報道発表資料

2021年03月22日

ツシマヤマネコ保護増殖事業の進展(人工授精の成功)について【2021年3月22日】

令和3年3月18日(木)、横浜市立よこはま動物園(ズーラシア)において、国内希少野生動植物種ツシマヤマネコが人工授精により誕生しました。 腹腔鏡を用いて人工授精を施し、3月上旬に妊娠を確認、今回無事に出産に至ったものです。 人工授精によるツシマヤマネコの繁殖成功は国内初の事例となります。

1.ツシマヤマネコについて

ツシマヤマネコは、長崎県対馬のみに生息する野生のネコで、生息数は100頭弱(90頭又は100頭)と推定されており、国内で最も絶滅の恐れが高い種の1つとして、平成6年に絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(「種の保存法」)により国内希少野生動植物種に指定されています。

ツシマヤマネコ (食肉目ネコ科)

環境省レッドリスト:絶滅危惧ⅠA類(CR)、国指定天然記念物

学 名: Prionailurus bengalensis euptilurus

英 名:Tsushima leopard cat

照葉樹林や落葉樹林、田畑、沢など多様な環境が混在する場所が最も適した生息環境といわれており、好適生息地である落葉広葉樹林が減少した他、間伐の行われていない針葉樹植林の増加や、シカやイノシシの食害による林床植生の衰退等の結果、餌となるネズミ類の生息密度が低下したことに加え、河川改修や道路建設などによる生息地の分断、交通事故死などが主な減少要因となっています。

2.ツシマヤマネコ保護増殖事業について

平成7年に策定された「ツシマヤマネコ保護増殖事業計画(環境庁、農林水産省)」に基づきとりまとめられた「ツシマヤマネコ保護増殖事業実施方針」に沿って、将来的にツシマヤマネコが積極的な保護対策をしなくても安定して生息する状態となることを目指し、環境省や農林水産省、長崎県、対馬市、大学等の研究機関、NPO、市民などの関係者が連携し、生息域内保全、生息域外保全、飼育下繁殖個体の野生復帰技術開発等の取り組みを進めています。

図 生息域内保全、生息域外保全、飼育下個体の野生復帰の関係

図 生息域内保全、生息域外保全、飼育下個体の野生復帰の関係

3.ツシマヤマネコの生息域外保全の取り組みについて

ツシマヤマネコ保護増殖事業計画に基づく生息域外保全の取り組みとして、野生個体群が危機的状況に陥った場合に備え、飼育下(保険)個体群を確立するための飼育下繁殖と分散飼育を行っています。平成8年より5頭の野生個体を確保し、平成11年より福岡市動物園の協力を得て飼育下繁殖を開始、平成12年に初めて繁殖に成功しました。現在は、平成26年5月22日に環境省と(公社)日本動物園水族館協会で締結した「生物多様性保全の推進に関する基本協定」に基づき、国内9施設で協力し、遺伝的多様性に配慮した飼育下繁殖及び分散飼育に取り組んでいます(令和3年3月18日時点の飼育下個体数は26個体(オス13頭、メス13頭)※今回誕生個体を含まず)

4.ツシマヤマネコの人工授精の取り組みについて

ツシマヤマネコの人工授精は、ペアリングが繁殖期に限定されることや繁殖の成功率が個体の相性に左右される等の飼育下繁殖個体の自然交配の課題を解消するため、また、生息域内(野生)からの個体の導入に頼らず(生息域内個体群への影響を最小限とする)飼育下個体群を確立・維持するための重要な取り組みとして、平成24年より技術開発を進めてきました。

令和3年3月現在、ツシマヤマネコの採精や人工授精等の人工繁殖技術の確立に取り組む人工繁殖推進施設として、東京都立井の頭自然文化園、横浜市立よこはま動物園(ズーラシア)、環境省対馬野生生物保護センターの3施設が位置付けられています。

5.横浜市立よこはま動物園(ズーラシア)について

平成18年よりツシマヤマネコ保護増殖事業計画に基づくツシマヤマネコの飼育下繁殖に携わり、令和3年3月18日現在、オス1頭、メス2頭のツシマヤマネコを飼育(今回誕生個体を含まず)しており、令和元年度から腹腔鏡を用いた人工授精に取り組んでいます。

■ 問い合わせ先
環境省
九州地方環境事務所野生生物課
課長          鑪 雅哉
課長補佐        森口 祐二
TEL:096-322-2413 FAX:096-322-2447
対馬自然保護官事務所(対馬野生生物保護センター)
首席自然保護官     松岡 法明
希少種保護増殖等専門員 麻生 千晶
TEL:0920-84-5577 FAX:0920-84-5578
厳原事務室(ツシマヤマネコ野生順化ステーション)
自然保護官       永野 雄大
希少種保護増殖等専門員 岩下 明生
TEL:0920-57-0101 FAX:0920-57-0102
  • アクティブレンジャー日記 九州地区(リンク)
  • 環境省Twitter(リンク)
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