アクティブ・レンジャー日記
国立公園とジオパーク その2【阿蘇地域】
2015年11月24日昨年、阿蘇くじゅう国立公園指定80周年記念式典と阿蘇カルデラ国際シンポジウム2014を合同で開催し、シンポジウムでは「今後、国立公園とジオパークとの連携が必要!」と提唱されました。あれから1年、私たちも子どもたちへの学習面での連携を始めています。
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◆「草原環境学習で連携やってます!」
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これまで草原に特化した環境学習を行ってきましたが、火山や地質などの専門分野が弱いことが課題でした。そこで、阿蘇ジオパーク推進協議会と連携し、阿蘇郡市内の小学校にて「火山と草原」をテーマとして体験学習の試行を数回行いました。
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阿蘇市内の3校を対象に、事前学習として出前講座で学校に出向き、国立公園の紹介や草原、希少な動植物の紹介、ジオパーク・ジオサイト(※)の説明とその成り立ち等について、火山噴火やマグマの映像を交えながら学習しました。
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※ジオサイトとは、ジオパーク内の見どころのことで、自然遺産として認められるものです。ジオと歴史・文化との関係やジオと人々との暮らしと関係を体感できる場所も含まれています。阿蘇ジオパークには、33ヶ所のジオサイトが認定されています。(阿蘇ジオパークオフィシャルサイトHPより引用)
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後日、体験学習として実際に校区内にあるジオサイトや草原に出向いて溶岩の流れ方や地質を観察し、一面に広がる草原風景と牛の放牧、そこに生息する動植物などを見て触れて体験しました。子どもたちからの疑問もたくさん出て、説明に熱が入って時間が押しちゃうことも・・・。
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溶岩洞窟について説明
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壁や天井には触らないように観察します
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草原の維持管理について、原野組合員でもある保護者のお父さんにお話を伺うことができました。
「牛は飼われていないし野草を活用する機会もないのに、野焼きや輪地切りをやめたいと思ったことは?」との質問には、「おじいちゃんやお父さんたちもしてきたことだから。野焼きや草刈りをすることが当たり前と思っているし、これからも続けていきたい」とのお答えがありました。これは子どもたちにも響いたようで、"ぼくたちも大人になったら続けて行くんだ!"という意識が芽生えたように感じました。
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火山地帯にどうやって草が生えただろう?
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野草を使って何ができるかな?
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両者が連携することで今までの学習に内容の広がりや深みが出ることを実感しています。いつも見ている風景がどうやってできたのか、火山・草原と農畜産業などの営みが、実は繋がっていることなど、子どもたちにも分かりやすく、新しい発見や想像力がかきたてられるようなワクワクする学習にしていきたいと思います。