報道発表資料

2016年07月28日

平成28年熊本地震による阿蘇地域の牧野、草原及び湧水・温泉への被害状況等調査結果について(お知らせ)

九州地方環境事務所では、『国立公園「阿蘇」みらい創造懇談会』にていただいた提言にある「災害記録とその活用」に関連し、平成28年熊本地震による、阿蘇くじゅう国立公園阿蘇地域における牧野、草原及び湧水・温泉への被害状況等の調査を行いました。 その結果、牧野道等への被害が確認されたものの、多くの牧野組合が牧野利用や野焼き等による草原の維持管理を今後も続けたいとの意向を示していることが分かりました。また、湧水への被害は限られていましたが、温泉への被害は大きく、温泉旅館等からは復旧に対する経済支援要望をはじめ、地域全体としての新たな温泉まちづくりの推進など、復興に向けて多くの意見が挙げられました。 あわせて、阿蘇地域の草原エリアを中心に、土砂移動と亀裂分布域を空中写真から判読し、出力図とGISデータの作成を行いました。 今後、阿蘇地域の創造的復興の取組を地域住民の皆様、関係機関と連携して行う上で、阿蘇草原再生協議会等を通じて本調査結果を活用していく考えです。

調査の概要

阿蘇くじゅう国立公園阿蘇地域では、牧野利用や草原再生の取組等によって維持される草原景観や、湧水・温泉等が、地域の人々の生活にも密着した観光資源として多くの人々に親しまれていますが、平成28年熊本地震によって、草原、湧水・温泉等への被害が阿蘇地域内の各地で報告されました。

これを受け、九州地方環境事務所では、被害状況や地元住民の意向・要望等に関する調査を6月上旬から7月中旬にかけて行いました。今般、その調査結果がまとまりましたので、以下のとおりお知らせします。

調査項目

①牧野組合長を通じた被災状況と復旧・復興に関する意向把握調査(別添1)

②関係者ヒアリング等による湧水・温泉への影響把握(別添2)

③空中写真の判読による草原等における土砂移動、亀裂分布図の作成(別添3)

調査方法・結果(詳細は別途参照)

①阿蘇草原再生協議会加入の91牧野組合長を対象に調査員が訪問し、草原内の被害の概況、今後の牧野利用や草原維持管理の見通し、地震被害からの復旧・復興に関する意向に関してヒアリング調査を行った。

  • 【被災状況】

地震により牧野に被害が出たと回答した牧野組合は、全体の64%であり、特に牧野道(牧野に行く道も含む)の損壊が最も多かった。震災による被害で、採草・放牧による牧野利用または野焼き・輪地切りの維持管理作業に支障が出ると回答した牧野組合は全体の37%だった。

※なお、公益財団法人阿蘇グリーンストックでは本調査で対象外となった60牧野に対して被害状況調査を行っている。その結果でも牧野道の被害や野焼き等への懸念が確認されており、阿蘇地域全体の牧野に被害が及んでいることが分かった。

  • 【今後の見通し】

被害の有無に関わらず、放牧・採草(牧野利用)をやめたいとする牧野組合はなかった。また79%の牧野組合が野焼き等による維持管理作業を「続けたいし、今の規模を維持できる」との意向を示した。

  • 【復旧・復興について】

今後の畜産継続に必要なこと(希望する支援)について、被害のある牧野組合では「牧野管理道の修復及び牧野の修復」が上位に挙げられた。また、牧野組合の94%が「阿蘇へのアクセス道路の復旧」を阿蘇地域の復旧復興に向けて重要と認識していた。

②阿蘇地域の26箇所の湧水及び53箇所の温泉旅館等における地震前後の影響や復興に係る意見等について、関係市町村・地元関係団体等から電話によるヒアリング調査を実施した。また、必要に応じて現地調査を行った。

  • 【湧水】

塩井社水源、揺ヶ池、水基めぐりの道の3箇所では依然として湧水の水位に変化が見られた一方、いくつかの湧水では地震直後に見られた濁りが解消されていた。今後の湧水の活用に向けては、湧水保全の必要性や持続的利用のあり方についての再認識、観光や農業との連携による地域振興などが、地元の意見として挙げられた。

  • 【温泉】

地震後に温泉湧出量に影響が見られた温泉旅館等は19箇所あり、再掘削の動きもすでに見られた。復興に係る地元の意見としては、被害を受けた施設への補助や融資、道路や観光施設の復旧、他地域からの人的支援等の要望や、風評被害への懸念のほか、地域全体として新たな「温泉まちづくり」を推進したいという意向など、復興に向けて意欲的な姿勢が伺える意見も挙げられた。

③阿蘇地域の草原エリア等約480km2において地震発生前後に撮影された空中写真を用い、平成28年熊本地震によって発生したと考えられる土砂移動及び亀裂分布域を判読した。(地震後の写真は4月下旬に撮影されたものを用いており、6月以降の豪雨の影響は反映していない。)

  • 中央火口丘、北側外輪山西部、南阿蘇村立野、西原村等の草原エリアにおいて顕著な亀裂分布が確認された。
  • 土砂移動、亀裂分布を示した出力図、GISデータ(shapeファイル、KLMファイル)は九州地方環境事務所ホームページにて公開。

http://kyushu.env.go.jp/to_2016/28_2.html

結果を受けて

先般、『国立公園「阿蘇」みらい創造懇談会』において、阿蘇の復興に向けた提言を有識者からいただいていますが、今後、上記の提言を踏まえた創造的復興の取組を地域住民の皆様、関係機関と連携して行う上で、阿蘇草原再生協議会等を通じて本調査結果を活用していく考えです。

(参考)国立公園「阿蘇」みらい創造懇談会からの提言について

http://kyushu.env.go.jp/to_2016/post_63.html

添付資料

■ 問い合わせ先
環境省九州地方環境事務所 国立公園課
 課 長   北橋 義明
自然保護官  平野 淳
 係 員  立岩 沙知子
TEL 096-322-2412 / FAX 096-322-2447
地域環境データベース
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