ツシマヤマネコニュース
ツシマヤマネコの死体収容について
2015年05月19日 平成27年5月15日(金)、対馬市豊玉町嵯峨の市道及び上県町瀬田の国道において、ツシマヤマネコの死体を対馬野生生物保護センター(以下、「センター」といいます。)が収容しましたのでお知らせします。
1.豊玉町嵯峨収容個体
(1) 死体が収容された経緯
平成27年5月15日(金)午前8時頃、住民よりセンターに豊玉町嵯峨の市道上にてツシマヤマネコの死体を発見したとの連絡があり、午前10時30分頃センターに収容しました。
(2)死体の個体情報
①性別 オス
②年齢 成獣
③体重 2160g
④個体の状況 体格は良好で、頭蓋骨粉砕骨折及び左眼球突出が認められました。
⑤死因 死体の状態及び発見場所が路上(市道仁位貝鮒線のカーブ付近の道路中央)だったことから交通事故の可能性が高いと思われ ます。詳細については、岐阜大学に病理解剖を依頼しています。
⑥FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
(FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)
2.上県町瀬田収容個体
(1) 死体が収容された経緯
平成27年5月15日(金)午後7時頃、住民よりセンターに上県町瀬田の国道にてツシマヤマネコの死体を発見したとの連絡があり、午後8時頃センターに収容しました。
(2)死体の個体情報
①性別 オス
②年齢 成獣
③体重 2000g
④個体の状況 体格は良好で頭蓋骨粉砕骨折及び右眼球突出が認められました。
⑤死因 死体の状態及び発見場所が路上(国道382号線の道路中央)だったことから交通事故の可能性が高いと思われます。詳細については、岐阜大学に病理解剖を依頼しています。
⑥FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
(FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)
3 今後の対応
今後は以下の対策を継続・実施予定です。
○短期的な対策
・交通事故箇所への交通事故防止移動式看板の設置
・パンフレット・チラシの配布、交通事故防止キャンペーンの実施等による普及啓発
○中長期的な対策
・カルバートをはじめ、交通事故防止に配慮した道路・河川構造物の設置等に向けた関係機関との現場での検証、協議
・道路への急な飛び出しを防止する構造物等について、飼育下個体を用いた行動実験による効果検証
4 これまでのツシマヤマネコの交通事故について
今回の2件の事故により、平成4年以降の交通事故発生件数は累計で84件(75頭死亡)となりました。前回のツシマヤマネコの交通事故は平成26年12月17日であり、交通事故ゼロ記録は149日間でした。
また、今年度は、この2件が初めての交通事故となります。
なお、過去に1日に2件発生した事例は平成22年11月1日と平成24年12月6日の2例です。
5 普及啓発の内容
交通事故は若い個体や繁殖している個体も死亡してしまうため、ツシマヤマネコの個体群への影響は特に重大です。
また、交通事故の発生地点は以前は上島北部に集中していましたが、今回の豊玉町嵯峨のように近年は上島南部や下島北部でも発生しており、ツシマヤマネコの分布拡大を妨げる大きな要因となっていると考えられます。
交通事故の発生は、ドライバーのスピードに大きく関係しています。見通しの良い道路や幅員の広い道路では、スピードの出しすぎに注意して下さい。特に朝方や夕方は、ヤマネコが活発に活動する時間ですので、運転する際には十分に注意をはらって走行して下さい。
万が一事故に遭遇した場合又はツシマヤマネコの死体を発見した場合は、速やかに対馬野生生物保護センター(0920-84-5577)等までご連絡くださるよう、お願いいたします。特に、当事者による通報は、迅速な保護収容と、その後の事故対策を考える上で極めて重要です。故意でない限り罪に問われることはありませんので、ご協力下さいますようお願いいたします。