分散飼育の概要
ツシマヤマネコ保護増殖事業の一環として、1996年から環境省と福岡市動物園が連携して飼育下繁殖に取り組んできました。2000年に初めて仔ヤマネコが誕生してからは毎年順調に繁殖し、育った20頭のヤマネコのうち8頭が対馬野生生物保護センターに里帰りをしています。これまで、対馬野生生物保護センターと福岡市動物園の2ヵ所で飼育下個体群の確立のためにヤマネコの飼育を行ってきましたが、今回新たに東京都武蔵野市の「井の頭自然文化園」と神奈川県横浜市の「よこはま動物園(ズーラシア)」でもヤマネコを飼育していただくことになりました。
なぜヤマネコを移動させるの? ~飼育下個体群を確立するために~
危険分散 これまでのように繁殖で増えたヤマネコを2ヵ所のみで飼育し続けると、予期せぬ災害や感染症の蔓延などが起きた時、一度に多くのヤマネコを失う危険性があります。そこで、このような危険を回避するために、新たに飼育に協力して頂けることになった2つの動物園(以下飼育協力園)にヤマネコを移動(分散)します。
飼育スペースの確保 繁殖が順調に進み、福岡市動物園と対馬野生生物保護センターでのヤマネコの飼育頭数も増えました。それに伴い、ヤマネコを収容できるケージが不足するという問題が発生しました。そこで、飼育協力園にヤマネコを分散し、飼育スペースを確保します。
普及啓発 飼育協力園ではヤマネコを飼育する以外にヤマネコを始めとする対馬の自然のすばらしさについての普及啓発活動が行われます。全国的には、ツシマヤマネコが絶滅のおそれが高い事はあまり知られていないのが現状です。分散飼育を通じて、対馬の自然の象徴とも言えるツシマヤマネコについて多くの人に知っていただけることを期待しています。
飼育下個体群を確立する目的
対馬の環境が改善し、生息地での安定した生息が可能になるまでの生息域外 での種の保存。
野生個体群の保護活動の補完(再導入)
科学的データを収集・解析し、生息地でのヤマネコの保護対策に応用する。
ツシマヤマネコの現状について全国に普及啓発を行うことで、野生個体群保護の推進に資する。
※詳しくは「とらやまの森31号4ページ」、「とらやまの森31号5ページ」に記載しています。
※写真は今回センターから移動するヤマネコです。
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