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2003年4月の活動
4月29日(火曜日)、対馬野生生物保護センターのレクチャールームで、第10回自然教室「植物写真家・姉崎一馬さんの観る自然」が開催されました。
20年以上もボランティアで「自然教室」(小中高生を対象とした体験型環境教育プログラム)を続けている姉崎さんは、いま何を観て、何を思い、何を伝えようとしているのでしょうか?
講師紹介:姉崎一馬さんは写真集「はるにれ」の作者として知られる植物写真家です。最近の著書には「日本の森大百科」(TBSブリタニカ)などがあります。
美しいスライドは、南は沖縄からはじまりました。
写真:ガザミを持つ石垣島の子ども。
「このハサミで挟まれたら痛そう~」(会場のささやき)
「うーん、真っ赤だねえ」
「いや、これは茹でてあるんです」(姉崎さん)
「そうだったのか・・・」
板根が発達したマングローブの森(沖縄)
ここから九州にはいります。
南から北へ、美しい自然のスライドが続いていきました。
森の恵み
宮崎県綾町には日本最大の照葉樹の原生林が残されています。姉崎さんはこの森に注目して取材を続けているそうです。
写真は、姉崎さんが拾った花や木の実、葉っぱなど。
「あのウインナーのようなものは何ですか?」(会場から質問)
「あれはツチアケビという植物の実です」(姉崎さん)
新潟で出会った山菜料理。
山菜料理は新潟がピカイチだとか・・。
「うわっ、おいしそう!」
雪の壁の前にたたずむカモシカ(山形)
山形県の落葉広葉樹林とブナ林、
北海道の針葉樹林と写真は続きます。
日本国内でも、南と北ではこんなに動物や植物、自然の風景、人々の生活に違いがあることを知り、参加者のみなさんも興味深くスライドに見入っていました。
豊かな森が残る反面、開発による影響も各地ででています。
後半のテーマは、自然と開発の葛藤、そしてこの世界で生きていく子どもたちに伝えること、です。
川も護岸がすすみ、写真のような場所を多くみるようになりました。
工事による赤土の流出と、それにともなう川や海の生き物へのダメージも大きなものとなっています。
公共工事に依存する割合の大きい離島・対馬でも、環境と開発の問題は大きなテーマです。会場のみなさんも、姉崎さんの言葉に静かに聞き入っていました。
姉崎さんは、環境について小さいころから考えることが大切だと考え、30年前から自然教室を続けています。水の使い方、ゴミの出し方についてこんなに考えることは普段はあまり無いことかもしれません。
料理も自分たちでやり、はじめて包丁を握る子どももいます。
食べる分だけ作り、環境に対する知恵と意識を身につけ、ゴミを出さないための最大限の努力をします。
タマネギが目にしみてます(^_^)
子どもたちだけでキャンプ。
自然教室が終わるころには、子どもたちの間に強い絆が生まれていて、別れの場面はボロ泣きになることも多いそうです。
成長した子どもたちがまた新たなリーダーとなって姉崎さんをサポートし、20年以上も続いてきたんですね。
これは台所の排水に直結した池。鯉がいます。
残飯はコイが食べ、そのコイを人がいただきます(^_^;)
分解されにくい合成洗剤を流すと、それは結局自分たちにダメージを与えてしまうのです。身近な池なのか、排水溝の先にある川・海なのか、が違うだけなんですよね。
生活することで自分たちが環境に及ぼす影響を知ることはとても大切な経験です。
姉崎さんの第10回自然教室は、よい環境を回復・維持していくためには日々の生活で何をやっていけばよいのか、さまざまなヒントに満ちていました。
明日からできることをちょっとだけ試してみようかなと思いました。
後日のお話。
姉崎さんはセンターの自然教室の後日、龍良山(たてらさん。対馬を代表する原生林)を見てとても特殊な照葉樹林だとおっしゃっていました。
表土が薄いためか、根元に近い部分の幹が板根のようになっていることが他の地域とは違うそうです。