九州地域生ごみ研究会(第2回)議事要旨
九州地域生ごみ研究会(第2回)議事要旨
議事要旨
○日時
平成22年12月17日(金)13:00~16:00
○会場
福岡県三潴郡大木町 おおき循環センターくるるん
○出席者
構成メンバー26名中24名出席(欠席:2名)
○議題
- 1.はちがめプラン紹介について
- 2.事業系生ごみ排出量調査について
- 3.モデル都市における試算結果について
- 4.マニュアル作成に向けたアンケート調査について
議事
<委員からの主な意見>
1.はちがめプラン紹介について
○染谷准教授による紹介
- 1)伊万里地域の生ごみ資源化を進めるNPO。
- 2)佐賀大学は地域貢献事業として[1]生ごみの堆肥化、[2]廃食用油のBDF化、[3]菜の花エコプロジェクトを行っているはちがめプランを支援。
- 3)全国からの問い合わせに答えるのにマニュアルを作った
(質疑)
- 1)伊万里市のごみが全部入らないのは?
A.伊万里市の問題。他の自治体や市民グループも育ってきているので期待したい。
- 2)行政との連携や関わりは?
A.150万円程度の補助金を受けている以外は独立した活動。スタッフ5名で活動しているが、施設建設費の40百万円の借入金、残額約8百万円の返済が残っているが、それを除けば黒字でやっていけている。
- 3)事業系、家庭系のどちらを回収しているのか?
A.半々というところだが事業系の割合が増えている。採算を考えれば、事業系をのばすほうがよいが、家庭系の資源化に運動家としてのこだわりがある。
2.事業系生ごみ排出量調査について
○事務局から進捗状況の説明
- 1)大野城市内の3事業所についてヒアリングを実施
- 2)結果は以下の通り
- [1]熱心なところと取り組んでいない箇所があり、レベルの差がはっきりしていた。
- [2]熱心な箇所では情報収集も積極的であったが、取り組んでいない箇所では収集すべき情報が分かっていない状況。
- [3]取り組んでいない箇所の特徴は、情報収集を含めてどうしていいのか分からないほか、フランチャイズの場合本部の方針で決定されるため、各店舗に方針決定権はないという状況もあった。
- [4]その他、取り組みを左右する要因として、a.コスト、b.分別の手間、c.収集運搬の許可制度などが課題として出た。
- [5]行政に求める支援の自由意見には、a.収集運搬の許可要件の緩和、b.廃棄物区分の見直し、c.生ごみ収集システム化の構築などがあった。
(質疑)
- 1)対象店舗は?、規模は?
A.名前を聞けば誰でも知っている小売店スーパー
- 2)事業系生ごみは地域特性が影響すると考えられるのに各店舗で意思決定が出来ないというのは意外に感じるが?
A.本部に決定権があるので店舗単位では情報収集すらできていないということ。今後の事業展開を図る上では働きかけどころの検討が必要ということ。
- 3)植木委員よりスーパーマーケットの実情を紹介
- [1]スーパーマーケット業界は、生鮮3品に総菜を加えた4品をいかに売っていくかが経営のポイントであり、生き残りの条件。
- [2]生鮮3品が20~30%、総菜が50%という割合だが、総菜はスーパーで加工して付加価値を付けて売るシステムであり、このような状況下で食品残さが出てくる。
- [3]だから、本部で処理費を用意できる傾向はなく、業者が決めて、店舗は支払う形になる。
- [4]九州全体では八十数社、二百店舗くらいあるので、情報伝達したいと考える。
- 4)行政に求める支援策で、新たな許可についての話をもう一度。一廃を産廃として処理できないかとの要望について詳細を。
A.ある店舗で再生利用したいと思い、処理業者へ委託したが、1店舗では量が集まらないので、収集運搬コストが非常に高いものについてしまう可能性がある。そこで、量を確保するため、他市町村にある同系列の店舗もとなるが、同業者が他市町村での収集運搬の許可を持っていなければ収集できないと言う現実にぶち当たることになる。それが産廃となると許可が県知事になるので市町村の壁はなくなり、県内は自由に動けることになる。
- 5)養豚業者が複数の市町村で専ら飼料または肥料として利用する場合の許可要件は、廃掃法上どうなっているか。
A.(環境省)専ら物というのは品目が決まっているので、それ以外は許可が必要になる。
- 6)収集運搬の許可の件については、製品の広い流通を促す観点からも広い範囲でのループの形成を目指して計画をしたことがあった。しかし、特例措置の取扱をめぐって農林省、環境省の壁があり、結局実現しなかった経験がある。この研究会ではそのあたりも検討に加え提案していってもらいたい。
