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九州地方環境事務所

ツシマヤマネコニュース

九十九島動植物園でのツシマヤマネコの出産について

2014年05月29日
ツシマヤマネコニュース
環境省では、絶滅危惧種のツシマヤマネコの保護を図るため、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(通称「種の保存法」)に基づく保護増殖事業を実施しています。
その一環である飼育下繁殖事業については、(公社)日本動物園水族館協会と連携し、国内の計9施設において実施しているところです。
今般、同事業に協力いただいている西海国立公園九十九島動植物園において、飼育個体の出産がありましたのでお知らせします。

1.経緯

○平成26年5月27日(火) 午前6時14分ごろから午前8時20分ごろにかけて、自然分娩により仔ネコ2頭(性別等未確認)の出産を確認しました。

○今回の出産は平成26年4月11日の福岡市での出産以来で、今年度2例目となります。
  今回生まれた個体を含め、ツシマヤマネコの飼育下での個体数は30頭となりました。(平成26年5月28日時点)

○今回出産したメス親は、平成19年5月に福岡市動物園にて生まれた個体であり、平成22年に富山市ファミリーパークにおいて出産していますが、直後に仔ネコが死亡しています。
また、オス親は、平成17年5月に、福岡市動物園にて生まれた個体で、今回初めて繁殖に成功しました。

○詳細は、別添((公社)日本動物園水族館協会及び佐世保市資料)のとおりです。

2.背景
(公社)日本動物園水族館協会(以下、「日動水」)では、平成8年より、環境省が実施している絶滅危惧種ツシマヤマネコの保護増殖事業に協力し、国内の計9施設において飼育下繁殖事業に取り組んできました。本種は平成12年4月に福岡市動物園で初めて飼育下繁殖に成功し、これまでに48頭が誕生しています(現在はオス12頭メス9頭、不明2頭の23頭が生存)。平成21年以降は繁殖がうまくいかなかったため、飼育下個体群の高齢化が進み、飼育下繁殖技術の向上が課題となっていました。
そこで、飼育下繁殖事業に取り組んでいる施設および環境省で検討し、平成25‐26年の繁殖期は繁殖の可能性が高い年齢の個体を、本種の生息地環境に類似する気候であり、多くのペアリングの組み合わせが可能な福岡市動物園および九十九島動植物園に集め、繁殖に取り組んできました。
今回、九十九島動植物園で繁殖に成功した個体(両親)は、今回の繁殖に向けて、オスが盛岡市動物公園から、メスは富山市ファミリーパークから昨年11月に移動させた個体で、平成25‐26年の繁殖計画の大きな成果と考えています。

3.今後の予定
 引き続き、(公社)日本動物園水族館協会及び加盟園と協力し、飼育下繁殖の技術向上に努めるとともに、人工授精等新たな手法の技術検討も行っていきます。