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九州地方環境事務所

ツシマヤマネコニュース

ツシマヤマネコの死体収容について

2013年01月21日
ツシマヤマネコニュース
平成24年12月13日(木)、対馬市峰町佐賀の県道において交通事故で死亡したと考えられるツシマヤマネコの死体を、対馬野生生物保護センター(以下、「センター」といいます。)が収容しました。
また、12月17日(月)、対馬市上県町仁田の国道において交通事故で死亡したと考えられるツシマヤマネコの死体をセンターが収容しました。
なお、本年度のツシマヤマネコの交通事故件数は13件目(うち12件が死亡)となり、12月10日の「ツシマヤマネコ交通事故非常事態宣言」発令以降2件目となります。

1.平成24年12月13日収容死亡個体
(1) 死体が収容された経緯
  平成24年12月13日(木)19時30分頃、佐須奈動物診療所の越田獣医師よりセンターに死体発見の連絡があり、21時頃センターに収容しました。

(2) 死体の個体情報
1)性別 メス
2)年齢 亜成獣
3)体重 1,300g
4)個体の状況 栄養状態は良好であった。頭部から頸部にかけて粉砕骨折していました。
5)死因 道路上で発見されたことや個体の状況から、死因は交通事故によるものと考えられます。
            詳細については山口大学に病理解剖を依頼し調査中です。
6)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

2.平成24年12月17日収容死亡個体
(1) 死体が収容された経緯
  平成24年12月17日(月)7時頃、住民より「ヤマネコをはねた」との連絡がセンターにあり、センター職員が死体を回収し、8時頃センターに収容しました。

(2) 死体の個体情報
1)性別 メス
2)年齢 成獣
3)体重 2,380g
4)個体の状況   胸部と腰部の頸椎が骨折。栄養状態は良好。乳頭の状態から経産個体と思われます。
5)死因      収容時の状況から死因は交通事故によるものと考えられます。
            詳細については山口大学に病理解剖を依頼し調査中です。
6)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

3 今後の対応
今後は以下の対策を継続・実施予定です。
○短期的な対策
・「ツシマヤマネコ交通事故非常事態宣言」を発令し、チラシ配布などの普及啓発を強化
・交通事故箇所への交通事故防止移動式看板の設置 
○中長期的な対策
・カルバートをはじめとする道路・河川構造物への配慮実施に向けた関係機関との協議
・交通事故対策に資する情報の収集(センターの飼育下個体を用いた行動の実験の実施等)

4 これまでのツシマヤマネコの交通事故について
  今回の事故により、平成4年以降の交通事故発生件数は累計で73件(65頭死亡)となりました。前回のツシマヤマネコの交通事故は平成24年12月7日であり、交通事故ゼロ記録は5日間(12月13日時点)でした。今年度は、例年以上に事故発生のペースが速く、今回の交通事故で13件目であり、すでに平成4年以降に確認されている年間最多件数となっており、非常に深刻な状況です。(これまではH14,H18年度の8件)。
  なお、このような状況を踏まえ、平成24年12月10日付けで環境省、長崎県、対馬市は「ツシマヤマネコ交通事故非常事態宣言」を発令しています。発令後の交通事故は2件目です。
  
5 普及啓発の内容
秋から冬はヤマネコの親離れの時期と繁殖期にあたり、交通事故が多発する傾向にあります。また、これから年末年始にかけては帰省等による交通量増加により事故発生の危険性が高まります。特に夕方から明け方にかけての運転はヤマネコの飛び出しに十分注意して安全運転を行ってくださいますようお願いいたします。
万が一事故に遭遇した場合又はけがをしたヤマネコや死体を発見した場合は、速やかにセンター(0920-84-5577)等までご連絡くださるよう、お願いいたします。特に、当事者による通報は、迅速な保護収容と、その後の事故対策を考える上で極めて重要です。故意でない限り罪に問われることはありませんので、万一の場合はご協力くださいますようお願いいたします。