九州地域のアイコン

九州地方環境事務所

外来生物対策-藺牟田池の魚類

藺牟田池の魚類

○藺牟田池の魚類

藺牟田池に生息する魚類としては、ウナギ、コイ、フナ類、オイカワ、カワムツ、ドジョウ、アリアケギバチ、メダカ、ドンコ、ゴクラクハゼ、オオクチバスブルーギルカムルチーの13種(下線で示した外来種3種を含む)の記録がありますが、コイやトウヨシノボリなど一部を除いて、在来種の多くが既に絶滅したか、絶滅寸前であると考えられています。主な減少要因としては、オオクチバス等による捕食が挙げられます。
現在の藺牟田池の優占種はブルーギルであり、オオクチバス、カムルチーは減少していると考えられます。防除モデル事業開始時と比べると、ブルーギルやオオクチバスの大型個体がほとんど捕獲されなくなり、小型個体や当歳魚の捕獲が増えています。ある程度駆除が進んだためと考えられますが、一方で、捕獲圧が下がれば急速に元通りに増加する危険性も示しています。藺牟田池は温暖な場所にあるため、年に複数回産卵があり、なかなか駆除が進まない原因の一つだと考えられます。

外来種

オオクチバス Micropterus salmoides (スズキ目サンフィッシュ科)

全長:30~50cm程度(数値は成魚のもの:以下同じ) 原産地:北米

オオクチバス Micropterus salmoides (スズキ目サンフィッシュ科)1

オオクチバス Micropterus salmoides (スズキ目サンフィッシュ科)2

湖、沼などの止水環境や流れの緩い河川に生息する雑食性魚類で、昆虫類、甲殻類、魚やカエル、小型鳥類まで様々な生物を捕食します。口が大きく、上顎の後端は眼の後縁よりも後ろに達します。また体側中央には、不定形の褐色斑が連なって帯のように見えることがありますが、不明瞭な個体もいます。オスは繁殖期に、水底の砂地にすり鉢状の巣を作り、複数のメスを呼び込んで産卵させ、稚魚がある程度大きくなるまで保護します。藺牟田池では、正確な産卵場所はわかっていません。

ブルーギル Lepomis macrochirus (スズキ目サンフィッシュ科)

全長:20cm程度 原産地:北米

ブルーギル Lepomis macrochirus (スズキ目サンフィッシュ科)1

ブルーギル Lepomis macrochirus (スズキ目サンフィッシュ科)2

水の流れがあまりない所を好み、藺牟田池で最も多く確認されます。雑食性で昆虫類、甲殻類や魚類など様々な生物を食べ、時に水草や藻も食べます。体はやや平たく、側面に細い縞模様が10本程度あり、左右のえら蓋の上に紺色の皮弁があります。オスは繁殖期に、水底にすり鉢状の巣を作り、メスを呼び込んで産卵させ、産卵後も卵や稚魚を保護します。通常、産卵床は泥や砂礫の場所に作ると言われていますが、藺牟田池では水底の枝や石に卵を産んでいた例も確認されています。

カムルチー Channa argus (スズキ目タイワンドジョウ科)

全長:30~80cm程度 原産地:ロシア沿海州、中国、朝鮮半島

カムルチー Channa argus (スズキ目タイワンドジョウ科)

池、湖沼、河川の中下流域などの、水草が多い止水域に生息する大型魚類で、体は細長い円筒形で、体の側面には円形の黒っぽい斑紋が2列あります。空気呼吸ができるため、溶存酸素量が少ない水環境でも生存でき、雑食性で昆虫や甲殻類、魚、小動物など様々な生物を捕食します。水草を集めて巣を作り、その中に産卵します。藺牟田池では近年減少傾向にあります。

在来種

コイ Cyprinus carpio (コイ目コイ科)

全長:20~60cm程度

コイ Cyprinus carpio (コイ目コイ科)

河川や湖沼に生息する大型魚類で、国内各地に分布します。頭が目や体に比べて小さく、口もとには2対のひげがあります。長寿であり、環境適応力も高いと言われています。雑食性で、ミミズ、昆虫類、貝類、甲殻類、他の魚の卵など、様々なものを食べます。繁殖期には、浅瀬に集まり、水草に産卵します。

トウヨシノボリ Rhinogobius kurodai (スズキ目ハゼ科)

全長:4~10cm

トウヨシノボリ Rhinogobius kurodai (スズキ目ハゼ科)

全国の河川や湖沼に分布する小型魚類で、顔に赤や黒の線があることと、尾びれに橙色の斑紋があることが特徴です。水底の藻類や有機物、魚卵や昆虫類などを食べます。水中に沈んだ木や石の下面を雄が掘って産卵床を作り、メスに産卵させ、オスは卵が孵化するまで保護します。