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九州地方環境事務所

報道発表資料

2014年12月11日
  • その他

(お知らせ)スズメバチ類のモニタリング調査結果について

長崎県対馬市において、外来のツマアカスズメバチが自然環境へ与える影響を調べるため、対馬島内全域でツマアカスズメバチと在来のスズメバチ類の生息場所、密度等を把握するモニタリング調査を2度(夏期、秋期)実施しました。その調査結果をお知らせします。

1.調査概要
 ・目的:対馬におけるツマアカスズメバチ及び在来スズメバチ類の生息状況の把握
 ・調査期間:

  夏期調査・・・平成26年7月24日~8月5日

  秋期調査・・・平成26年9月27日~10月9日
 ・調査地:長崎県対馬市全域(138箇所)
 ・調査方法:ペットボトルを加工したトラップを1週間設置し、スズメバチを誘引し、捕獲しました。誘引剤は、乳酸系飲料と水を混ぜた液を用いました。

2.結果概要
(1)ツマアカスズメバチの分布・生息数について
 対馬全域でツマアカスズメバチが捕獲されました。対馬での定着がはじめて確認された平成24年以降、分布範囲を急速に拡大しているものと考えられます。
 なお、南部地域にあたる厳原町では、現時点での生息密度は北部に比べて低いと考えられます。

(2)在来のスズメバチ属の分布・生息数について
 対馬には、コガタスズメバチ、ヒメスズメバチ、オオスズメバチ及びキイロスズメバチの4種のスズメバチ属が分布しており、それぞれ対馬全域に広く分布していることが確認されました。ツマアカスズメバチとの競合が生じる可能性もあるため、今後の動向に注意する必要があります。

(3)注意点
○スズメバチ属は、社会性昆虫であり、今回のモニタリングは主に働き蜂の生息密度を表します。トラップに誘引された複数個体が同一の巣に由来する可能性もあるため、働き蜂の生息密度と営巣数は必ずしも相関するものではありません。
○トラップ調査の特徴として、捕獲される個体は、トラップの付近を偶然飛翔している個体が誘引されるものであり、生息が確認された地点の営巣を示すものでないことに留意が必要です。
○夏期調査を実施した7月から8月は、ツマアカスズメバチ、在来スズメバチ類ともに活動期であるため、スズメバチ属全般の生息範囲を確認するのに適しています。秋期調査を実施した9月から10月は、ヒメスズメバチは活動をほぼ終了しており、捕獲個体数が減少する傾向がある一方、ツマアカスズメバチの活動が活発になる時期であるため、ツマアカスズメバチの生息範囲を把握するのに適しています。

添付資料