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九州地方環境事務所

報道発表資料

2025年09月29日
  • 報道発表

対馬の下島南部におけるツシマヤマネコの幼獣の確認について(お知らせ)

対馬の下島南部において、ツシマヤマネコの幼獣が確認されましたのでお知らせします。近年、下島では本種の分布域が拡大していますが、今回の幼獣の確認により、下島の南部においても繁殖していることが確認されました。

1 概要

 環境省では、長崎県等の関係機関と連携し、ツシマヤマネコのモニタリング調査を実施しています。調査では、対馬島内の複数の地点に設置した調査ルートにおいて、概ね1か月に1回の頻度で自動撮影カメラの確認や痕跡調査等を行っています。令和7年6月、下島の南部(厳原町豆酘)に設置した自動撮影カメラに本種の幼獣が撮影されました。

2 下島の生息状況と今回の発見について

 対馬では1960年代頃まで全島的にツシマヤマネコが生息していたとされますが、その後、下島では生息確認が途絶え、2007年に23年ぶりに確認されました。その後、2010年代前半に4地域で生息が確認され、2010年代後半には8地域に拡大しています。また、定住や繁殖の指標となるメスが確認された地域も増加しています。
 一方で、下島では2007年以降、成獣や亜成獣の確認は続きましたが、幼獣については2023年に下島の北部で撮影された1件のみでした。今回、下島の南部で幼獣が確認されたことにより、上島から地理的に離れた下島の南部においても繁殖していることが明らかになりました。

<参考> 過去の報道発表
●2007年5月8日 ツシマヤマネコの対馬の下島における生息確認について
 https://www.env.go.jp/press/8344.html
●2019年4月16日 対馬の下島におけるツシマヤマネコの新たな生息情報について
 https://kyushu.env.go.jp/pre_2019/post_106.html

3 今後の対応

 引き続き下島においてモニタリング調査を継続し、ツシマヤマネコの生息情報を収集します。また、下島にも広く本種が生息することについて情報発信し、交通事故防止など本種の保護のための普及啓発等を行います。
 なお、現在、5年に一度の全島的な本種の生息状況調査を実施中であり、これらの調査結果に基づき2020年代前半の生息状況の評価を行い、評価を踏まえた本種の保護増殖事業を進めていきます。

4 安全運転と通報のご協力のお願い

 夏季はツシマヤマネコが子育てを行う重要な時期になります。子ネコは好奇心が強く、車を恐れずに道路に飛び出してくることがあります。普段の安全運転に加え、本種を含む野生生物への配慮をお願いします。
 万一、本種をはねてしまっても、故意でない限り罪に問われることはありません。速やかな通報が本種の命を救うことにつながりますので、はねてしまった場合や、道路上で見かけた場合は、生死に関わらず通報のご協力をお願いします。

【対馬野生生物保護センター(0920-84(はよ)-5577(ここならせならせ))】

下島の南部(厳原町豆酘)に設置した自動撮影カメラに撮影された幼獣

お問い合わせ先

環境省
九州地方環境事務所野生生物課
課長 松木 崇司
TEL 096-322-2413
対馬自然保護官事務所厳原事務室
(ツシマヤマネコ野生順化ステーション)
自然保護官 谷口 晃基
TEL 0920-57-0101