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九州地方環境事務所

九州地域生ごみ研究会(第1回)議事要旨

九州地域生ごみ研究会(第1回)議事要旨

議事要旨

○日時

平成22年10月25日(月)13:30~16:00

○会場

福岡県福岡市 A.R.K(アーク)ビル

○出席者

構成メンバー26名中22名出席(欠席:4名)

○議題

  1. 1.平成21年度調査について
  2. 2.平成22年度調査の方向性について

議事

<委員からの主な意見>

1.平成21年度調査について

○事務局より21年度調査について説明
  1. [1]生ごみを分別・処理している箇所について、処理原価を調査したところ可燃ごみよりも生ごみ処理の方が原価が安いことが分かった。
  2. [2]九州地区で生ごみ処理を行っているあるいは行う計画のある箇所はわずかである。
  3. [3]人口規模別の試算では、10万人以下の箇所においてコストメリットがある結果となった。
  4. [4]生ごみ処理を行っている箇所に対する調査では、堆肥の消費にほとんど問題ないとの回答であった。
  5. [5]再生利用事業者におけるリサイクル料は、市町村の可燃ごみ処理料金に比べて同等か高い結果であり、再生利用事業者によるリサイクルが進まない要因の一つと考えられる。
  6. [6]九州地域における食品廃棄物等の処理業者情報を整理した。
【質疑】

委員:ごみ処理は広域化が基本であるが、生ごみ処理は比較的狭い地域内で循環させる方がコスト的に有利との情報がある。矛盾しているとの意見や情報はないか。

事務局:21年度には広域化の観点での試算ができなかった。今年度は生ごみ資源化は地域内で、その他の可燃ごみは広域化と言うパターンで試算したいと考えている。

委員:生ごみも可燃ごみも域内処理する前提のシミュレーションと可燃ごみを広域処理する場合では試算結果が違ってくるのではないか。

事務局:広域化により可燃ごみ処理施設に係るスケールメリットは出てくるが、一方で広域処理による収集運搬料の増加が発生する。実際にどうなるかは試算しないと何とも言えないところ。今年度のテーマにしたい。

委員:大都市は生ごみの分別割合が小さく、小都市ほど分別が進むという結論はいかがなものか。啓発との兼ね合いによっては変動すると考えられるので、モデルの再検討をお願いしたい。
 また、資源化物を堆肥と表現するのは、実際には堆肥だけでなく液肥もあるわけで表現として肥料としかっこ書きで固形及び液状として欲しい。

事務局:21年度は生ごみの資源化だけに着目して調査、整理した経緯があるが、今年度はご指摘のあったように、市町村が廃棄物処理システムを検討する中で、生ごみの資源化をどう扱うのが適当なのかを念頭に置きながら調査をしたいと考えている。また、資源化についても堆肥に限らずその他の方法も念頭に置きながら検討したいと考えている。ただ、今年度の残された期間で、あれもこれもというのは厳しいとも感じており、先生方のご指導や皆様のご意見を参考に今年度の調査を進めたい。

委員:生ごみの分別については、人口の多い自治体ほど異物の混入という観点から住民に対する周知、協力率が上がらないのではないかと思われるが、21年度の調査でそのあたりの知見が得られなかったか。

事務局:具体的に調査をしていないが、人口が増えるほど異物混入の確率が増えると言うことではないか、と考えている。

委員:21年度調査では人口規模別に生ごみの発生量が分けられていたと記憶しているが、どうだったか。

事務局:可燃ごみに占める生ごみの割合は同じ比率を使って試算しているが、人口規模によって分別の協力度合いが異なるとの調査研究があるため、協力率という定義で人口規模による差を付けている。人口8万人で約20%、2万人以下ではバラツキがあるものの30%以上になる。

事務局:農耕地がないと言う理由で大都市を中心に生ごみの資源化に取り組まない傾向があるように感じる。しかし、東京や関東近辺のいわゆる農耕地がないところでも取り組まれている事例はあるのでそういう情報も含めて整理、提供したいと考えている。

2.平成22年度調査の方向性について

○事務局より22年度調査の方向性について説明
  1. [1]家庭系生ごみの資源化については、より現実的な調査とするため、生ごみ資源化に取り組もうとしている箇所をモデル都市として試算対象とする。
  2. [2]また、市町村が取り組む際の手引きとなるようなマニュアルを作成する。
  3. [3]合わせて、普及啓発のためのツールを作成する。
  4. [4]事業系生ごみ資源化についてもマニュアルの作成を行う。
◆モデル都市として指名された筑後市、大川市、大木町、山鹿植木広域行政事務組合からそれぞれの廃棄物処理の現状を説明
(筑後市)
平成30年度を目標にごみの30%削減を目指している。調査の結果、可燃ごみの中に生ごみが48%、資源ごみが25%あったので、それらを分別することでごみ減量化につなげたい。生ごみについては、家庭用生ごみ処理機やダンボールコンポストの普及を図っている。
(大川市)
平成31年度を目標にごみの31%削減を目指している。生ごみに関しては、自家処理を進めており、同時に水切りを促進している。ごみ減量のための地域説明会をこの1年半で210回開催している。
(大木町)
町内から出る事業系、家庭系合わせて年間1200トンの生ごみをメタン発酵させて肥料として再利用しているが、引き取り手が多く足りない状況。また、メタンガスは発電に利用しており、施設内の6割を賄っている。町としては、「もったいない宣言」を行い、2016年度までにごみの焼却をしない町を目指している。そのため、分別を増やしたり、プラスチックや紙おむつの分別にも取り組む予定である。
(山鹿広域行政事務組合)
現在の可燃ごみ処理施設の稼働年限が平成25年度までであることからいろいろと検討した結果、焼却施設に頼らないごみ処理を検討しようとなった。世界的な環境対策の流れの中で焼却施設の建設が結果的に住民の負担を大きくするのではないかというのがその理由。生ごみについてはモデル地区を設定して分別の取組を始めたところ。
(質疑)

