対馬野生生物保護センター

ホーム >> 報告書・資料・パンフレット >> 過去のセンター活動 >> センターの活動報告(2002年) >> 2002年8月のヤマネコニュース

2002年8月23日:3頭目のFIV感染個体の発見

2002年8月ヤマネコニュース

<概要>
 8月23日に対馬・田の浜地区で捕獲したツシマヤマネコのメスが、FIVに感染していることが判明したのでお知らせします。1996年、2000年に引き続き3頭目ですが、メス個体の感染例は初めてのことです。
 なお、環境省では、この事態を受け、従来より行っているツシマヤマネコ保護増殖事業と併せ、FIV対策に係る事業を今年度より行うこととしております。(事業の詳細は、今後検討します)

<詳細>
1.発見の経緯
 環境省では、ツシマヤマネコ保護増殖事業の一環として、電波発信機を用いた行動圏把握調査を行っているが、8月23~25日、上県町において、ツシマヤマネコに発信機を装着するため3頭を捕獲し、それらの個体の血液検査を行ったところ、そのうちの1頭(メス)がFIV(猫免疫不全ウィルス)に感染していたことが判明した。
 当該個体は、発信機装着後、行動圏把握のため一旦放逐されていたが、再捕獲のうえ対馬野生生物保護センターにおいて飼育する予定である。

2.猫免疫不全ウィルス(FIV)とは
 感染後、数ヶ月から数年間(ウィルスキャリア期)は無症状で過ごし、発症すれば、慢性的な呼吸器疾患、消化器疾患、皮膚疾患など様々な疾患が原因となって死亡するが、発症しないまま寿命を迎える場合もある。FIVは、咬み傷により感染し、交尾や出産等通常の接触で感染する可能性は極めて低いとされている。現在のところ治療法はなく、予防法も感染しているネコとの接触を避ける以外にない。
 なお、現在センターで保護しているFIV陽性の2頭のツシマヤマネコは、現時点では発症していない。