対馬野生生物保護センター

[ ホーム ] → [ とらやまの森バックナンバー ] → [ とらやまの森第7号4ページ ]


とらやまの森
環境省 対馬野生生物保護センター ニュースレター

とらやまの森第7号

 

現在のページ 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10


ツシマヤマネコQ&A


 来館者の方々から、ツシマヤマネコとその周辺に関する質間をたくさんいただいています。その中から、対馬野生生物保護センターの方でいくつかをピックアップして答えるコーナーです。

Q:ツシマヤマネコの繁殖期はいつですか?どんな時期に交尾して、どんな時期に何頭ぐらいのこどもを産むのですか?

A:ツシマヤマネコの繁殖に関しては残念ながらあまりよくわかっていません。発情・交尾期も不明ですが、これまでに得られた仔ネコの目撃例などから逆算して、2~3月頃に交尾して、4~5月頃に3~4頭を出産することが多いようです(メスの乳頭は2対で4個あります)。しかし、それ以外の季節に産んだと思われる例もあり、季節的にははっきり決まっていないのかも知れません。一般にネコ類の幼獣の死亡率はかなり高いので、生まれた仔ネコが全て順調に育つことは少ないと思われます。

Q:イリオモテヤマネコは1965年に発見されたと聞きましたが、ツシマヤマネコは何年に誰によって発見されたのでしようか?

A:沖縄県西表島だけに生息するイリオモテヤマネコは、地元西表の方々以外にはその存在が知られず、1965年になって初めて学界に報告されました(新種記載は1967年)。当時は「動物学上20世紀最大の発見」と騒がれ、その話題性の高さからイリオモテヤマネコの知名度もぐんと上がり、調査研究も精力的に行われてきました。一方のツシマヤマネコは、地元対馬の方々以外にも昔からその存在が知られていたようで、イリオモテヤマネコの「発見」以前には、「山猫」と言えば対馬(および満州~朝鮮半島)のヤマネコを意味していたようです。だから「誰が発見したか」はわかりませんが、ツシマヤマネコと同じベンガルヤマネコの亜種Felis bengalensis euptiluraは、1871年に英国の博物学者Elliotによって記載されています。

Q3:ツシマヤマネコは絶滅のおそれがあるそうですが、対馬にどの程度の個体数が生息していれば、絶滅の心配がなくなるのですか?

A:とても難しい質問ですが、確かにツシマヤマネコは日本の哺乳類の中でも最も絶滅のおそれが高いランクに挙げられています。ある種に絶滅のおそれがあるというのは、(1)個体数の急激な減少、(2)乱獲・被食・病気・事故等の生息阻害要因の増加、(3)生息環境の劣化・分断、(4)遺伝的多様性の低下、などが原因になっていると考えられます。従って現在70~90頭と推定されている個体数が、仮に何百頭になったとしても、個体数以外の要因が引き金になって絶滅する可能性は否定できません。逆に個体数以外の要因を少しずつ解決することによって、個体数自体も徐々に回復・増加し、将来にわたって存続させるように努力することも可能だろうと思います。

<T2><AB><Mk>


とらやまの森第7号

 

現在のページ 01 | 02 | 03 | 04 | 05 | 06 | 07 | 08 | 09 | 10


[ ホーム ] → [ とらやまの森バックナンバー ] → [ とらやまの森第7号4ページ ]