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九州地方環境事務所

ツシマヤマネコニュース

ツシマヤマネコの保護及び死亡個体の収容について

2012年12月10日
ツシマヤマネコニュース
平成24年11月30日(金)、対馬市上対馬町大浦の国道において、交通事故により負傷した可能性が高いツシマヤマネコを対馬野生生物保護センター((以下、「センター」といいます。)が収容しました。
また、12月1日(土)、対馬市豊玉町曽の市道において交通事故で死亡したと考えられるツシマヤマネコの死体をセンターが収容しました。
12月3日(月)には対馬市上対馬町河内の権藤 保美氏宅で咬傷により死亡したと思われるツシマヤマネコの死体をセンターが収容しました。
12月6日(木)には対馬市上対馬町琴の県道及び上対馬町河内の国道において交通事故で死亡したと考えられるツシマヤマネコの死体をセンターが収容しました。
 さらに、12月7日(金)には対馬市上県町瀬田の国道において交通事故で死亡したと考えられるツシマヤマネコの死体をセンターが収容しました。

1.平成24年11月30日保護個体
(1) 保護された経緯
  平成24年11月30日(金)19時50分頃、住民より対馬市上県活性化センターに通報があり、通報を受けた市職員よりセンターに連絡がありました。その後、センターから協力を要請された佐須奈動物診療所の獣医師が20時40分頃道路脇でうずくまっていた個体を発見し、保護しました。
  その後、佐須奈動物診療所で応急措置を行った後、センターに収容し、現在も治療中です。
(2) 個体情報
1)性別 オス
2)年齢 亜成獣
3)体重       1900グラム
4)個体の状況 血液検査の結果から、全身を強く打っていると推測されます。また、収容当初脳神経症状がでていたことから頭部も強打している可能性が高いと思われます。その他、骨折など大きな外傷は見られません。

5)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)


2.平成24年12月1日収容死亡個体
(1)収容した経緯
 平成24年12月1日(土)9時30分ごろ、対馬市豊玉町曽の市道脇の側溝において、死体を発見した対馬市職員よりセンターに連絡があり、センター職員が回収し13時50分ごろセンターに収容しました。
(2)個体の状況
1)性別 メス
2)年齢 成獣
3)体重 2720グラム
4)個体の状況 栄養状態は良好。乳頭の状態から経産と思われます。大腿骨の脱臼や腹腔内の出血が確認されました。
5)死因 道路脇で発見されたこと、個体の状況から交通事故によるものと考えられます。詳細については、山口大学に病理解剖を依頼し調査中です。
6)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

3.平成24年12月3日収容死亡個体
(1)収容した経緯
 平成24年12月3日(月)10時ごろ、対馬市上対馬町河内の住民より自宅敷地内において死体を発見したとの連絡があり、センター職員が回収し11時ごろセンターに収容しました。
(2)個体の状況
1)性別 メス
2)年齢 亜成獣
3)体重 1260グラム
4)個体の状況 頚部には直径2mmほどの穿孔創があり、栄養状態は悪く、体格も痩せ気味でした。その他目立った外傷は確認されませんでした。
5)死因 個体の状況から、死因は衰弱していたところをなんらかの小動物に襲われたことによる咬傷の可能性が高いと思われます。詳細については、山口大学に病理解剖を依頼し調査中です。また、咬傷痕についてもDNA判別を実施予定となっています。
6)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)


4.平成24年12月6日収容死亡個体①
(1)収容した経緯
 平成24年12月6日(木)7時ごろ、対馬市上対馬町琴の県道において対馬市職員が死体を発見し、その後8時頃センターへ収容しました。
(2)個体の状況
1)性別 メス
2)年齢 成獣
3)体重 2230グラム
4)個体の状況 栄養状態はやや不良。乳頭の状態から経産個体と思われます。
5)死因 頭部に外傷が有り口腔内から出血していたこと、道路上で回収されたことから、交通事故の可能性が高いと思われます。詳細については、山口大学に病理解剖を依頼し調査中です。

6)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

5.平成24年12月6日収容死亡個体②
(1)収容した経緯
 平成24年12月6日(木)19時30分ごろ、対馬市上対馬町河内の国道において死体を発見した住民よりセンター職員に通報があり、センター職員が死体を回収し21時頃センターへ収容しました。
(2)個体の状況
1)性別 オス
2)年齢 成獣
3)体重 1980グラム
4)個体の状況 栄養状態は比較的良好。
5)死因 頭蓋骨粉砕骨折、眼球突出及び口腔内出血が確認されたこと、そして道路上で回収されたことから、交通事故の可能性が高いと思われます。詳細については、山口大学に病理解剖を依頼し調査中です。

6)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

6.平成24年12月7日収容死亡個体
 (1)収容した経緯
   平成24年12月7日(金)7時25分ごろ、住民が対馬市上県町瀬田の国道において死体を発見し、二次被害を避けるため回収し勤務先へと持ち帰った後、連絡を受けたセンター職員が回収に伺い、15時半ごろセンターに収容しました。
 (2)個体の状況
   1)性別 メス
   2)年齢 亜成獣
   3)体重 1420グラム
   4)個体の状況 栄養状態は良好。
 5)死因 口腔内から出血していたこと、道路上で発見されたことから、交通事故の可能性が高いと思われます。詳細については、山口大学に病理解剖を依頼し調査中です。

   6)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
       (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)

7.交通事故に関する今後の対応
今後は以下の対策を継続・実施予定です。
○短期的な対策
・交通事故箇所への交通事故防止移動式看板の設置 
・パンフレット・チラシ・キャンペーンの実施等による普及啓発
○中長期的な対策
・カルバートをはじめとする道路・河川構造物への配慮実施に向けた関係機関との協議
・交通事故対策に資する情報の収集(センターの飼育下個体を用いた行動の実験の実施等)

8.これまでのツシマヤマネコの交通事故について
  今回の事故により、平成4年以降の交通事故発生件数は累計で71件(63頭死亡)となりました。前回のツシマヤマネコの交通事故は平成24年11月23日であり、交通事故ゼロ記録は6日間でした(11月30日時点)。今年度は、例年以上に事故発生のペースが速く、今回の交通事故で11件目であり、すでに平成4年以降に確認されている年間最多件数となっています。(これまではH14,H18年度の8件)。また、11月30日から12月7日までの1週間で事故が5件発生しており、非常に深刻な状況です。

9.普及啓発の内容
交通事故の発生は、ドライバーのスピードに大きく関係しています。見通しの良い道路や幅員の広い道路では、スピードの出しすぎに注意して下さい。雨が降った後は、多くのカエルなどが道路上に出てきます。それらのカエルを食べに、ヤマネコも道路上に上がることがあります。また、秋から冬にかけては、仔ヤマネコが親から離れ独り立ちする時期で、例年多くの交通事故が起きています。特に朝方や夕方は、ヤマネコが活発に活動する時間ですので、運転する際には十分に注意をはらって走行してください。
万が一事故に遭遇した場合又はツシマヤマネコの死体を発見した場合は、速やかにセンター(0920-84-5577)等までご連絡くださるよう、お願いいたします。特に、当事者による通報は、迅速な保護収容と、その後の事故対策を考える上で極めて重要です。故意でない限り罪に問われることはありませんので、万一の場合はご協力くださいますようお願いいたします。



保護された個体の写真