3.モデル都市における試算結果について
○以下のケース区分ごとの試算結果について事務局より説明
- [1]生ごみ未分別
- [2]生ごみ分別、生ごみ・し尿個別処理
- [3]生ごみ分別、生ごみ・し尿混合処理
- 1)生ごみを分別し、し尿と混合処理する方が、コストの面で有利となり、さらに広域処理の方がさらに効率よくなる。
- 2)環境負荷についても同様の傾向であるが、中間処理の影響が他の影響に比べて大きい。
- 3)再生利用量、最終処分量については、生ごみを分別する方が有利となるが、広域化するか否かでは差はなかった。
(質疑)
- 1)[1]液肥の活用が見込めない地域で下水道処理される場合の下水道使用料は試算に含まれているのか、[2]広域化とそうでない場合の収集運搬移動距離を10kmと5kmに設定している根拠は、[3]エタノール化についての検討は、
A.[1]下水道へ放流できる程度にまで処理している。そのことで建設費が抑えられている。[2]市役所から施設までの平均が10kmであったため、広域でない場合はその1/2に設定した。[3]エタノール化は実用施設がないため、試算を行っていない。技術の紹介に留める予定。
- 2)下水道処理の実績については、北九州市が行ったNEDOの実証試験結果があり、愛媛県で環境省の温暖化関係の補助を受けて行った事例があるので情報提供する。
A.メタン発酵の維持管理費は水処理を最後までやった場合について試算しており、それでも分別せずに燃やす場合よりも安くなっている。したがって、大木町のようなケースではさらに優位な結果なると思う。
- 3)建設費については、5年くらい前から顕著に下がっているのではと思っている。一説には入札の透明化の影響と言う人もいるので、建設時期も合わせて表示して欲しい。
A.分かりました。
4.マニュアル作成に向けたアンケート調査について
○マニュアル作成のためのアンケート調査内容について事務局から説明
- 1)対象は全国の20箇所を想定している。
- 2)マニュアル作成を想定しているため、設問も絞っている。
(質疑)
- 1)答える人が大変に思う。回答率が下がるのでは。郵送による方法か。
A.答えやすい表現、形式に換える予定。対象箇所を決めて検討したい。
- 2)コストに関する設問が少ないが。
A.想定している対象箇所が結構有名なところであるため、ある程度の情報はすでに入手済と考えている。回収率を上げるため設問を絞った結果だ。
- 3)専門の業者や大学の先生などをどの時点でどのように参加させたのかが必要では。分別収集したものを業者なりNPOなりに振り向けていくというような再利用の方法について検討願えれば。
A.アンケート中では協力者や関係者と表現しているが、分かりにくいので適当な表現方法を考える。
- 4)生ごみ分別をする前の処理形態を確認することが参考になるのでは。
- 5)計画策定や意志決定に当たっての住民参画のあり方をマニュアルに載せて欲しい。また、基本情報として生ごみ以外の分別状況を合わせて情報提供して欲しい。
- 6)広域で取り組んでいるところはあるのか。
A.あると思う。
- 7)生ごみ資源化と同時に他のものについても資源化を始めた事例を一緒に調査して欲しい。
- 8)地域循環圏に取り組む効果として、コストや環境負荷の削減以外に地域の活性化や住民の絆といった効果もあるのでは。
○山鹿植木組合の事例紹介(栃原事務局長から説明)
- [1]H17から旧鹿本町が生ごみと家畜排せつ物のメタン発酵を稼働させて始まった。
- [2]現在稼働している焼却施設の地元期限が24年度までとなっており、焼却に頼らない市町の方針により、10月から山鹿市の一部でモデル事業を開始。
- [3]1~2週間の結果では、燃やすごみ量が半減した結果となっており、今後更に期待できると考えている。
(質疑)
- 1)今後のスケールアップの予定は。
A.23年度は4倍程度の20地区に増やし、24年度からは全地区で進めたい。
- 2)資源化は堆肥化か。
A.メタン発酵。ただ、土壌の課題があるので調査中。
- 3)生ごみ以外の可燃ごみはどうするのか。
A.紙、プラは分別、資源化。可燃物は大牟田の処理施設で、基本的にはゼロに近づけたい。
- 4)事業の中心、会議や検討会の組織、専門家やコンサルなどの関わりなど。
A.住民を含めた策定委員会を組織。コンサルは入れないで自分たちでやっている。