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九州地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記

タイワンツバメシジミ保全活動

2018年11月27日
岡山桂

こんにちは!

佐世保自然保護官事務所の岡山です。

皆さんはタイワンツバメシジミというチョウをご存知ですか。タイワンツバメシジミの成虫は8月下旬から10月上旬にかけて活動し、幼虫はシバハギの実を食草とし、ススキの枯葉などで越冬する草原性のチョウです。生息環境の変化や愛好家による捕獲等で個体数が減少していることから、平成18年、国立公園・国定公園特別地域内での捕獲等を規制する「指定動物」とされました。環境省は平成19年度から日本チョウ類保全協会事務局長の中村康弘氏を講師として、地元NPO法人の方々と長崎県内でタイワンツバメシジミの保全活動を行っています。

今年9/11、コドラート(方形の標本区画)を設置した地点を訪れ、シバハギの生育状況と卵の有無を確認しました。タイワンツバメシジミはシバハギの花の咲いた茎部分に産卵するため、シバハギの開花時期に合わせ羽化します。今年は夏の少雨によって開花が遅れてしまったため、成虫は確認できるがシバハギがまだ開花していない!という場所もありました。

 

左:シバハギの花とタイワンツバメシジミの卵 / 右:シバハギの生育状況と卵の調査

 

 現地調査終了後、地元の図書館会議室で中村氏による講演と質疑応答が行われました。講演では、卵の特徴や見分け方、幼虫の生態等の説明、出席者からはタイワンツバメシジミとツバメシジミの見分け方等質問がありました。

タイワンツバメシジミはツバメシジミと酷似していますが、翅にある黒斑の位置や濃さ、食草の違いがあります。

左:タイワンツバメシジミ / 右:ツバメシジミ

9/12、人工増殖用に国立公園区域外の生息地で捕獲したメス3頭と共に、NPO法人会員が栽培しているシバハギの一部を卵産み付け用として中村氏に渡し、採卵・孵化と、放虫に適した大きさになるまでの最も死亡率の高い時期の飼育を依頼しました。

左:交尾しているタイワンツバメシジミ / 右:人工増殖用メスの捕獲

左:パイプハウス内で栽培しているシバハギ / 右:卵産み付け用シバハギの確保

10/2、中村氏が持ち帰った成虫から得られた幼虫のうち、25頭を栽培しているシバハギに移し、残りの19頭は今回の調査でチョウを確認できなかった調査地のシバハギに放虫しました。多くの幼虫が無事越冬し、サナギを経て成虫に育つことを期待しています。

左:人工増殖用プランターに幼虫を移す様子 / 右:シバハギに移された幼虫

県内で保全活動が始まった頃に比べ生息環境が悪化し、その生息箇所が少なくなっています。また、タイワンツバメシジミの生態はまだまだ分かっていないことがたくさんあります。

これからも、地元の方々と共に、生息環境の整備、人工増殖等個体数や生息域の拡大、生態の解明等に努めたいと思います。