本文へジャンプ

対馬野生生物保護センター

ホーム >> ツシマヤマネコ野生順化ステーションについて

ここから本文

ツシマヤマネコ野生順化ステーションについて

ツシマヤマネコ野生順化ステーションは、島外の動物園で生まれたヤマネコが対馬の自然の中で生きていける(野生復帰できる)ように訓練をする施設です。
 ヤマネコの生息は下島ではごくわずかで、このままでは下島から姿を消してしまう可能性があります。下島のヤマネコを増やすためには、島内の野生のヤマネコを保護するのと同時に、必要に応じて島外の動物園で生まれたヤマネコを下島の自然に返すことが有効と考えています。
 一方で、ツシマヤマネコを含む哺乳類の野生復帰は、国内では前例がないため、野生復帰のための技術(訓練の内容、能力の評価の仕方など)を新たに開発していく必要があります。
 このような経緯から、平成24年度から平成26年度にかけて、ツシマヤマネコ野生順化ステーションが整備されました。

■施設の概要
○総面積 約7ha
○総工事費 約8億円
○整備期間 平成24年度~平成26年度
○スタッフ数(平成29年4月現在) 6名(自然保護官1名、自然保護官補佐2名、自然保護専門員1名、対馬市嘱託職員1名、飼育員1名)
○拠点施設 建築面積 約530㎡
 スタッフが常駐する調査研究棟と、手術室・入院室等を備えた一時収容棟があります。
○野生順化ケージ(6ケージ) 合計面積 約2.64ha、内柵約1,800m、外柵約1,500m
 野生復帰のための訓練を行う施設です。各ケージに、体調管理等を行うスペース(約60㎡)を整備しています。
※ストレス等の悪影響を極力避けるため、ステーションは原則として非公開としていますが、隣の施設(龍良山麓自然公園センター)のモニターでは、2番ケージの様子をリアルタイムで公開しています。また、ステーションでは子供向けの環境学習プログラム(ヤマネコ教室)も実施しています。

(施設の位置図)
施設の位置図

(拠点施設)
向かって右側が調査研究棟、左側が一時収容棟です。
拠点施設

(野生順化ケージ)
1番ケージ
野生順化ケージ 野生順化ケージ

2番ケージ
野生順化ケージ 野生順化ケージ

3番ケージ
野生順化ケージ 野生順化ケージ

4番ケージ
野生順化ケージ 野生順化ケージ

5番ケージ
野生順化ケージ 野生順化ケージ

6番ケージ
野生順化ケージ 野生順化ケージ

■下島におけるヤマネコの保護の取り組みについて
 ツシマヤマネコを保護する上で、対馬島内の野生のヤマネコたちを守る取り組み(生息域内保全)が重要です。ツシマヤマネコ野生順化ステーションでは、対馬野生生物保護センターと連携しながら、野生復帰技術開発事業の他にも以下の取り組みを行っています。
① 調査
自動撮影カメラでヤマネコの姿を捉えたり、採取したヤマネコ糞中のDNA分析などを行ったりして、ヤマネコの分布状況等を調べています。

② 交通事故対策
ヤマネコが道路上に出なくても道路を横断できるような構造物を設置するため道路管理者(長崎県、対馬市)と調整したり、道路脇などに交通事故注意看板を設置したりしています。平成27年度はヤマネコの交通事故が多発したため、環境省、長崎県及び対馬市が共同で「ツシマヤマネコ交通事故多発警報」を発令し、チラシの配布などを行いました。

③ ツシマヤマネコと共生する地域社会づくり
ヤマネコの保護を進めるためには、地域の経済活動とヤマネコの保護を両立させた「ツシマヤマネコと共生する地域社会」を実現させることが必要です。
ツシマヤマネコ野生順化ステーションでは、対馬市厳原町の内山区で平成24年度に発足した「内山盆地の里やまねこ会」の活動を支援し、脱臭炭の販売を通してヤマネコの棲みやすい環境作りに取り組んでいます。(上島では、対馬市上県町佐護区、対馬市上対馬町舟志区でも取り組みが進められています。)
また、これまでの取り組み内容や考え方を全島に広く紹介するため、平成26年度にパンフレット「ツシマヤマネコと共生する地域社会づくり 10年のあゆみ」を作成しました。
※内山盆地の里やまねこ会について
HP:http://yamaneko.html.xdomain.jp/index.html
Facebook:https://www.facebook.com/uchiyamaneko/
※パンフレット「ツシマヤマネコと共生する地域社会づくり 10年のあゆみ」について

④ 普及啓発
 そのほか、ヤマネコの保護に関する興味・関心を持っていただくため、イベントを開催したり、関係者と連携して環境教育等を行ったりしています。

■イエネコの導入について
ツシマヤマネコ野生順化ステーションでは、第1次ツシマヤマネコ野生復帰技術開発計画に基づき、平成28年3月1日にツシマヤマネコの近似種であるイエネコを2頭導入しました。まずはイエネコを安全かつ適切に飼育し、脱走や怪我をしないかなど、ヤマネコの飼育に備えて施設・設備を確認することとしています。


ロシアンブルー(雌)


雑種(雄)

※いずれも不妊去勢処置、マイクロチップ挿入、健康診断済み

■ツシマヤマネコの導入について
 平成29年6月9日に、ツシマヤマネコ野生順化ステーションにツシマヤマネコを導入しました。推定老齢の雌で、名前はナナミです。平成27年12月下旬に上対馬町豊にて衰弱により保護され、対馬野生生物保護センターでの治療・リハビリを経て平成28年11月下旬に放獣されましたが、同年12月下旬に再び衰弱により保護されました。
 ステーションにおいてリハビリテーションを行い、餌動物を捕獲できるか等の生存能力について確認した結果、ナナミには野生下での生存能力がないと考えられたことなどを踏まえ、
 現在、野生復帰技術開発個体としてステーションで飼育しています

●ツシマヤマネコ野生順化ステーションでは、野生復帰技術開発に限らず、ツシマヤマネコの保全に資する科学的知見の集積を行っています。
調査研究者の積極的な受け入れを行っていますので、関心のある研究者の方は下記までご連絡ください。
※必ずしもご希望に添えない場合もございます、予めご了承ください。

■第1次ツシマヤマネコ野生復帰技術開発計画について
概要
本文  
ヤマネコ教室について
■お問い合わせ先
ツシマヤマネコ野生順化ステーション
〒817-0154
長崎県対馬市厳原町豆酘字西竜良1249
電話:0920-57-0101
FAX:0920-57-0102