野生生物保護センターは、絶滅のおそれのある野生生物を守るための拠点施設で、北は釧路湿原から、南は西表島まで、全国9ヶ所に設置されています。 そのうち、対馬野生生物保護センター(以下、TWCC)は、ツシマヤマネコをはじめとする対馬の野生生物の保護拠点として、1997年7月31日に開設されました。以来、TWCCでは、対馬の豊かな自然のシンボルであるツシマヤマネコを守ることは、対馬の自然を守ること、自然と深くつながっている対馬の暮らしを守ることであるという活動理念のもと調査研究、普及啓発、野生動物の救護、飼育管理などに取り組んできました。 この10年間にTWCCを訪れた人は127,757人。TWCCに運ばれてきたツシマヤマネコの保護個体は延べ42頭(うち8頭は収容後に死亡)、死体54頭。動物園で繁殖し、無事に成長しているツシマヤマネコは23頭。保護活動に関わった島民のみなさん、島外の専門家、動物園、学生、NPO、企業は数知れず。TWCCは、ツシマヤマネコを介して実に多くの人と出会い、刺激を受け、支えられながら成長してきました。10年間、本当にありがとうございました。 10年後、TWCCはより活気づき、ヤマネコの救護も死体の収容もほとんどなくなり、ヤマネコ見たさにたくさんの観光客が訪れ、野生生物に配慮した農林水産物が高く売れるなどして、対馬もヤマネコも元気になる。そうなることを夢見ながら、これからも頑張ってゆきたいと思います。今後もよろしくお願いします。 写真:功労者に感謝。10周年記念式典
TWCC開設以降の主な出来事
1997 ■対馬野生生物保護センター開設(7月) ■ツシマヤマネコの全島的な分布・個体数の調査(第2次生息状況調査)の実施。ツシマヤマネコ生息頭数を70~90頭と推定。
1998 ■ツシマヤマネコ保護増殖事業連絡協議会発足(6月) ■新レッドリストにツシマヤマネコが「絶滅危惧1A類」として記載される。(※1はローマ数字) ■季刊誌「とらやまの森」創刊 ■交通事故防止キャンペーン開始(以降、毎年継続) ■飼育下繁殖用の野生ヤマネコ(ファウンダ)の捕獲
1999
2000 ■福岡市動物園で初めてのヤマネコの仔ネコ誕生(4月) ■「ツシマヤマネコを語る集い」開催(11月)
2001 ■ツシマヤマネコのための生息環境づくり(木庭作)実施(~2003年度まで) ■「日韓ヤマネコシンポジウム」開催(11月)
2002 ■季刊誌「とらやまの森」全戸配布開始(4月) ■ツシマヤマネコ博士講座開催、自然観察会開催(6月、以降毎年月1回程度開催) ■ホームページ開設(8月)
2003 ■ボランティアグループ「ツシマヤマネコ応援団」設立(4月) ■巡回ツシマヤマネコ展開催(7月、以降毎年継続) ■ツシマヤマネコ(愛称:つしまる)の一般公開開始(12月)
2004 ■集落座談会「ツシマヤマネコと対馬地域の活性化」開催(2、3月) ■福岡市動物園にてツシマヤマネコの一般公開開始(3月) ■「ツシマヤマネコ再導入基本構想」公表 ■シンポジウム「対馬もヤマネコも-ツシマヤマネコと地域の活性化-」開催(8月) ■福岡市動物園で生まれ育ったヤマネコが対馬に初めて里帰り(10月)
2005 ■対馬地区ネコ適正飼養推進連絡協議会発足(2月) ■来館者数10万人突破(6月) ■ツシマヤマネコ生息頭数を80~110頭と推定(第3次生息状況調査)(9月) ■シンポジウム「対馬もヤマネコも-対馬のすばらしい自然とその危機」開催(11月)
2006 ■「ツシマヤマネコ保全計画づくり国際ワークショップ」及び市民ワークショップ「対馬もヤマネコも-ツシマヤマネコと共生する地域社会を目指して-」開催(1月) ■油に汚染された海鳥の救護活動(2月~3月) ■対馬野生動物交通事故対策連絡協議会発足(6月) ■環境教育サイト「島守を育む」公開開始(10月) ■井の頭自然文化園とよこはま動物園で分散飼育開始(11月)
2007 ■年度間交通事故死亡数、過去最悪に達する(1月) ■下島でヤマネコの生息が23年ぶりに確認される(3月) ■舟志区集落座談会開催(3月)、佐護区集落座談会開催(3月、6月) ■シンポジウム「対馬もヤマネコも-ツシマヤマネコを語る夕べ」開催(3月) ■ツシマヤマネコ(愛称:つつじ)一般公開開始(3月) ■つしまる死亡(6月) ■10周年記念式典「ありがとうヤマネコ10周年感謝の集い」開催(9月)
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