多く、楽しいハイキングとなりました。
痕跡探しハイキング、テレメトリー調査体験、ツシマヤマネコ博士養成教室のイベントに参加するとヤマネコバッジが贈られ、3つ揃うとツシマヤマネコ博士に認定されます。今回は厳原から姉弟の2人のヤマネコ博士が誕生し、これでヤマネコ博士は、上対馬町から2人、厳原町から3人の合計5人になりました。
めざそう!ツシマヤマネコ博士!
まずはセンターのレクチャールームで痕跡探しの目的や意味、諸注意などの説明を聞いていただきます。「フンの調査は、ツシマヤマネコの生息を確認するもっとも確実な方法のひとつなのです。」(ツシマヤマネコ応援団団長・長崎さん)
「なるほど~」(参加者のみなさん)
「フンには雑菌がいるので、素手で握らないでください」(長崎さん)
「はい・・・(握らないってば・・・)」(参加者のみなさん)
数台の自動車に分乗して、ツシマヤマネコが生息する山へ移動します。
いよいよフン探し開始!
「フン、ないね~」
「ヤマネコ、このあたりにいるのかな~」
下を見ながらぞろぞろ歩く、ちょっと怪しい集団かも?
「ヤマショウビンいないかな~」
ゴールデンウィークは野鳥の渡りの時期と重なるため、バードウォッチングのために対馬にやってくる人も多いのです。
「あった!」
フン第1号発見!
「おお、これが・・・」
参加者がみんな集まってきます。
「立派なフンですね・・・」
「ほやほやかも」
要領がつかめたのか、次から次にフンが見つかります。
「これもヤマネコのフンかな?」
「間違いないですね」
「やった!!」
さらに道路わきの泥の上でヤマネコの足跡を発見!
石膏を流しこみ、足跡の型を取っているところです。
「まだ固まらない?」
「もうちょい待って」
「まだ?」
「もうちょい~」
綺麗な鳴き声が聞こえてきたのであたりを見回すと、樹の上にオオルリがいました。
恋の相手を探しているのか、縄張りを宣言しているのか、わざわざ目立つところで大きな声でさえずっています。
それにしても藍色の美しいこと!
みなさんがフンをゲットしたので、センターに帰って詳しい調査を行います。
まずはフンを容器に入れて、水を加えてほぐします。
「ほら、ヤマネコが何を食べているのか、見えてきたでしょ?」
「あっ、ほんとだ!」
「うーむ、ネズミを食べたのかな・・・」
「こちらは鳥のようですね」
島外から参加したご夫婦です。生物の調査関係の仕事をされているそうですが、ヤマネコははじめてとか。
「これ、ネズミの骨かなあ?」
「そうね~」
適当にほぐれたところで、顕微鏡を使って観察します。
こちらはご家族連れですが、中央の小さな女の子は、センター職員も驚くほど器用にピンセットを操って内容物を取り出していました。
大人も真剣です。
「ボクのフンには鳥の羽根やネズミの骨がたくさん入ってます」
「いいなあ・・・」
ヤマネコの主食はネズミですが、その他にも、ヒミズというモグラの仲間(落葉の下などを移動します)や、カモなどの野鳥類、整腸剤としてイネ科の植物なども食べます。
ちなみに、ネズミは穀物を食べるので奥歯が臼(うす)状になっていますが、ヒミズはミミズなどを食べるので奥歯はカミソリ状です。
顕微鏡で観察すると、こんな小さな歯の形まではっきり見えます。
さきほどのご家族連れが、センター職員に写真を撮ってもらっています。
「はい、にゃんこ!」
(パシャ!)
観察を終え、痕跡調査に参加した証明となるヤマネコバッジの授与式です。
テレメトリー調査体験・ツシマヤマネコ博士養成教室・痕跡調査ハイキングの3種類のバッジが揃うと、ツシマヤマネコ博士に認定されます。
今回は、対馬・厳原(いづはら)町から2人のツシマヤマネコ博士が誕生しました。
ツシマヤマネコ博士の姉弟と、そのご両親です。
最後に記念撮影。
「はい!にゃんこ!」
(パシャ!)