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沖縄奄美自然環境事務所

報道発表資料

2022年07月29日
  • 報道発表

瀬戸内町仲里川における特定外来生物オオフサモの防除状況について(お知らせ)

 戸内町・鹿児島県・環境省は生態系や農業に被害を及ぼすことから特定外来生物に指定されているオオフサモについて、瀬戸内町地内の仲里川の生育地において、令和3年3月から複数回、根から丁寧に除去する等の防除手法により、ほぼ地点根絶を達成した状況にあることを確認いたしましたので、お知らせいたします。
 なお、今後、数年間は定期的なモニタリングを継続し、個体の有無を確認する予定です。
また、奄美大島におけるオオフサモの確認地点は本地点も含め11カ所であり、引き続き、関係機関が連携して侵略的外来種の防除に努めていきます。

1.瀬戸内町仲里川における防除内容


 過年度より瀬戸内町古仁屋市街を流れる仲里川内に大きく3カ所の群落(それぞれ約28㎡,3㎡,13㎡)とその間の小規模な生育が確認されていました。そのため、令和3年3月に瀬戸内町事業により防除を開始、計5回の作業を行いました。地域のガイド・観光業に従事する方や、スポーツ少年団など、多くの町民の協力も得て、地上部だけでなく、根を含む堆積層を含めて手作業で丁寧に除去しました。
 その後、令和3年7月中旬には鹿児島県が外来生物法の防除の確認をとった上で、根を含む堆積層がある数十cmの深さまで土砂を掘削しました。以後、複数回にわたる確認作業を行い(表1)、令和4年7月6日に瀬戸内町・鹿児島県・環境省で再度本生育地全体において丁寧な確認作業を実施しましたが個体の確認はなく、最後に個体が確認されてから1年以上確認されなかったことから、当該地では根絶に至った可能性が高いものと判断しました。今後、数年間は定期的なモニタリングを継続し、個体の有無を確認する予定です。
 なお、島内の他の生育地点4カ所(表2)では、いずれも数ヶ月ないし半年以内に再繁茂し、場所によっては防除の効果が認識できないまでに至っていることから、仲里川での今回の事例を参考に、底泥剥ぎ取りにより根から丁寧に除去する等、防除方法の改善に努めるよう、関係機関の情報共有・連携を図ります。
表1:瀬戸内町仲里川における防除内容
番号 日付 主体 駆除量
1 2021年3月3日 瀬戸内町事業 610Kg
2 3月11日 瀬戸内町事業 90L袋×33袋
3 3月14日 瀬戸内町+地域ボランティア 90L袋×13袋
4 4月6日 環境省 1株
5 4月14日 環境省 1株
6 5月31日 瀬戸内町、鹿児島県、環境省 約30株
7 7月中旬 鹿児島県 最上川地点における土砂の採削
8 8月24日 環境省 0株
9 2022年1月12日 瀬戸内町事業 0株
10 7月6日 瀬戸内町、鹿児島県、環境省 0株
 
表2:奄美大島内で防除を実施しているオオフサモ生育地点の例
番号 生育場所 防除時期 防除方法 現状
1 奄美市名瀬小宿 河川内 重機による浚渫 再繁茂
3 奄美市名瀬有屋町 河川内 令和3年9月 手作業による作業1回 再繁茂
6 龍郷町大勝 河川内 重機による表層の除去 再繁茂
10 瀬戸内町古仁屋 水路内 令和3年3月~ 手作業による複数回作業 低密度化
代替テキスト
左:オオフサモ生育地点の断面図
代替テキスト
右:根を含む堆積層に見られる根

2.奄美大島におけるオオフサモの侵入状況

 奄美大島では本地点も含めて4市町村11カ所でオオフサモの生育が確認されています。大きな河川に侵入し数百メートルにわたって繁茂している箇所や水田に侵入し農業被害を引き起こしている事例も報告されています。
 また、オオフサモ以外にツルヒヨドリ、ボタンウキクサ、オオキンケイギク、ナガエツルノゲイトウの4種の特定外来生物に指定されている植物が確認されています。
代替テキスト
図:奄美大島・徳之島におけるオオフサモの分布状況(環境省奄美群島国立公園管理事務所作成)

3.今後の取組方針

 今回紹介したオオフサモの事例は対応のごく一部ですが、地域から特定外来生物を地域根絶させることは容易ではありません。ただ、多くの関係機関との連携と丁寧な防除によって、確実に地域根絶を繰り返していく必要があります。侵略的外来生物対策は世界自然遺産「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の価値の保全上も重要な課題であることから、多くの住民の協力を得て実施した今回の事例を踏まえ、引き続き関係機関等と連携して防除を推進していきます。

4.問い合わせ先

環境省沖縄奄美自然環境事務所奄美群島国立公園管理事務所
担当:阿部、釣谷
電話:0997-55-8620