対馬野生生物保護センター

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2002年8月28日:Mm-13野外飼育舎から脱走

2002年8月ヤマネコニュース

 鶏小屋に入ったところを保護収容していたツシマヤマネコ(8月13日付けのセンターニュース速報参照:成獣のオス)が、28日夜、センターの屋外飼育舎から脱走しました。この個体は、捕獲時に栄養状態が不良だったため収容して経過を観察していたものです。この件についての現状とセンターがとった対策をご説明します。

1.脱走の経緯
 8月27日午後、屋外飼育舎(フェンス・屋根付き)のモニターカメラで姿が確認できないことから調べたところ、隙間をこじ開けて檻の外に出たことが判明しました。28日夕方までは、飼育舎敷地(フェンスのみ)内にいたことから捕獲による再収容に努めましたが、夜になって湊の集落まで移動したことから、本格的な脱走と判断しました。

2.そのツシマヤマネコの現状
 そのツシマヤマネコには発信器を装着しており、追跡を続けています。現在上県町佐護地区にいることがわかっています。
 収容中の血液検査などによると、特に目立った不調は認められず、体重も徐々に増加していた(屋外飼育舎に移した時点で2810g)ため、現時点では生命に別状はないと考えられます。また、現在いる場所は、もともと生息していた場所の近くなので、なわばり争いによって他のオスにはじき出されることもないものと考えられます。

3.センターの対応
(1)ツシマヤマネコの行動観察
 体重が回復しつつあったので生命に別状はないと思われますが、以前野生復帰をさせたときの体重が激減した原因が不明なため、電波発信器による行動状況観察を続けます。異常が観察されれば、再捕獲を含めて対策を行います。
(2)民家の鶏小屋対策
 8月11日に鶏小屋を襲っており、再度鶏小屋に出没する可能性があります。そのため、佐護地区の鶏小屋所有者を調べるとともに、注意を呼びかけるチラシを配りました。具体的には、隙間をなくす、古くなった金網を取り替えるなどの自衛手段を講じるよう呼びかけました。
(3)野外飼育舎の改善
 今後、二度とこのようなことがないよう、野外飼育舎の改善を行います。屋根がネットでできていたことから、金網(フェンス)に取り替える予定です。