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ツシマヤマネコニュース

対馬野生生物保護センターで飼育していたツシマヤマネコの死亡について

2013年08月02日
ツシマヤマネコニュース
対馬野生生物保護センターで飼育されていたツシマヤマネコ(メス)1頭が平成25年7月28日(日)22時20分頃死亡したのでお知らせします。

1 死亡日時について
  平成25年7月29日午前7時20分頃、死亡しているのを飼育担当者が発見しました。モニタービデオにより、7月28日22時20分頃に死亡したことが確認されました。当該個体は平成25年2月9日からセンター内の入院室に入院中でした。

2 死亡個体について
当該個体は、平成17年3月14日に上県町佐護で錯誤捕獲されたところを保護されました。
  保護時の簡易疫学検査により、FeLV(ネコ白血病ウィルス)に感染している疑いがあったことから、センターにおいて隔離飼育を行ってきました。
  その後、平成18年の定期検査では慢性腎不全を患っていることが判明し、平成22年にはレントゲン検査により肺に異常が見つかり経過を観察していました。加えて、平成23年以降複数回にわたる発作を起こしており、投薬による治療を行っていました。平成25年2月9日に体調悪化により入院し、モニターによる監視を強化していましたが、7月28日22時20分頃死亡しました。


3 死因について
  今回の個体の死亡に関して、現在のところFeLVとの関連はないものと考えていますが、山口大学に病理解剖を依頼し、死因を調査中。

〔参考〕 
1.ネコ白血病ウイルス(FeLV)感染症について
ネコ白血病ウイルスによる感染症であり、発症すると白血病やリンパ腫など血液リンパ系細胞の腫瘍性の増殖を引き起こすばかりでなく、感染したネコの免疫力を低下させ、肺炎、敗血症等を誘因します。比較的感染力が強く、グルーミング、食器の共用等でも感染します。また母親から胎児にうつる可能性もあります。
感染後、4~6週間は無症状で過ごし、発症すれば、上記のような様々な疾患が原因となって死亡する場合もありますが、発症しないまま寿命を迎える場合もあります。ただし、その場合もキャリアとしてウイルスを持ち続ける可能性が高いです。
現在のところ根本的な治療法はなく、イエネコでの予防法としてはワクチン接種がありますが、完全な予防のためにはワクチン接種の上、室内飼育を徹底し、FeLVに感染しているネコとの接触を避けることが望ましいです。
なお、当該個体の場合は、数種類の簡易検査キットで検査した結果、FeLV陽性/陰性両方の結果が出ており、疑陽性としています。

2.現在のツシマヤマネコ飼育状況
対馬野生生物保護センターを含め10施設で32頭(オス18、メス14)が現在飼育されています。
このうち対馬野生生物保護センターのオス1頭は救護個体です。