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九州地方環境事務所

ツシマヤマネコニュース

 

2015年03月10日
センター職員日誌 竹澤

 対馬野生生物保護センターではツシマヤマネコの交通事故対策として、他の行政機関、市民団体などと協力しながら様々な交通事故対策に取り組んでいます。

                                                      

 注意看板の設置やパンフレットの配布、行事の開催など普及啓発活動についてはこれまでも紹介してきましたが、それ以外に、センターでは事故地点の現場検証や対策を実施した場所の効果検証のためのモニタリングなども行っています。

 これらの調査は、道路整備を担当する機関に事故が起こりやすい地点や効果が期待できる対策手法について提案し、事故がおこりにくい道路づくりを進めてもらうために行っています。

                  

 今回は、対策が実施された後の効果検証のためのモニタリングで撮影された写真を紹介します。

                                                                         

                                                            

 この写真は平成24年に初めて島内に既設でネコ走りが作られたカルバートをヤマネコが利用したときの様子です。

  ※カルバート...道路下に排水のために設置された水路のことで、動物たちが通り道として利用していることが分かっています。

   

 このネコ走り付きカルバートによって雨で増水した際にもヤマネコはカルバートを利用できるようになり、その分、道路上を利用する頻度が下がるという結果が得られています。

        

 最近では昨年10月にはこんな写真も(下図)。カルバートの中に、獲ったのであろうアオサギを運びこむヤマネコの姿も撮影されました。隠れてゆっくり食事をするのにちょうどいいのかも知れません。

 このカルバートがある舟志区では「舟志の森づくり」としてツシマヤマネコに配慮した森林管理が行われています。その事業の1つとして湿地整備が行われたすぐ側での写真です。湿地には現在多くの水鳥が飛来し、ヤマネコにとって生息に適した環境になっていることが写真からも分かります。

                                                                                  

                                           

 またヤマネコにとって移動経路となる川に面した2本のカルバートを繋ぐため木製のネコ走りを設置している箇所では木製ネコ走りを歩く姿やちょっと座って休憩するヤマネコの姿も昨年11月に撮影されました。

                                                                  

 このように人工のものでも野生動物たちはちゃんと利用してくれることがモニタリングによって分かっています。

 しかし、更にカルバートの利用頻度が上がるように、道路上からの誘導方法の対策なども求められます。

 皆さんも利用している道路を、ヤマネコをはじめ多くの野生動物たちが生息地を移動する際に横断します。

 道路上ではなくカルバートなどを通ってくれればいいですが、道路上に出てきてしまうヤマネコも...。

 今年度も3件のヤマネコの交通事故が起きてしましました。

           

 こういった構造物が増え、ヤマネコの交通事故が1件でも減るように、調査・モニタリング・普及啓発、色々な方面からの対策を、関係各所と協力しながら対馬野生生物保護センターでは継続していきます。

 運転する際は、人間はもちろん動物にも気をつけて下さい。