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九州地方環境事務所

ツシマヤマネコニュース

ツシマヤマネコの死亡個体収容について

2012年11月30日
ツシマヤマネコニュース
平成24年11月23日(金)、対馬市上県町仁田の国道において交通事故で死亡したと考えられるツシマヤマネコの死体を、対馬野生生物保護センターが収容しました。
なお、当該個体には個体識別用のマイクロチップが挿入されており、平成23年1月に対馬市峰町において、衰弱しているところをセンターに保護され、その後、同年4月に放獣され、約1年半にわたり上県町仁田周辺に定着していた個体であることが判明しました。

1 死体が収容された経緯
  平成24年11月23日(金)19時30分頃、住民よりセンターに死体発見の連絡があり、20時頃センターに収容しました。

2 死体の個体情報
(1)性別 オス
(2)年齢 成獣(推定平成22年生まれ)
(3)体重 3,000g
(4)個体の状況 栄養状態は良好であった。
(5)死因 道路上で発見されたこと、大腿骨の骨折が確認されたことから、死因は交通事故によるものと考えられます。
(6)FIV、FeLV検査 簡易検査で陰性
   (FIV:ネコ免疫不全ウイルス、FeLV:ネコ白血病ウイルス)
(7)その他
  野生復帰後の追跡調査により、当該個体は約1年半にわたり放獣地点である上県町仁田周辺に定着していました。
  
3 今後の対応
今後は以下の対策を継続・実施予定です。
○短期的な対策
・交通事故箇所への交通事故防止移動式看板の設置 
・パンフレット・チラシ・キャンペーンの実施等による普及啓発
○中長期的な対策
・カルバートをはじめとする道路・河川構造物への配慮実施に向けた関係機関との協議
・交通事故対策に資する情報の収集(センターの飼育下個体を用いた行動の実験の実施等)

4 これまでのツシマヤマネコの交通事故について
  今回の事故により、平成4年以降の交通事故発生件数は累計で66件(59頭死亡)となりました。前回のツシマヤマネコの交通事故は平成24年11月19日であり、交通事故ゼロ記録は3日間でした。今年度は、今回の交通事故で6件目であり、例年以上に事故のペースが早く、特に秋から冬にかけては、例年事故が多発しています。

5 普及啓発の内容
交通事故の発生は、ドライバーのスピードに大きく関係しています。見通しの良い道路や幅員の広い道路では、スピードの出しすぎに注意して下さい。雨が降った後は、多くのカエルなどが道路上に出てきます。それらのカエルを食べに、ヤマネコも道路上に上がることがあります。また、秋から冬にかけては、仔ヤマネコが親から離れ独り立ちする時期です。特に朝方や夕方は、ヤマネコが活発に活動する時間ですので、運転する際には十分に注意をはらって走行してください。
万が一事故に遭遇した場合又はツシマヤマネコの死体を発見した場合は、速やかにセンター(0920-84-5577)等までご連絡くださるよう、お願いいたします。特に、当事者による通報は、迅速な保護収容と、その後の事故対策を考える上で極めて重要です。故意でない限り罪に問われることはありませんので、万一の場合はご協力くださいますようお願いいたします。