「あ!ツシマヤマネコだ。」夜に上島をドライブしていてヤマネコのような動物が通り過ぎ、よく見ると「なんだ残念、普通のネコだった。」という経験はありませんか?野生のヤマネコを見るチャンスは本当に少ないですよね。でも、ちょっと考えてみてください。私たちが家で飼っているはずのネコがどうして山の中にいるのでしょうか。
(写真:山中で見かけた野生化したイエネコ) 本来は人間に飼われているはずの動物である。
今、日本中、いや世界中で人間が飼育管理しているはずの動物が野生化し、多くの野生動物の生息をおびやかしています。例えば、沖縄県のヤンバルに生息するヤンバルクイナは、野生化したネコなどによる捕食で生息数が急激に減少しています。また、奄美大島に生息するアマミノクロウサギは野生化した飼いウサギとの競合(食べ物や棲みかを奪い合うこと)が危惧されています。ツシマヤマネコでは、ネコエイズウイルスに感染したヤマネコが現在まで3頭発見されていますが、このウイルスは野生化したイエネコから感染した事が指摘されています。
イヌやネコ、ウサギなどのペットや家畜はもともと人間が飼育するために改良された動物です。本来人間に飼われているべき動物であるペットが野生の中で幸せに暮らしていけるのでしょうか。ペットは本来人間にエサを与えられている動物であるため、野生で生活することは困難です。当然、その寿命も短いと言われています。ペットが捨てられて野生化する事はその動物にとっても不幸な事なのではないでしょうか。
ノラネコは生ゴミをあさったり、庭に糞尿をしたり、床下で仔ネコを産んだりと、ご近所の迷惑になる事もあります。人間のためにも、野生動物のためにも、そしてペットたちのためにもペットは室内で飼育することが大切と考えます。万が一、飼っているネコが外に出てしまっても赤ちゃんが出来てしまわないように、避妊去勢手術を受けておくこともお勧めします。
ツシマヤマネコ保護を現場で学ぶ -夏季学生実習報告-
7月26日~8月23日、学生を対象にセンターで実習生を公募しました。熱意ある26名もの応募の中から、前期後期各5名ずつ、計10名が参加。教科書やテレビの中ではない、実際に現場で行われている野生生物保護を肌で感じとってもらいました。
実習生からの声
「今回の実習は、現場においての「保護」という意味を深く考えるきっかけになりました。生物を危険から守り、数を増やしていくというだけではなく、環境・気持ち・生活など周りにある様々な問題を含めて解決していくことの重要性を、少しではありますが実感できたと思います。」
(左:前期実習生 右:後期実習生)
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