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九州地方環境事務所

ツシマヤマネコニュース

ツシマヤマネコの保護及び死亡個体の収容について

2013年01月24日
ツシマヤマネコニュース
 平成24年12月21日以降、環境省対馬野生生物保護センター(以下、センター)では、以下のとおり、ツシマヤマネコ2個体を保護し、死亡個体を3個体収容しましたのでお知らせします。
 なお、保護のうち1件、死体収容のうち1件はそれぞれ交通事故が原因と考えられます。


○平成24年12月21日保護個体
(1) 保護された経緯
  平成24年12月21日13:30頃、住民よりビニールハウス内にヤマネコがいるとの連絡がセンターにあり、15:00頃センターに収容しました。栄養状態は良好で、血液検査の結果も問題が無かったことから12月26日に捕獲地点付近で放獣しました。今後追跡調査を実施します。

(2) 個体情報
1)性別 メス
2)年齢 亜成獣
3)体重       1515グラム
4)個体の状況  栄養状態は良好。血液検査の結果も異常は無い。
5)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

○平成25年1月15日保護個体
(1) 保護された経緯
平成25年1月15日12:40頃、上対馬町比田勝の国道で倒れているヤマネコを発見し、捕獲しようとしたら川に転落し、その後に保護したとの連絡があり、14:00頃センターに収容しました。収容時の状況と血液検査の結果から交通事故と思われます。今後経過を観察し、必要な治療を行います。

(2) 個体情報
1)性別 オス
2)年齢 亜成獣
3)体重       1730グラム
4)個体の状況 左下顎部には古い外傷があり、今回の保護以前になんらかの要因で受傷したものと考えられます。血液検査の結果、強いショックを受けたことが推測されます。
5)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

○平成24年12月26日収容死亡個体
(1)収容した経緯
  平成24年12月26日10:00頃、住民より上県町御園の自宅で死体を発見したとの連絡を受け、センター職員が12時頃センターに回収しました。

(2)個体の状況
1)性別 オス
2)年齢 亜成獣
3)体重 1490グラム
4)個体の状況 首元に咬傷がある。死後数日が経過している模様
5)死因 死因については、山口大学に病理解剖を依頼し調査中です。
さらに咬傷部については、原因となった種を特定すべく、長崎県環境保健研究センターにDNA判別の検査を依頼調査中です。
6)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

○平成25年1月12日収容死亡個体
(1)収容した経緯
 平成25年1月12日11時頃、住民より峰町吉田の国道脇の歩道で死体を発見したとの連絡を受け、センター職員が15時頃センターに回収しました。

(2)個体の状況
1)性別 オス
2)年齢 成獣
3)体重 1740グラム ※死体が損傷しているため参考値
4)個体の状況 死体の損傷が著しく、劣化が進んでいた。
5)死因 死体の損傷が著しく、劣化進んでおり死因の特定は困難です。
6)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

○平成25年1月17日収容死亡個体
(1)収容した経緯
 平成25年1月17日6:30頃、住民より上対馬町芦見の県道上においてツシマヤマネコの死体を発見したとの連絡があり、10:00頃センターに収容しました。

(2)個体の状況
1)性別 メス
2)年齢 成獣
3)体重 2190グラム ※死体が損傷しているため参考値
4)個体の状況 右前脚を骨折している。内臓が捕食されている。
5)死因 収容時の状況と個体の状況から交通事故と思われます。詳細については、山口大学に病理解剖を依頼し調査中です。
6)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

交通事故に関する今後の対応
今後は以下の対策を継続・実施予定です。
○短期的な対策
・交通事故箇所への交通事故防止移動式看板等の設置 
・パンフレット・チラシ・キャンペーンの実施等による普及啓発
○中長期的な対策
・カルバートをはじめとする道路・河川構造物への配慮実施に向けた関係機関との協議
・交通事故対策に資する情報の収集(センターの飼育下個体を用いた行動の実験の実施等)

 これまでのツシマヤマネコの交通事故について
  今回の事故により、平成4年以降の交通事故発生件数は累計で75件(66頭死亡)となりました。前回のツシマヤマネコの交通事故は平成24年12月17日であり、交通事故ゼロ記録は28日間でした(1月15日時点)。今年度は、例年以上に事故発生のペースが速く、今回の交通事故で15件目であり、すでに平成4年以降に確認されている年間最多件数となっています。(これまではH14,H18年度の8件)。

 普及啓発の内容
 交通事故の発生は、ドライバーのスピードに大きく関係しています。見通しの良い道路や幅員の広い道路では、スピードの出しすぎに注意して下さい。雨が降った後は、多くのカエルなどが道路上に出てきます。それらのカエルを食べに、ヤマネコも道路上に上がることがあります。また、これからの時期は発情期に当たり、特にオスの行動範囲が広くなり活発に動き回る時期に当たり、事故が起きる可能性が高い時期です。特に朝方や夕方は、ヤマネコが活発に活動する時間ですので、運転する際には十分に注意をはらって走行してください。
万が一事故に遭遇した場合又はツシマヤマネコの死体を発見した場合は、速やかにセンター(0920-84-5577)等までご連絡くださるよう、お願いいたします。特に、当事者による通報は、迅速な保護収容と、その後の事故対策を考える上で極めて重要です。今年度は、通報者の迅速な対応により2頭のヤマネコの命が救われています。また、故意でない限り罪に問われることはありませんので、万一の場合はご協力くださいますようお願いいたします。



保護収容一覧(12月21日以降)

12月21日保護個体(放獣時)

1月15日保護個体