第一回国立公園「阿蘇」みらい創造懇談会について(結果概要)
第一回国立公園「阿蘇」みらい創造懇談会について(結果概要)
このたびの平成28年熊本地震を受け、九州地方環境事務所では、国立公園である阿蘇地域の「創造的復興」に向けて、今後の環境省としての施策の基本となる考え方についてご意見を伺うことを目的として、有識者懇談会『国立公園「阿蘇」みらい創造懇談会』を設置し、第一回の懇談会を6月13日(月)に開催しました。
1.日時及び場所
日時:平成28年6月13日(月)15:00-16:50
場所:ホテルサンクラウン大阿蘇 会議室
2.懇談会委員(五十音順、敬称略)
池辺 伸一郎 阿蘇火山博物館 館長
大津 愛梨 02ファーム代表
小林 寛子 東海大学経営学部観光ビジネス学科 教授
坂本 正 阿蘇草原再生千年委員会 委員長
坂元 英俊 元 阿蘇地域振興デザインセンター事務局長
高橋 佳孝 阿蘇草原再生協議会 会長
村田 信一 熊本県特別顧問
(上記の他、オブザーバーとして熊本県、大分県、関係市町村、関係団体が参加)
3.第1回懇談会開催概要
〇 冒頭、九州地方環境事務所より、懇談会設置の趣旨、震災による被災状況、影響把握に関する調査等について説明。
○ 座長として、坂本委員を指名
〇 委員各位より、国立公園の復興、未来に向けた提案等についてご意見を伺ったところ、概要は以下のとおり。
・阿蘇は九州の観光の結節環であり、また九州観光の浮揚軸である。
・大地震後の道路や橋などハードのアクセスの復旧、被災者の生活、農業、牧畜、都市機能のサイクルの早急な回復を目指すことが大前提となる。
・今回、農業も大きな痛手を受けたが、もともと産品の質が良く、買って支えたいという消費者も多いこともあり、長い目でみれば何とか復興できると思う。観光は来てもらえないという痛手が大きい。ここで農業と観光が本気でタッグを組んでやるべき。
・ある集落では、本震直後から山から水が汲めて米(食べ物)があって、再生可能エネルギーで電気が使えるなど、災害に強い農村地域であることが実証されたが、これは十分視察観光の対象になるのではないか。今回一番苦労した酪農家も、例えば牛の排泄物を利用して非常用電源とするなど、再生可能エネルギーの地産地消を進めれば、これも視察観光の一部になる。
・今回の震災では長く自然災害と折り合いをつけながら生きてきた高齢者の知恵に助けられた点が多かった。。また、助け合いなど、地域の力・コミュニティーがうまく機能した。そうした経験・知識は財産であり、記録しておくべき。
・人と自然との共存という意味から創造的復興を目指していく時、阿蘇が地形的に変容しつつあることや長いスパンでの地球レベルの営みを踏まえて現在の観光を考えることが重要。
・例えば中央火口丘については、中腹から上を防災と教育目的の有料ゾーンとするなど、国立公園の使い方をゾーン分けして考えてもいいのではないか。
・外輪壁は有史以来何回も崩壊と植生の回復を繰り返してきた。草は回復力の高い生態系であり5年もあれば草原に戻っていくので、今ある被害からの回復を一つの大きな展示物としても捉え、きちんと記録を残し、モニタリングしていくことが重要。
・農業と観光の復興にあたり、従来を超えた発想が必要。阿蘇がもつ世界的にみても誇れる資源、人の営みを含めて諸々の価値を記録・解析してその意義を伝える人材育成が必要。草原博物館のようなものを作って資料の蓄積、研究を行い、公開すべきところは公開してはどうか。
・農業による環境保全機能に着目した「環境支払い」や、都市から農業ボランティアを募る仕組みを考えてもよい。
・今の状況で阿蘇のどこに行けるか、温泉や湧水の変化に関する情報を含め、的確に情報発信することが必要。
・阿蘇と九州はイコールであるという自覚を持って考え、草原・火山・カルデラなどの様々な価値付けについて、阿蘇として統一した情報発信のシステムを作りあげていくべき。
・外国からの来訪者受け入れ体制や世界に向けた情報発信も重要。
・今回の災害で改めて地球が生きていること、地球の時間軸の中にあることを感じた。国立公園「阿蘇」が活きる観光は体験型であり、生きたジオパークを見てもらう、今回の地震を活かした中身にしていくことが国立公園としての切り口ではないか。
・ジオの観点から被災箇所を残して見せることや地域住民の対応など、地震に特化したインタープリターの養成が必要。
4.第一回懇談会資料
資料一覧.pdf | 会議次第.pdf | 資料1.pdf | 資料2.pdf | 資料3.pdf | 資料4.pdf | 資料6.pdf |
5.今後の予定
○第2回は7月4日(月)午後、第3回(最終回)は7月15日(金)午前を予定。
開催場所はいずれも熊本市内。
◆問い合わせ先
環境省九州地方環境事務所 国立公園課 担当:二神・立岩
電話:096-322-2412 / FAX:096-322-2477 / 電子メール:REO-KYUSHU@env.go.jp