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九州地方環境事務所

ツシマヤマネコニュース

ツシマヤマネコの死体収容について

2015年12月15日
センター職員日誌 西野

平成27年12月10日(木)、対馬市上県町佐護の国道382号において、ツシマヤマネコの死体を対馬野生生物保護センター(以下、「センター」といいます。)が収容しましたのでお知らせします。

1 死体が収容された経緯

  平成27年12月10日(木)午後7時頃、センター職員が上県町佐護の国道382号においてツシマヤマネコ死体を発見し、午後7時30分にセンターに収容しました。

  なお、今回の収容地点は12月8日(火)に死体を収容した地点から約500m離れた場所でした。

2 死体の個体情報

①性別 メス

②年齢 成獣

③体重 2420g 

④個体の状況 頭骨骨折、腹部ヘルニア、尾部の骨折が認められ、広範囲に損傷していることから、複

        数回に渡って轢かれたものと推測されます。

         また、歯の欠損、レントゲンの骨状態から、比較的高齢個体と推測されます。体格は問  

        題の無い程度でした。

                    

⑤死因     死体の状態及び発見場所が路上(国道382号の道路中央)だったことから交通事故の可能 

       性が高いと思われます。詳細については、岐阜大学に病理解剖を依頼しています。

⑥FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性

   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)


3 今後の対応

今後は以下の対策を継続・実施予定です。

○短期的な対策

・交通事故箇所への交通事故防止移動式看板の設置

・パンフレット・チラシの配布、交通事故防止キャンペーンの実施等による普及啓発

・対馬市ケーブルテレビ等をつうじた注意喚起

○中長期的な対策

・カルバートをはじめ、交通事故防止に配慮した道路・河川構造物の設置等に向けた関係機関との現場での検証、協議

・道路への急な飛び出しを防止する構造物等について、飼育下個体を用いた行動実験による効果検証


4 これまでのツシマヤマネコの交通事故について

  今回の事故により、平成4年度以降の交通事故発生件数は累計で90件(81頭死亡)となりました。前回のツシマヤマネコの交通事故は平成27年12月8日であり、交通事故ゼロ記録は1日間でした。

また、今年度は、8件目の交通事故となります。


5 普及啓発の内容

  本年度は過去最悪のペースで交通事故が発生しており、環境省、長崎県、対馬市では、「ツシマヤマネコ交通事故多発警報」を発令し、注意を呼びかけているところです。

冬期はツシマヤマネコ(ヤマネコ)の行動範囲が広くなり、例年、ヤマネコの交通事故が多発する傾向にあります。

また、これから年末年始にかけては帰省等による交通量増加により事故発生の危険性が高まります。特に夕方から明け方にかけてはヤマネコの行動が活発になるため、ヤマネコの飛び出しに十分注意して安全運転を行ってくださいますようお願いいたします。

  万一ヤマネコをはねてしまっても、故意でない限り罪に問われることはありません。事故発生時の状況は今後の事故対策を進める上で大変重要な情報となりますので、ヤマネコをはねてしまった、または道路上で死んでいるヤマネコを見かけた場合は、対馬野生生物保護センター(0920-84-5577)までご連絡ください。