報道発表資料
2024年04月15日
- 報道発表
幼獣で救護したツシマヤマネコの放獣について(お知らせ)
令和5年7月18日(火)に、対馬市上県町樫滝の国道において保護されたツシマヤマネコについて治療及びリハビリが終了したことから、令和6年4月22日(月)15時に保護した地点付近に放獣することとなりましたので、お知らせします。本個体は幼獣で保護されたことから、ツシマヤマネコ野生順化ステーションにおいて、野生順化訓練を行い、野生で生存する能力を向上させた上で放獣の判断となりました。
1 経緯
令和5年7月18日(火)午後9時41分頃、上県町樫滝の国道382号道路上で負傷したツシマヤマネコ(以下、「ヤマネコ」という。)の幼獣を発見したとの情報提供が対馬野生生物保護センター(以下、「センター」という。)にありました。これを受け環境省職員が現地に向かい、同日センターに収容しました。本個体は幼獣で保護されたことから、餌動物に対する認識・探餌・採食などに関する経験が不足していると考えられたため、センターでの治療及びリハビリののち、同年10月からツシマヤマネコ野生順化ステーション(以下、「ステーション」という。)において、自然状態に近い広域な野生順化ケージで採餌や運動能力等の確認及び野生順化訓練による能力の向上及び評価を行いました。その結果、野生下での生活に支障がないとの判断から令和6年4月22日(月)に、放獣を行うものです。
なお、野生下での生活経過を見るため発信機による追跡調査を約1年間実施します。
なお、野生下での生活経過を見るため発信機による追跡調査を約1年間実施します。
2 ステーションと野生復帰技術開発について
ステーションは、飼育下で繁殖させたヤマネコを野生復帰させるために野生順化訓練を実施することを目的とした施設です。野生復帰とは、生息域外におかれた個体を自然の生息地(過去の生息地を含む)に戻し、定着させることです。ヤマネコの絶滅を回避するために、野生復帰は保全施策の選択肢の一つと考えられます。ステーションではこれまで、将来的に野生復帰が必要になった場合に備えて、飼育下繁殖個体を用いて野生復帰技術開発を行ってきました。今回放獣する個体については、野生で保護された個体であるため、ステーションで想定する野生復帰には当たりませんが、これまでの技術開発で蓄積した知見を生かして、ステーションにおいて野生の幼獣個体に野生順化訓練を実施した上で放獣及び追跡することは初めての試みになります。この取組により、今後の更なる野生復帰技術開発に貢献することが期待されます。
3 個体の情報(令和6年4月7日現在)
(1)性別 オス
(2)年齢 亜成獣
(3)体重 2,770g
(4)回復後の個体の状況
・検査上健康状態に問題はみられない。
・ステーションでの訓練によりノネズミ類を問題なく捕獲できていること、逃避行動としての木登りなどを行うことができることから
野生下での生活に支障はない。
(2)年齢 亜成獣
(3)体重 2,770g
(4)回復後の個体の状況
・検査上健康状態に問題はみられない。
・ステーションでの訓練によりノネズミ類を問題なく捕獲できていること、逃避行動としての木登りなどを行うことができることから
野生下での生活に支障はない。
4 ヤマネコの交通事故対策について
ヤマネコの交通事故は、統計を取りはじめた平成5年度以降累計で146件発生しています(令和6年4月9日現在)。交通事故を防止するため、ヤマネコの移動経路を確保するための道路構造物の改善・改良や、注意標識の設置、交通事故防止キャンペーン、ハザードマップの配布等によるドライバーへの普及啓発等の取組を、関係機関と連携し実施しています。
5 放獣に関する取材について
放獣に際し、立ち合い取材を希望される場合は、4月19日(金)17 時までに事前にステーション(0920-57-0101)までご連絡ください。なお、当日のヤマネコの容態次第では放獣日時を変更する場合がありますので予めご了承ください。その際はステーションより事前申し込みされた方にご連絡いたします。
お問い合わせ先
環境省
九州地方環境事務所野生生物課
課長 大澤 隆文
対馬自然保護官事務所厳原事務室
(ツシマヤマネコ野生順化ステーション)
自然保護官 谷口 晃基
TEL 0920-57-0101
九州地方環境事務所野生生物課
課長 大澤 隆文
対馬自然保護官事務所厳原事務室
(ツシマヤマネコ野生順化ステーション)
自然保護官 谷口 晃基
TEL 0920-57-0101