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九州地方環境事務所

地域循環圏に関する九州会議(第1回)議事要旨

地域循環圏に関する九州会議(第1回)議事要旨

議事要旨

○日時

平成21年8月5日(水)13:30~17:30

○会場

福岡県福岡市 天神チクモクビル5階

○出席者

構成メンバー33名中32名出席(欠席:1名)

○議題

  1. 1.会議設置について
  2. 2.話題提供
  3. 3.生ごみ対策・食品リサイクルについて
  4. 4.広域リユース・リサイクルについて

議事

  1. ◆生ごみ対策・食品リサイクルについて
  2. ◆広域リユース・リサイクルについて

<委員からの主な意見>

  1. ◆生ごみ対策・食品リサイクルについて
  2. ◆広域リユース・リサイクルについて

◆生ごみ対策・食品リサイクルについて

  1. ○この会議で得られた結果は、具体的にどのような所で活用していくのか。また、調査で実態把握をして、それを用いて自治体に助言するとあるが、具体的にどういった形で助言するのか。
  2. ○自治体が生ごみのリサイクルに取り組む際、コスト云々の前にまず、手法をどうするのか、計画をどう作るのかといったところを含めて、いくつかの成功例のほか、失敗例なども含めて10程度の自治体を調査している。今年度中にはまとめて、自治体に提供できるように整理していこうと考えている。
  3. ○先ほどの発表で生ごみは焼却ごみの4割近くを占めるとあり、それを分別すれば焼却ごみは6割に減らせ、もっと頑張れば、さらに減らすことができる。そうすると、2つの広域で一斉に生ごみ減量に取り組めば、どちらか一方の焼却炉はいらなくなるという事も数値的には可能になってくるので、そういった事をやろうとしている自治体もあるということも紹介しておく。
  4. ○生ごみの資源化については、どこの自治体もリスクやコスト、苦労を背負ってまで行うという必要性を見出していないということだと思う。事業者の場合はリサイクルの数値目標を定める必要があり義務化をされているが、自治体の場合はそのような目標も義務もない。国においては、生ごみリサイクルを進めるための目標や政策を提示すべきであり、国の役割としてはそういう部分が求められていると思う。
  5. ○生ごみを資源化するためには、どのように効率的に回収するかが課題であり、都市規模が比較的大きい所と地域コミュニティが濃密な所との差異、堆肥や飼料として近隣で利用できる状況にあるのかといった地域特性を考慮する必要があると思う。地域特性に応じて堆肥や飼料、バイオエタノール化など、各々の地域で取り組めるポリシーミックスで考えていかなければならないと思う。広域で取り組めば、当然ながら輸送コストもエネルギーもかかってくる、また都市規模が大きくなると分別の徹底が行き渡らず異物もかなり入ってくるという状況も生じてくる。地域特性も考慮して、何パターンかミックスで検討していただきたい。
  6. ○ごみ処理コストで一番かかるのは収集運搬部門である。生ごみは腐敗するため、特に夏場は腐敗が早いので、簡単に生ごみだけを回収する、しかもリサイクル資源として使うために腐敗を防いだ形で回収するというのは非常に困難である。
    市町村が住民に対して「生ごみだけを回収拠点へ持ってきてください。」と言うことは、ある特定の地域に限ればできるかもしれないが、都市部の市域全体で一律に行うことは非常に困難である。現在のように週2回の収集で、生ごみを分別収集することは、技術的にもコスト的にも現行のシステムではかなり難しい。リサイクルにあたっては、市民にわかりやすいこと、再生品の需要が確実にあるか、またコストを含む効率性を総合的に勘案すべきと考えている。いくら循環型社会・低炭素社会の実現を目指す取り組みといっても、行政としてコストを無視することはできない。
  7. ○生ごみについては、業界団体ごとに集まりがあるので、それらを通じて把握すると効果的だと思われる。

(事務局)

  1. ○この会議を進めるに際しては、まず九州における食品リサイクル施設の調査を行い、農政局を通じて、あるいは食品関連事業者(排出業者)の集まりの場において、今回の調査で得られた情報を提供していきたいと考えている。また、市町村に対しては、今後生ごみの分別収集に取り組みたいという意識のある自治体に対し、今回の調査で得られた生ごみの分別収集にかかるコスト、CO2排出の分析結果等の情報を提供していきたいと考えている。
  2. ○生ごみリサイクルへの取り組み方については、都市の規模や、農村部なのか都市部なのかでも違ってくると思われるので、色々なパターンがあっていいと考えている。そして、市町村の中にはプラスチックの分別がかなり進み、生ごみを次のターゲットとしているところもあると思うので、そういった市町村に対しては、先進事例を基にコストや環境負荷の面で調査・分析して情報を提供し、また都市部の市町村に対しては、特に事業系の生ごみ対策で役に立つような調査を行っていきたいと考えている。