委員:今回の試みはおそらく全国のモデルケースになるような検討である。環境省本省へも伝えて貰いたいし、予算を含めて来年度以降も継続して事業を行い、良いものを完成させて欲しい。

環境省:個人的には同感であり、その方向で努力したい。

委員:マニュアルに取り上げて貰いたい事項が二つ。一つは一般廃棄物処理基本計画の中でどのように盛り込んで進めたのか。もう一つは、生ごみの家庭減量化に対する補助制度との兼ね合いをどう整理したのか。

委員:資料によると大木町の生活系ごみ排出量が242g/人・日となっており、非常に少なくなっているが、秘訣があるのか。生ごみを分別しても排出量は変わらないのではないか、分別して資源化すれば再生利用の比率が上がるのではないか。家庭で自家処理をすることによって自治体に出すごみ量が減っているように見える。

事務局:数値については確認して後日返答する。

委員:コンポスターやダンボールコンポストの普及を図っている自治体があるが、うまくいっている例は少ない。技術的な要因があるが、もう一つ副資材として使っているものを考えるとコストやCO2排出量の観点からはむしろマイナスの手段ではないか。生ごみ資源化を進める啓発の手段、一段階としては有効と思うが、位置づけを考えて取り組むべき。九州には全国的な先進地モデルケースとして自慢できるものがたくさんあるので全国にPRすることをやって欲しい。伊万里のNPOはちがめプランでは佐賀大学と協力して生ごみの堆肥化マニュアルを作成した。後日紹介したい。

委員:築上町ではRDFをつくっているが、生ごみが入ることで水分量が増える。ならば生ごみを分別して入れなければ良いではないかとなっている。築上町には液肥製造施設もあり生ごみをそちらに入れれば液肥の増量になって良いと言うことになっている。けれども小さな町なので少人数で対応しなければならず国や先生にご助力いただいて進めていこうと考えている。

委員:出来た堆肥の利用状況について調査されているが、この点を掘り下げる必要がある。集める生ごみの量から出来る堆肥の量が予測できる、一方でその地域の耕作面積と作物の種類から堆肥の消費量が試算できるのではないか。そのことによって、その地域で生ごみを堆肥化した場合の需要と供給のバランスが把握出来るのではないか。

委員:その点は農政局も参加しているので是非やっていただきたい。自分の経験では、堆肥と液肥では異なるが、九州内では自分のところで使える量だと思う。

委員:作物の種類によって保管する時期がでてくると思う。保管量が把握できることで保管のためのコスト試算もできるので、普及につながるのではないか。また、耕作地以外にも利用例があるという話なのでそれらの情報も盛り込むことで非常によい情報ができると思う。

委員:昨年のデータの見方として、生ごみの資源化を行っている箇所を対象としたアンケートである点が一点、もう一つは需給バランスを見たものではなく、生ごみ由来の堆肥でも不向きではないという見方をすべきである。出来た堆肥の需要を考える上では、どの範囲でバランスをとるかと、売れるか売れないかの両方の視点が必要と考える。

委員:10年ほど前に牛糞堆肥を対象として九州内の需給バランスを調査したことがある。結果、供給量は需要量の1.6倍という試算が出たが、余っているというのは聞いていない。もちろん施肥量には幅があり、十分に資源化されていないこともあると思うが、農家側からすると質の良い堆肥が欲しいというのが大きな選定基準。生ごみ堆肥については10aあたり1トンが平均で2トンやると窒素過多になると思うが、いずれにしても肥料成分の情報をきちんと伝えることが重要で、質の良いものをつくれば農家は必ず使ってくれる。生ごみ堆肥に対する嫌悪感は10年くらい前にはあったが、最近ではいろいろな所で取り組まれているのでイメージは良くなっている。

委員:資源化処理技術については以前に廃棄物研究財団でまとめたものがあるが、改めてバイオエタノール化なども加えて、またコスト面も含めて情報提供して欲しい。

委員:生ごみの広域処理には限界があるというのが一般的な議論だと思うが、具体的にどの程度まで可能なのかを整理できないか。また、合わせて離島向けの検討として船積みの可能性について整理できないか。

委員:輸送と処理に係るコストバランスの問題であり、できた堆肥の価値によって大きく左右されるので、すぐに答えを出すのは難しいと考える。着眼点としては非常に有意義なコメント。

委員:モデル都市として位置づけている筑後市、大川市、大木町の取組に対して福岡県として積極的に参画できないか。

福岡県:市町村が独自に取り組まれる中で調整が必要と言うことであれば出番があると考えるが、県が音頭をとってとりまとめていくのは難しい。あくまで支援というスタンス。

委員:福岡市では昨年度から事業系生ごみの資源化調査を行っているところで、今年度も引き続きモデル事業を中心に調査を進める予定である。コスト問題など役に立つような情報が出たら提供したいと考えている。