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●雲仙岳の名称・成り立ち
雲仙岳とは、長崎県南東部の島原半島の中央にそびえる20以上の山々の総称です。中腹に温泉が湧く山、ということで古来"温泉山"と呼ばれ、
火山学上は"雲仙火山"と呼ばれ、広義では東の眉山から西の猿葉山までが含まれます。地図上に記載されていない山の名前も含めれば30以上あり、山の形の複雑さは三岳五峰、八葉、二十四峰、三十六峰など様々な数字で表現されてきました(参考1)。
約50万年前に海底火山から活動を開始した雲仙岳は、噴火を繰り返して陸地を作り、約40万年前には北方の陸とつながって半島を作り出しました(参考2)。
●雲仙岳の立地と形状
雲仙岳は、有明海と橘湾に三方を囲まれており、周囲の360度から海からそびえる山全体を眺めることができます。多くの山々から構成されているため、方角によって異なる形を表し、大きく分ければ東西南北で4タイプ、細かく分ければその間を含めて8タイプの形状を示します。
その形状は、観音様の涅槃像や妊婦さんなど、様々なものに例えられますが、以下では雲仙岳を"甲羅を背負った亀"に見立てて各方面の特徴をご紹介します。
【北面】亀が左を向いて首を延ばした状態です。頭は眉山、甲羅のトップは平成新山です。
【北東面】亀の頭が大きくなって二本角になり、首が短くなります。
【東面】亀が両前足を広げてこちらを向いている状態です。ほぼ左右対称に見えます。
【南東面】亀が右を向いて少し首を延ばした状態です。頭は少し二本角です。
【南面】頭が一本角になり、首が長くなります。
【南西面】頭が二本角となり、首は短くなり、頭が遠く右前足越しに見えます。
【西面】亀が奥を向いて尻尾(猿葉山)が見える状態です。左右非対称(左が段々)です。
【北西面】一本角の小さな亀の頭(眉山)が左前足越しに見えてきます。
●雲仙岳の景観
三方を海に囲まれた雲仙岳は、"水陸の大展望"が高く評価され、"西九州の水陸遊覧系統のセンター"として、第1号で国立公園に指定されています(昭和9年3月)。海から見る山の景観、山から見る海の景観ともに、ダイナミックなパノラマです(参考3)。また、季節によって様々な色彩で旅人の目を楽しませます(参考4)。
このような雲仙岳の火山活動による恵みと脅威の両方に着目し、"人と火山の共生"をテーマとした島原半島ジオパークは、国内第1号で世界ジオパークに認定されています(平成21年8月、参考5)。