◆広域リユース・リサイクルについて

  1. ○Rびんの回収や普及促進にあたって問題になってくるのは、ステーション回収する場合、同じ回収ボックスに入れると傷が付いたりする点である。当市では、縦型に仕切られた回収ボックスを準備して、傷が付かないように回収している。今後は焼酎びんだけでなく、お茶などもリユースできるびんで普及を図りたいと考えている。
  2. ○消費者にとって、どれがリユースびんであるのか分からないというのが問題のようである。まずは消費者に対して、どのようにすればリユースびんの存在とその意義を理解してもらえるかといった普及啓発を検討する必要がある。また、居酒屋はリユースびんに切り替えるには最も都合が良いのではと考えられる。
  3. ○びんは、何度も使うと「胴ずれ」といって、びんが擦れてくる。問題はこれを消費者がどう思うかである。要は、使い勝手の良いものが消費者に選択されていくのである。リユースびんを本当に普及させていこうと考えるならば、欧米諸国のように国策として義務付けることであり、その趣旨を消費者に理解してもらうような運動に切り替えていく方がリユースびんの普及促進には効果があるのではないかと感じている。
  4. ○レアメタルに関する調査内容について、現在レアメタル回収は電解精錬施設で行われており、その施設があれば回収できるし、施設がなければ回収できないという状況である。回収技術の研究が進み、電解精錬以外の方法で抽出できるようになれば、現在のリサイクル体制が大きく変わると思われるので、抽出技術に関する調査も必要になってくるのではないかと思われる。また、とりあえず備蓄しておいて将来的に回収コストが下がってから抽出するといった「備蓄」の考え方についても検討が必要ではないか。
  5. ○精錬所でレアメタルを回収する際、スラグが発生するが、製鉄会社などではスラグの輸出が検討されている。そういう点では、「広域リサイクルに関する調査」のところにある「アジアとの連携」は、非常に重要になるのではないかと思われる。
  6. ○消費者に対する普及啓発活動はリユースびんだけではなく、食品リサイクルでも重要である。食品リサイクル施設で製造されるリサイクル品、例えば飼料や堆肥の需要を伸ばすためには、それで生産される食品を食べてもらう、いわゆる地産地消の教育・普及啓発というも非常に重要になってくると思う。そのような消費者が製品を購入する際の検討も必要であり、廃棄物処理側だけで一生懸命考えても、適切なリサイクルシステムの検討は難しいと思われる。
  7. ○リユースびんについては、資料9-2のRびん利用に関する意向で、「積極的に利用したい」「利用したい」「条件次第で利用したい」の結果が出ているが、逆に考えると条件次第で利用したくないということである。また、Rびん利用の条件としても「従来設備で利用可能、出荷コストが現状並み、きず・欠けなし、消費者の認知 等」が示されている。このような問題をどのようにして解決していくのか、また解決できるか、といった点を、明確にしたうえで進めていけば良いのではないか。
  8. ○今、我々が一番に取り組むべきことは集荷の問題である。どのように集めるか、コストも含めて集め方をどうするのかを検討しているところである。また、レアメタルリサイクルの推進に関しては、国が何らかのバックアップをするとか、インセンティブをどう与えるかの検討も必要ではないか。
  9. ○レアメタルのリサイクルに関して言えば、当市の中にリサイクル技術を有する業者・施設が無いので、市で回収したものは市外の施設に持ち込まなければならず、それなりの回収コストがかかるという問題がある。また、新たに、分別にかかるコストを市民に負担してもらうことになるので、その際、市民に対してレアメタル回収の必要性、つまり市民が経済的に負担をしてまでレアメタル回収をしなくてはいけないという意識を持ってもらうための啓発をもっと強化していく必要があると考える。
  10. ○各種調査にあたっては、九州の中だけで議論できることと、国の戦略を含めた上で議論しなければならないことが出てくると考えられる。特に、国の政策と関係しているものに関しては、国ベースだけでなく九州ベースで情報・データの分析をしてみて政策を考えていかないと、九州で地域循環圏を考えるときに、果たしてそれが九州で取り上げるべきかどうか不明確となってくる。
  11. ○リユースに関する意識や生ごみリサイクル、レアメタルに関する問題等は九州に限らず以前から全国で指摘されている問題であり、九州特有の問題というわけではない。レアメタルに関する調査において「事業シミュレーションとシステム提案」とあるが、今回これらの調査を進めるにおいて、九州のデータを用い事業シミュレーションをすることになる。九州地域で取り組むことで課題をクリアできる可能性もある。それも、地域循環圏の九州モデルといえると思う。また、九州は横の連携が強いと思われ、是非、調査を継続して九州地域の循環圏構築に活かしてほしい。
  12. ○消費者に対する普及啓発に関して、農水省では、食品残さを一定割合以上使った堆肥や飼料に対しての認証マークを付けることを進めている。やはり、消費者にどう繋がっていくかがポイントになってくると思われるので、環境事務所をはじめ関係部局等と連携して進めていきたい。

(事務局)

  1. ○事務局としても、全てをRびんにするのは難しいと思われるので、居酒屋など切り替えやすい所からリユースびんを普及させていきたいと考えている。また、「義務付ける」というご意見をいただいたが、義務付けすることは今後の検討課題であるが、すぐには難しいと考えている。