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九州地方環境事務所

ツシマヤマネコニュース

ツシマヤマネコの飼育下繁殖個体の移動について

2013年10月23日
ツシマヤマネコニュース
環境省では、絶滅危惧種のツシマヤマネコの保護を図るため、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(通称「種の保存法」)に基づく保護増殖事業を実施しています。
その一環である飼育下繁殖事業については、(公社)日本動物園水族館協会(以下、「日動水」)の協力を得て、国内の計9施設において実施しているところです。現在、飼育下繁殖技術の向上が課題となっており、今年度からは日動水との連携強化により、飼育園関係者による具体的な技術向上やペアリング計画の検討を進めています。
この度、次の冬~春の繁殖期に向けて、検討結果を踏まえて策定された「平成25~26年ツシマヤマネコ繁殖(移動)計画」に基づき、平成25年10月22日から7園間において、17頭の移動を実施しますのでお知らせいたします。

1 ツシマヤマネコの保護増殖事業について
ツシマヤマネコは平成6年に、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に基づく国内希少野生動植物種に指定され、平成7年に同法に基づく保護増殖事業計画(平成7年7月17日環境庁及び農林水産省告示)を策定し、同計画に基づく生息状況の把握、生息環境の維持・改善、飼育下での繁殖等の保護の取組を進めています。

2 ツシマヤマネコ飼育下繁殖事業について
○飼育下繁殖事業は、保護増殖事業計画に基づき以下の目的で実施しています。
(1) 対馬の環境が改善し、生息地で安定して生息が可能になるまでの生息域外での種の保存
(2) 野生個体群の保護活動の補完(野生復帰など)
(3) 科学的データを収集、解析し、生息地でのヤマネコの保護対策への応用
(4) ツシマヤマネコの現状について全国的に普及啓発を行うことで、野生個体群保護を推進すること

<参加している動物園(H25年現在)>
○福岡市動物園、東京都井の頭自然文化園、横浜市立よこはま動物園、富山市ファミリーパーク、九十九島動植物園、沖縄こどもの国、京都市動物園、名古屋市東山動物園、盛岡市動物公園の9施設



○ツシマヤマネコの飼育下繁殖事業は、平成8年より福岡市動物園の協力を得て開始し、平成12年4月に初めて繁殖に成功、これまでに45頭が誕生しています。(現在は24頭が生存)
○平成21年以降4年間、ツシマヤマネコの繁殖がうまくいっていない状況にあり、飼育下繁殖技術の向上が課題となっています。

*沖縄こどもの国、京都市動物園、名古屋市東山動物園、盛岡市動物公園の4施設
では展示飼育のみとなっています。
※対馬野生生物保護センターの飼育頭数には保護個体を含みます。
 
3 飼育下繁殖技術の向上に向けた検討について
   今年度より日動水と連携を強化し、日動水の生物多様性委員会が事務局となり飼育園関係者で構成する会議を新たに設置し、飼育や繁殖技術に関する検討を実施しています。
   今後は、上記会議での議論を元に、有識者等で構成する環境省設置のツシマヤマネコ保護増殖検討会等での議論も踏まえ、平成26年度中を目処に、今後の飼育下繁殖事業全体の実施方針に関する検討を進めます。
 
4 今年度の個体の移動について
飼育下繁殖個体の高齢化が進んでいることなどを踏まえた検討の結果、ペアリングの機会を高めるため、繁殖の可能性が高い年齢の個体を拠点となる動物園に集め、メス1個体に対してペアリングできるオスを複数確保して、繁殖に取り組むこととしました。
拠点となる施設は、九州に立地している施設が地理的に対馬に近く気候条件等が似ており、多くのペアリングの組み合わせが可能な規模・構造の施設を有するという理由から、福岡市動物園および九十九島動植物園としました。
ツシマヤマネコは冬に繁殖期を迎えるため、今後は12月頃から、移動後の個体により、それぞれの施設でペアリングなどの繁殖に向けた試みを実施します。

<移動する個体と予定日>


※移動日は予定であり、ツシマヤマネコの状態等により変更する場合もあります。
※N0.12(♂)は移動先の盛岡市動物公園が冬期休園になるため3月に実施予定です。
※移動する個体の詳細については、それぞれの動物園にお問い合わせ下さい。